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095 捜索依頼①

『様々なトラブルを解決します。例えば、逃亡したペットの捜索、紛失した物の発見、失踪者の捜索等、基本的には捜索系の案件が得意です。料金は応相談(普通の探偵事務所レベルと考えてください…ただし着手金は不要、成功報酬のみ)。問題解決率はなんと脅威の100%。投稿フォームからお気軽にご相談ください』

 僕たちBEATのWebサイトに踊る文言(もんごん)だ。

 無償奉仕(ボランティア)のはずなのに、なぜ料金について書かれているのか?それは無償奉仕(ボランティア)って書いたら、いたずら投稿が大量に発生したから…。

 実際、依頼者が遠方の地域にいる場合、実費として交通費くらいは負担して欲しいよね。2地点間座標接続装置(ゲート)があると言っても、あまりにも遠方だと接続できないし。


 依頼者とお会いするときに成功報酬の提示を行い、納得して頂ければ依頼に着手するんだけど、解決後はそれを受け取らず(寸志くらいは受け取るけど)無償奉仕(ボランティア)であることを依頼人に口止めするってパターンになる。

 てか、僕を含めた四人全員がこの活動を仕事にする気は毛頭ないのだ。言うなれば趣味かな。

 僕としては、自分の能力を世の中のために役立てられること自体が嬉しいんだよね。


 あ、BEATとは何かってことと、そのメンバーを紹介しておくよ。

 『無償奉仕(ボランティア)で活動する困りごと解決集団』…それがBEATなのだ。あ、なんか格好良いな。

 まずはリーダーである尾錠(びじょう)サヤカ嬢。僕の勤める会社の先輩でもあり、ゆるふわ系の巨乳美人さんだ。なんと読心の魔女でもある。あ、僕は『美女先輩』って呼んでいるよ。

 次に捜索系の依頼では欠かせないサブリーダーの有村ユカリ嬢。とある銀行の窓口嬢であり、クールビューティーという言葉がとてもよく似合う美人さん。透視の魔女なので、落とし物だろうが失踪者だろうがすぐに見つけちゃうよ。

 三人目が江藤マユミ嬢。小動物のような可愛い雰囲気を持つ美人さん。って美人しかいねぇ。この人も魔女なんだけど、認識阻害という精神系の魔法を使えるのだ。潜入捜査にしても戦闘の場面でもとても役立つ魔法だよ。ちなみに本人は『精神系』って言ってるけど、僕は違うと思うんだよね。僕の考えでは『次元・空間系』の魔法だと思っているよ。

 最後がこの僕、津慈ツバサ。メンバーの中では最年少で、敵と戦いになる場合は僕が矢面(やおもて)に立つことになる。身長が低くて中学生男子とよく間違えられるんだけど、もちろん成人女性です。美女先輩とマユミさんからは『つつちゃん』の愛称で呼ばれているよ。


 僕たちBEATは誰からの依頼でも無条件に受けるわけじゃなくて、きちんと依頼人と面談してから着手するかどうかを決めている。

 今日も一人の男性からの連絡を受けて、その人と喫茶店で面談中なのだ。なお、こちらは美女先輩と僕の二人だよ。

「失踪した妻を探して欲しいのです。なにか事件に巻き込まれたのではないかと心配で心配で…」

 20代後半から30代前半くらいの若い男性から、行方不明の自分の妻を探して欲しいとお願いされたのだ。失踪者探しは得意中の得意です。

「自発的な失踪だとすれば、何か心当たりはありますか?」

「そんなわけがあるかっ!あいつは勝手にいなくなるような女じゃないっ!」

 …っと、なぜかいきなり激高した男性…。

 美女先輩が男性を落ち着かせようと冷静に発言した。

「落ち着いてください。周りの目がありますよ」

「あ、申し訳ない。あいつはきっと誘拐されたんですよ。どうか見つけ出してください」

 スンっと冷静になった男性に違和感が半端ない。感情の振れ幅が大き過ぎるため、どうにも怪しく感じるよ。


「分かりました。この依頼を受けましょう。成功報酬は消費税込みで30万円です。よろしいですか?」

「はい、よろしくお願いします」

「では奥様の顔写真とプロフィール、あなたの連絡先を教えていただけますか?」

 男性が喫茶店を出ていったあと、僕は1Gで発動していた重力範囲(グラビティエリア)を解除した。あ、この場の支払いはあの男性が済ませていったみたい。

 なんか変な人だったけど、美女先輩はなぜ依頼を受けたのかな?


「つつちゃん、あの男はDV夫よ。奥さんは日常的に暴力をふるうあの男のもとを逃げ出したみたいね」

「えぇ?じゃあ何で依頼を受けたの?」

「だって私たちが受けないと別の探偵事務所が奥さんを発見して、あの男のもとへ連れ戻されるかもしれないからね。だったら私たちが奥さんの味方として介入したほうが良いでしょ?」

 あー、確かに…。

 ちなみに美女先輩が確信をもって発言しているのは、魔法を使ってあの男性の心を読んでいたから…。

 もちろん街中の喫茶店には魔法阻害装置(ジャマー)が稼働しているため、魔法は使えないはずなんだけど、僕が発動していた重力範囲(グラビティエリア)内についてはその影響を受けないからね。美女先輩と僕の組み合わせで依頼者と面談するのは、これが理由なのだ。


 過去の話からようやく現在に戻ってきました。

 いよいよこの章から強大な敵に立ち向かうことになる(予定の)主人公のツバサちゃん。ただ、最強のチート女子といえども、一人で何でもできるわけではありません。

 しかし、味方となる役者は揃っています。魅了の魔女レイコさん、治癒の魔女マイさん、同じ転生者で忍びの加藤さん、もちろんBEATの面々…。他にも意外な人物が登場するかも。

 個人的に(うつ)展開になる話は嫌いなので、誰でも安心して読めるように心がけていきたいと思っています。

 さらに言えば、時代劇好きな私としては、読んだ方が痛快で爽快な気分になれるような勧善懲悪ものを目指していきます。よろしくお付き合いください。


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