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053 文化祭①

 体育祭が終われば、次は文化祭だ。運動部系の活躍する場が体育祭なら、文化部系の活躍する晴れ舞台が文化祭ってことになるね。

 ただ、僕は何の部活動にも参加していないし、この学校ではクラスごとの出し物も無いみたいなので、本当に見るだけ、楽しむだけのイベントだ。

 それはレイコちゃんやアヤカちゃんも同じだよ。

 あ、でもアイちゃんとタケル君はパソコン部に入っているから、文化祭では自作のゲームを公開するって張り切っていたよ。当日はぜひ見に行かねば。

 ちなみに生徒が出す屋台は無いんだけど、プロの商売人が多くの屋台を出してくれるらしい。地域のお祭りなんかでよくある形態だね。いわゆる的屋(てきや)ってやつ?

 なので、一日限定ではあるけど校内が縁日のようになるらしい。めっちゃ楽しみだ。


 あ、そうそう、体育祭のあとの顛末(てんまつ)なんだけど、あの何とかっていう3年生(名前も忘れちゃった)、クラス内でいじめまでやっていたらしい。そのせいで不登校になった女子生徒もいるって話だ。

 いじめに加担していた取り巻きの(くず)ども(男子四名+女子二名)と一緒に、(自主退学ではなく)強制退学処分になったそうだよ。

 なお、実行犯の1年生男子は情状酌量の余地があったし反省もしていたため、一か月の停学処分だそうだ。まぁ、多分こちらは自主退学することになるだろうけどね。

 退学処分になった生徒の親たちから最初のうちは強硬な抗議があったらしいけど、なぜか次第に立ち消えたみたい。不思議だな。


 それはともかく、文化祭にはアイちゃんの妹の相田マイちゃんも見に来るらしいよ。レイコちゃんやアヤカちゃんと一緒に校内を見て回る計画だ。もちろん僕もね。

 アイちゃんとタケル君はパソコン部の部室で来場者の相手をしないといけないため、僕たちがマイちゃんの案内を頼まれたのだ。うん、お安い御用だよ。


 そして、文化祭当日…。土曜日なので小中学校や週休二日制の会社は休日だ。もちろん、うちの高校もね。

 朝の9時くらいの時間に僕が校門の前で待っていると、見覚えのあるワンボックスカーが目の前に停まって小さな女の子が降りてきた。相田マイちゃんだ。

「ツバサお姉ちゃん、おはよう!」

「おはよう、マイちゃん。今日は一日楽しんでいってね」

 てか、僕も一緒に楽しむほうなんだけどね。


 このあと、レイコちゃんやアヤカちゃんとも合流して、まずはパソコン部の部室を訪れた。マイちゃんの姿を兄であるアイちゃんに見せて安心させてあげないとね。

「お兄ちゃん、タケル(にい)、来たよ~」

「おう、マイか。というか、家で朝、会ったよな」

 確かに…。アイちゃんだけ先に登校したみたいだけどね。

 タケル君が言った。

「マイちゃん、おはよう。早速だけど我がパソコン部の自信作を見てくれ。ぜひプレイした感想を聞かせて欲しいんだけどな」

 部室内にずらっと並んだパソコン画面には、同じゲームのデモ画面が映し出されていた。これが自作のゲームかぁ。すごいなぁ。


 僕たちはアイちゃんやタケル君から操作方法の説明を聞いて、さっそく挑戦してみることにした。

 まずはマイちゃんからだ。

 よくあるタイプの横スクロールのアクションゲームだったんだけど、音楽(BGM)や効果音もよくできていたと思うし、結構面白かったよ。

 場面が進むごとに敵が強くなって難しくなっていく。難易度はあえて高めに設定しているみたいだけど、これはお客さんの回転率を上げるためだろう。早めにゲームオーバーにならないと同じ人がずっと占有してしまうからね。

 …と思ったら、アヤカちゃんが10分くらいで最終面まで到達して、ゲームクリアしてしまったよ。さ、さすがはプロゲーマーです(いや、プロじゃないけど)。

 アイちゃんとタケル君の微笑みがちょっと引きつっていたけど、アヤカちゃんを基準に考えちゃダメだと思う。実際、マイちゃんもレイコちゃんも僕も割とすぐに終わっちゃったし…。


「それじゃ僕たちは別のところに行ってみるよ。演劇部のお芝居や軽音楽部のコンサートなんかも見てみたいし…」

「ツバサ、マイのことをよろしく頼むな。彼氏としてしっかりエスコートしてやってくれよ」

「おい!誰が『彼氏』か。殺すぞ」

 アイちゃんと僕の間で()わされるいつものやり取りなので、もはや誰も止めようとしたり心配したりもしない。いわゆる日常の光景です。

 マイちゃんですら、ニコニコしながら僕と腕を組んできたよ。恋人っぽくね。さすがはアイちゃんの妹と言わざるを得ない。


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