表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/132

007 回想

 僕の名前は津慈(つじ)ツバサ。実は別の世界の記憶を持つ転生者だよ。

 前世は魔法なんて存在しない世界で、僕は大学生として勉強やバイトの日々を楽しくすごしていた。享年(きょうねん)は21歳。ストーカーからナイフで心臓を刺されたことによる即死だった。

 死後、神様的な存在と対面して、転生権の話を聞いた。男性は30歳以上で童貞のまま死ぬ、女性は20歳以上で処女のまま死ぬ…それが転生の必要条件だった。男女差別だな(笑)

 とにかく、僕は他の世界への転生権を得たんだけど、転生先として希望はあるか?と聞かれたので、中世っぽい世界は(いや)だと答えた。いや、そりゃそうでしょ。衛生観念が無くて不潔なイメージしかないよ。転生するなら現代だよね。あ、でも魔法は使いたいな。

 てなわけで、この世界に転生したんだけど、現代から現代への転生なので、知識チートや料理革命は無理…。前世の記憶があっても役に立たないね。歴史も微妙に違うし…。


 でも転生者への特典は記憶が残っているだけじゃなく、転生特典としての魔法技能も貰ったんだよね。てか、神様的な存在にごねまくって貰ったというのが正しいかも…。

 それがこの世界で僕だけが持つ重力魔法の技能だ。

 前世でも今世でも宇宙の根源たる四つの力は、電磁気力・強い力・弱い力・重力だ。魔法力はこれらの力の下位に存在する。でも重力魔法は根源の力に近い魔法なので、あらゆる魔法の上位に存在することになるんだよね。

 魔法阻害装置(ジャマー)による発動阻止もできないし、火属性魔法の火球なんか握りつぶすことができるよ。

 あと、無限倉庫(インベントリ)も貰った。転生と言えばこれは必須でしょう。

 俺TUEEEなチートっぽい存在になっちゃってるんだけど、僕はこの技能を悪用したりはしないよ。てか、できるだけ隠して生きたいと思っているくらい…。まぁ、裏でこっそりと善行を積むというのが、中二病っぽくて好きってのもあるんだけどね。

 今回の一件もそうだな。


 なお、銀行の中で使った範囲魔法が『重力範囲(グラビティエリア)』で、誘拐犯相手に使ったのが『重力子攻撃(グラビトンアタック)』という魔法だ。

 『重力範囲(グラビティエリア)』は半径2メートルの円内を高重力下にすることができる。1Gから10Gの間で発動できるよ。ちなみに1Gで発動すると、重力変化は無いんだけど、魔法阻害装置(ジャマー)の影響をキャンセルできるエリアを作れるんだよね。銀行の建物内で透視や認識阻害の魔法を発動できたのは、この『重力範囲(グラビティエリア)』のおかげだね。

 もう一つの『重力子攻撃(グラビトンアタック)』は、対象となるものに重力子(グラビトン)をまとわせることで重力による収縮を発生させる。原理は僕もよく分からない(笑)

 とにかく、そういう結果を得ることができる魔法なんだよ。制約としては、あまり大きな物にはかけられない、複数の物には同時にかけられない等がある。大きさ的にはせいぜい手首の先くらいまでだね。頭を丸ごと潰して殺すってのは無理だ。あと、見えていない物も無理…心臓を収縮させて即死ってのはできません。


 ちなみに、秘密にしなければならない理由はもう一つある。魔法阻害装置(ジャマー)が無効になる魔法を使える存在だと知られたら、政府から暗殺されるか幽閉されるか、あまり良い結果にならないことが想像できちゃうからね。

 だって魔法阻害装置(ジャマー)があるからこそ社会秩序が保たれているって面もあるんだよ。女性の3割しか魔法を使えないとは言っても、逆に言えば3割も使えるんだよ。それらの人たちが魔法を好き勝手に使ってたら、社会が混乱するのは必至だ。

 なのに魔法阻害装置(ジャマー)()かないなんていう存在はやばいでしょ。うん、我ながらやばい…。


 ちなみに、電磁気力や二つの核力(強い力と弱い力)に関する魔法はあるのか?神様的な存在に聞いてみたところ、電磁気力に関する魔法技能の保持者は世界に数人いるらしいよ。魔法阻害装置(ジャマー)が無効になるのかどうかは分からないけど…。別にフラグを立てるわけじゃないけど、電磁魔法の使い手とは敵としては出会いたくないなぁ。味方だったら頼もしいけど…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ