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ひっそりと生きたい最強女子の転生譚  作者: 双月 仁介
第2.5章 閑話集
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084 佐藤タケル②

「…というわけで、一年間の無料モニターなんだけどどうかな?引き受けてもらえるかな?」

 今、僕の目の前には津慈ツバサちゃんが座っている。ある喫茶店のテーブル席だ。

 それにしても高校二年生で出会った時から容姿が全く変わっていない。成長の遅いエルフ娘かよ。いや、このロリっぽさはドワーフ娘か?どっちにしても可愛いのは確かだけど…。

 口には出さないけど、内心でオタクっぽい思考をしているとツバサちゃんが言った。

「うーん、僕がやるべきことと、それに対する対価は?」

「ああ、一年間に使用感を記載した報告書(レポート)を20枚以上提出すること。報告書(レポート)書式(フォーマット)は決まっているからそんなに難しくはないよ。あと報酬については、一年後に2地点間座標接続装置(ゲート)自体を無償提供するってさ」

「月に2回ほどどこかに2地点間座標接続装置(ゲート)で出かけて、報告書(レポート)を書けば良いんだね。それだけで高価な2地点間座標接続装置(ゲート)が貰えるのならやっても良いかな」

「ありがとう。親父も喜ぶよ。あ、ただし一つ注意点があります」

「ん?」

「どこかに放置しっぱなしで、紛失したり盗まれたりした場合、損害賠償を求める場合もあるってさ。まぁやむを得ない場合もあるから絶対じゃないけど」

「それなら無限倉庫(インベントリ)があるから大丈夫だよ。あ、僕に話を持ってきたのって、そういうことかぁ」

 そう、そういうことです。

 相変わらず察しが良いというか、この子は本当に頭が切れるよね。


「ねぇねぇそれじゃ今度この三人でどこかの観光地にでも出掛けようよ」

 この発言はツバサちゃんの隣に座っている嵯峨野マイさんのセリフだ。マイさんは都内の薬科大学に通っているんだけど、本人は『治癒の魔女』でもある。

 外科的外傷は魔法で治し、内科的な問題は薬で治すってわけだね。まじ最強だよ。

「良いね。タケル君もどうかな?」

「ああ、それぞれの学校の課題もあるだろうから、都合がつけばね。あと、休日の日帰りならOKだよ。さすがに泊まりはまずいかな。僕はこれでも男だし」

「そうだね。マイちゃんに怒られちゃうからね。あ、マイさんじゃなくてマイちゃんのほうね」

 ツバサちゃんの言うマイちゃんとは相田マイちゃんのことだ。親友である相田アイの中学生の妹さんだね。いや、別に付き合ってないんだけど…。

「うふふ、マイちゃんはタケル君にとても(なつ)いてるからね。あれは兄の親友ってだけじゃないわよね」

 うーん、どうなんだろ?そう言われて悪い気はしないけど、なんとなくもう一人の兄貴って感じの(なつ)(かた)だと思うんだよなぁ。


 ちなみにその親友だけど、恋人と同じ大学に行くために猛勉強して、見事その大学に合格した。もちろん彼女も一緒にね。なお、その彼女とは土浦アヤカさんのことだ。いかにも文学少女といった雰囲気の可愛い女の子だよ。

 親友のアイちゃんって、実家が金持ちの上、勉強もできるからね(ただし、頭が良いとは言っていない)。しかも可愛い彼女持ち…。くっ、リア充は死ねよ。

 真っ黒い思考に(おちい)ってしまいがちだけど、これは仕方ないと思う。なにしろイケメンと美少女のカップルだし…。まじで死ね。

 いや、結婚式には呼んでください。スピーチの際、あること無いことしゃべるのが今から楽しみで仕方ない(笑)


「タケル君、なんか微笑みが怖いんだけど、変なこと考えてない?」

「ん?ああ、アイちゃんとアヤカさんの結婚式で、どんなスピーチをしてやろうかと考えていただけだよ。披露宴会場を爆笑の渦に叩き込もうかと…」

「気が早過ぎる!そしてなんか黒いよ…。ドン引きだ!」

 ツバサちゃんの的確なツッコミが気持ち良いね。さすがはアイちゃんのボケに散々ツッコミまくっていた子だよ。

「久々にツバサちゃんのツッコミを聞いたわね。アイちゃんとの掛け合い漫才にはいつも(いや)されてたよ」

 マイさんがしみじみと感想を述べている。僕も同感だ。

「アイちゃんは天然でボケる才能があったからね。とても真似できないし、真似たくもないけどね」

「タケル君がブラックタケル君に進化してるよ。大学生になってからの発言がなんだか辛辣(しんらつ)だよ。どうしちゃったの?」

 いや、もともと僕はこういう性格なんだけど、今まではうまくカモフラージュされていただけだよ。割と心の中は黒いほうだと自分でも思う。


「まぁまぁそんなことはともかく、2地点間座標接続装置(ゲート)での旅行は日程が決まったら教えてよ。できるだけ参加したいと思ってるし…」

 女の子二人だけってのは少し心配だからね。しかも一人は中学生くらいにしか見えないし…。

「うん、分かったよ。あ、2地点間座標接続装置(ゲート)の受け取りってどうするの?魔道具メーカーに行かなきゃいけない?それとも宅配便で送ってくるの?」

「どっちでも良いけど、もしも時間があるなら直接メーカーに行ったほうが早いだろうね。親父が勤めている会社だから、もしも行くのなら僕が案内するけど…」

「あ、それじゃお願いしようかな?夏休み前には欲しいしね」

 無限倉庫(インベントリ)の保持者だからこそできることだね。本当に(うらや)ましい能力だよ。


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