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040 中間試験

 学校が楽しい。

 幼い頃からの大親友、それに気の合う友人たち。以前の高校でも友達は多かったし、比較することでもないんだけど、やっぱり今のほうが楽しいよ。

 レイコちゃんの(すす)めに従ってこの高校に編入させてもらったのは大正解だったね。

 一学期の中間試験、つまり二年生最初の大きな試験でもレイコちゃんとアヤカちゃん、そして僕がトップ争いを繰り広げたよ。成績上位者の30名だけが(つまり、1位から30位までが)その氏名を廊下にある掲示板に貼り出されることになっている(と、レイコちゃんに聞いた)。

 僕たち三人は今まさにそこにいて、貼り出された順位表を眺めているところだ。

「うーん、さすがはレイコちゃんだね。総合得点ではやっぱり届かないかぁ」

「ツバサちゃんも僅差の2位じゃない。ふふ、世界史と日本史はやはり苦手?」

「そうだね。勉強はしてるんだけどね~。それよりアヤカちゃんもさすがだよ。僕と2点差の3位じゃん」

「これからは万年2位だったのが、万年3位になりそうね。期末試験こそは2位を奪還してやるんだから…」

「いや、そこは1位を目指すべきじゃないの?」

 僕たち三人は笑いあっているけど、周りにいる学生たちは特待生に対するリスペクトの視線を向ける者、忌々(いまいま)しそうに(にら)んでくる者、美少女三人組に思慕の念を(いだ)いてるっぽい者(多分…)と様々だ。おっと自分のことを美少女って言っちゃったよ。


「レイコやアヤカはともかく、ツバサがそこまで出来るやつだったなんて思わなかったぜ」

 後ろからいきなり声をかけられた。

「アイちゃんか…。ん、相田アイは…っと、おお、8位じゃん。やるな、お(ぬし)

「僕も今回はちょっと頑張ってみたよ」

 タケル君も一緒か。てか、アイちゃんとタケル君はいつも一緒にいるよな。

「えっとタケル君は…。佐藤タケル、佐藤タケル…っと。ふむ、16位かぁ。まぁまぁだね」

「くっ、上から目線だよ。いや、確かに僕より『上』なんだけどね」

 これでいつもの仲良しグループが揃ったな。


 五人で一緒に教室へ戻る途中、アイちゃんが話題を提供してきた。

「そう言えば知ってるか?別のクラスで女帝と呼ばれていた女子のこと」

 アヤカちゃんがビクッと身体を震わせた。ん?知り合いかな?

「知らないけど、その『女帝』さんがどうしたの?」

 僕が聞くと、アイちゃんが声を(ひそ)めて教えてくれた。

「ある中堅の建設会社の社長令嬢だったんだけどな。その会社が莫大な負債を抱えて倒産したらしい。今回の中間試験で特待生資格が得られなければ退学だって噂だぜ」

「へぇ、やっぱりここは授業料が高いんだね。そう言えばアイちゃんとタケル君も申請すれば特待生になれるんじゃないの?」

「親の収入が一定以上ある場合、成績が良くても特待生にはなれないんだよ。まぁ、一定以上って年収一千万円以上だから、普通は大丈夫なんだけどな」

「ええ?二人ともそんな良いところのお坊ちゃんだったの?全然、見えないよ」

「全くお前はいつもいつも失礼なやつだよな。てか、お前らしいけどな」

 そんなアイちゃんと僕の会話を無言で聞いているだけのレイコちゃんとアヤカちゃんだった。レイコちゃんは全く関心が無さそうに、アヤカちゃんは口元が(ほころ)んでいてちょっと嬉しそうだったけどね。


 どう考えても『女帝』さんの会社を崩壊させたのは、レイコちゃんの意を汲んだ御前様でしょうね。

 そして当然、アヤカちゃんをいじめていた張本人と推測されます。


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