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097 捜索依頼③

「いやぁ、さすがは解決率100%をうたっているだけのことはありますね。こんなに早く見つけていただけるとは…。これは成功報酬の30万円です。お納めください」

 藤原マリさんの腕を(つか)んで逃げられないようにした美女先輩が藤原家を訪問したときのDV野郎のセリフだ。

「ありがとうございます。確かに受領しました。こちら領収書になります。…それにしても良いお宅ですねぇ」

「はっはっは、うちの一族は資産家でしてね。この程度の家、実家の屋敷に比べたら全然大したことはありませんよ」

 謙遜なのか自慢なのか分からない家主の発言だけど、実際なかなかの一軒家だった。僕たちが招き入れられている応接室にしても、めっちゃ広くて調度品も豪華絢爛だ。

 家の掃除なんかは家政婦さんに頼んでいるのかな?


「ロボット掃除機が常に稼働しているとはいえ、広すぎて掃除も大変ですよ。実家と違って使用人がいませんからね」

 どうやら住み込みの家政婦さんはいないみたいだ。てか、金持ち自慢がうぜぇ。

「それでは私はこれで失礼させていただきます。また何かありましたらお気軽にご相談ください」

 美女先輩の言葉に満面の笑顔の藤原氏。

 対照的に、意気消沈している風の(・・)マリさん。


 美女先輩が辞去したあと、藤原氏の態度が豹変した。

「おい、お前のせいでいらん金を使うことになったんだが、謝罪はねぇのかよ」

「ご、ごめんなさい…」

「そこは土下座して『申し訳ありません』だろがっ!」

 藤原氏がマリさんの髪の毛を(つか)んで床に引きずり倒した。くっ、助けてあげられなくてゴメンよ。

「も、申し訳ありません…」

 床に()(つくば)っているマリさんを足蹴(あしげ)にしやがった藤原氏に対して、ふつふつと怒りが()いてくる。


 マリさんの頭の上から見下ろしていた藤原氏は、少しは冷静になったのか落ち着いた声でこう言った。

「お前がいない間にこの家を少しだけリフォームしたんだよ。ほら、こっちに来て見てみろ」

 応接室から廊下を挟んだ向かい側の部屋に入っていく藤原氏とその後ろに続くマリさん。僕もそのあとに続いたよ。

 その部屋の中は異様な空間だった。窓が一切無く、部屋の奥には粗末なベッドとなぜか水洗トイレがあり、その前には鉄格子がはまっていた。

 刑務所?いや、座敷牢ってやつか?

 なにより恐ろしいのが、ベッドの横の机の上にあった用途不明の器具…。なんでペンチやドリルがあるんだよ。(こわ)っ!


 恐怖の色を顔に浮かべているマリさんを冷たい目で見ながら藤原氏が言った。

「今日からここがお前の部屋だ。二度と逃げられないようにな。そうそう、壁は防音にしておいたから騒いでも無駄だぞ」

 もうここまできたらDVとかの話じゃねぇよ。どう見てもサイコパスです。てか拷問器具で何するつもりだよ。

「どうかお願いですから離婚してください」

「ふざけんなっ!離婚なんかするわけねぇだろ」

 マリさんの懇願に対して、突然激高して平手打ちをした藤原氏。マリさんの頬が赤く腫れあがっているよ。我慢だ我慢…、まだこの程度ではDVの証拠としては弱い(と思う)。


「こっちへ来い!立場を思い知らせてやる」

 藤原氏はマリさんの手を握ったまま座敷牢の中へ入り、そこにあった手錠をマリさんの両手に()めた。

 さらに机の上にあった千枚通し(アイスピックみたいなやつ)を手に取って、マリさんの人差し指の爪の間にいきなり刺し込んだ。

「ギャー」

 あまりの痛みにマリさんの悲鳴が響き渡る。制止する間もなかったよ。申し訳ない…。

 でもこれで証拠は十分だよね。


「そこまでだよ。この屑野郎」

 突然この場に現れた僕に驚愕している藤原氏。

 いや、ずっとここにいたんだけどね。認識阻害の効果が声を発したことで解かれただけだよ。


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