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059 修学旅行準備②

 自分の席に座っている嵯峨野さんのところにアイちゃんが行って話しかけている。

 驚いた顔でこちらを見る嵯峨野さん。僕は笑顔で手を振ってあげた。

 アイちゃんと一緒に僕たちのほうへとやってきた嵯峨野さんが少し当惑した表情で発言した。

「えっと、誘ってくれてありがとう。今まで話したこともなかったのにどうして?」

「うーん、特に理由は無いよ。()いて言えば魔法に興味があったから…かな?」

 寂しそうだったからとか、ボッチだったからなんて言わないよ。それじゃ同情して誘ったみたいだからね。

 僕の回答に少し笑顔になってくれた嵯峨野さんだった。あ、かなり可愛い子だな、こりゃ。


「あらためまして嵯峨野マイです。マイって呼んでもらえると嬉しいな」

「僕は津慈ツバサ。ツバサって呼んでね」

「私は高月レイコよ。レイコで良いわ。マイさん、よろしくね」

「私は土浦アヤカです。私もアヤカって、名前で呼んでもらえると嬉しいかな」

「俺は相田アイ。皆からはアイちゃんって呼ばれてるぜ(キリッ)」

「僕は一応このグループのリーダーということになっている佐藤タケルだよ。ついさっきリーダーに任命されたばかりだけどね」

 これで全員の自己紹介が終わったな。

 タケル君が提出用の用紙にマイさんの名前を追記して、それを教壇に座っている担任の先生に手渡しに行った。てか、『嵯峨野』って名字をすらすら書いていたけど、タケル君すげぇな。僕なら嵯峨を佐賀って書いちゃいそうだよ。


 僕の前がレイコちゃんで、後ろの席がアヤカちゃんなので、どうしても僕の席を中心にたむろする感じになる。なので、僕は席を立って、そこにマイさんを強引に座らせた。

「ねぇ、マイさん、治癒魔法ってどんなことができるの?魔法名ってやっぱりヒールなの?」

 僕の質問にマイさんは元気を取り戻したみたい。自分の得意分野の話って、人に語りたいものだよね。

「簡単に言えば、外科的な外傷を治せるの。切り傷くらいなら傷跡も残さず治癒できるわ。骨折や内臓損傷についてはかなり難しいけど、時間さえかければ治せるわよ。ただし、部位欠損は再生できないの。指先などのほんの少しの損傷でも再生させることは不可能なのよね、残念ながら…。私は魔力消費量の少ない治癒(ヒール)と、消費量の多い高度治癒(ハイヒール)が使えるわ。あ、ちなみに世界には部位欠損も修復できる極大治癒(マキシマムヒール)という魔法の使い手もいるらしいんだけど、現在この国にはいないみたい」

「おぉ、すごいじゃん。まさに魔法だよ。RPGで言えば僧侶だね」

 すかさずアイちゃんがツッコんできた。

「僧侶っていつの時代のゲーム知識だよ。てか、最近のラノベの主人公にとっては必須技能だぜ」

 このオタク野郎。知らねぇよ、そんなこと。

 僕がアイちゃんを無言で(にら)んでいると、アヤカちゃんがフォローしてくれた。

「マイさん、ツバサちゃんとアイちゃんって仲が悪いわけじゃないからね。この二人のいつものじゃれ合いだから」

「「誰がじゃれ合いか!」」

 うっ、ハモってしまった。

 アイちゃんと顔を見合わせて思わず苦笑しちゃったよ。


 なお、うちのグループをRPGの冒険者パーティーに例えると、

・レイコちゃん…『空手』を使う格闘家

・アヤカちゃん…『検索サーチ』という鑑定技能を持つ商人

・マイさん…『治癒』担当

・アイちゃん…遊び人?

・タケル君…苦労人のパーティーリーダー

・僕…無限倉庫(インベントリ)を持つ運び屋(ポーター)(秘密だけど魔法攻撃も可)

…ってところかな?


 前衛がレイコちゃんと男子二人、後衛がアヤカちゃん、マイさん、僕だな。あ、僕は『空手』も使えるので、後方からの襲撃にも対処できるよ。

 うーん、『治癒』担当が加入したことでバランスの取れた良いパーティーになったな。男子二人の戦闘力が未知数だけど…。

 …って、別に誰とも戦わないんだけどね。


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