052 全校集会
体育祭は日曜日に実施され、翌日の月曜日が代休だったんだけど、今日はその代休のちょうど一週間後になる月曜日だ。
予定にはなかった全校集会があるとのことで、教室からぞろぞろと講堂へ向かって移動している僕たち。
「突然、何だろうね?」
「そうね。何か緊急に周知しなければならない事態でもあったのかしら」
僕とアヤカちゃんの会話だ。並んで歩いている僕たちの前にはレイコちゃんが歩いていたんだけど、いきなり振り返って言った。
「今日は面白いものが見られるかもよ」
ん?レイコちゃんは今日の全校集会の議題を知っているのかな?
校長先生の訓示のあと、生徒会長が壇上に上がって何事かを仕切り始めた。体育祭で活躍した3年生を表彰するらしい。え?優勝したAチームのキャプテンでもないのに?
そこからの展開はレイコちゃんの言うとおり、面白いものだった。まさに『悪は滅びろ』って感じかな。
斎藤って人がその屑っぷりを全校生徒に知らしめていたけど、かなりのお馬鹿さんなのかな?信じられない自爆っぷりだったよ。
ただし、その父親が映像の中で『勘当だ』などと言っていたけど、今世において『勘当』の法的根拠はあるのかな?前世では無かったと思うんだけど…。
未成年者を本当に『勘当』できてしまうと、それすなわち『捨て子』を容認することになっちゃうからまずいよね。育児放棄とも言うけど…。
…ってことは、あの発言の真意は『父親である俺の金と権力を当てにするなよ』ということかもしれない。
もしかしたら、この一件以外にも国会議員である父親の力を使って、色々な事件の揉み消しなんかをやっていたのかもしれないよね。
いずれにしても、この学校を卒業するのは無理だろうな。この学校に居続けるってことは、周囲の厳しい視線を受けて『針の筵に座る』ような状況になるだろうし…。逆に自主退学しない場合、すごい精神力の持ち主と言っても良いのかもしれないけどね。
それにしても、あの転倒の瞬間に僕が見たものが錯覚ではなかったってことだね。さすがは生徒会長、よく調べ上げたものだよ。会長って同じ2年生なんだけど、本当に尊敬できる人だね。
ちなみに、罰が重過ぎるってことは無いよ。あの後ろに引き倒すって行為は本当に危険だからね。下手したら後頭部を打つことで最悪の場合は死亡したり、後遺症が残ったりしたかもしれない。
実行犯の1年生も命令した斎藤って3年生もしっかり反省してもらいたいものだ。
ん?そう言えば、優勝がAチームってのは変更無しなのかな?そこがちょっとモヤっとするよね。
やはり主人公っぽくないツバサちゃん。単なる傍観者になってます。




