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039 放課後③

「今日は誘ってくれて本当にありがとう。こんなに楽しかったことはこの学校に入ってから初めてです」

 土浦さんが僕たち四人に向かってお礼を言った。ん?てことは一年生のときも孤立していたってこと?

 レイコちゃんが言った。

「ねぇ、土浦さん、いえアヤカちゃんって呼んでも良いかしら?一年生のときは別のクラスだったけれど、実は私もクラス内では孤立していたのよ。貧乏人の特待生だから仕方ないけどね。でもこれからは私たちと友達よ。いえ、友達になってくれるかしら?」

「うん、僕もアヤカちゃんって呼ばせてもらうよ。あと、敬語はいらないよ。もう友達だからね」

 僕もレイコちゃんに便乗して、土浦さん、いやアヤカちゃんに言った。

 相田君や佐藤君も同じように話しかけている。

 アヤカちゃんは微笑みながら涙ぐんでいた。


「実は一年生のとき、いじめられていたの。いじめを主導していた人とは二年生では別クラスになったから良かったのだけど、教室ではできるだけ目立たないようにしようと思って…。目立つと、またいじめられるかもしれないし…」

 そっかぁ。でもこれからは大丈夫だよ。レイコちゃんと僕、それにKYだけどフレンドリーな相田君や苦労人の佐藤君もいるしね。

「アヤカちゃん、そいつがまた何か言ってきたらすぐに言ってね。僕が叩きのめしてあげるよ」

 僕の言葉に続いてレイコちゃんも発言した。

「ええ、いじめをするようなやつはこの世から消してあげるわ。あ、比喩よ比喩…。殺すって意味合いじゃないからね」

 レイコちゃんは中学校でいじめられていたって言ってたから、いじめが許せないんだろうな。めっちゃ冷たい目をしていたよ。


「皆、本当にありがとう。高月さん、津慈さん、相田君、佐藤君、一度に四人も友達ができるなんて…。とても嬉しい」

「あ、そうそう。二年生の一大イベントである修学旅行、そのグループ分けは五人で一つのグループだそうよ。私としてはこの五人で組みたいのだけれど、どうかしら?」

 レイコちゃんの提案に全員が賛同したのは言うまでもない。

 修学旅行かぁ、楽しみだな。まだまだ先の話だけど…。


 このあと、アヤカちゃんの身の上話をメインに色々とおしゃべりした。

 アヤカちゃんのご両親は地方公務員の父親と専業主婦の母親で、大金持ちではないけれど別に生活に困窮しているわけでは無いらしい。僕のところと似たような感じだね。

 一年生のときの成績はレイコちゃんに次いで学年二位。てか、レイコちゃんが主席だったよ。

 これは僕も負けられないね。苦手な歴史を何とかしないといけない。前世で覚えたことと今世の歴史がごっちゃになって、こんがらがるんだよなぁ。

 どうでも良いけど、相田君は学年11位、佐藤君は24位だったらしい。一学年は160人なので大したものではある。くっそ、イケメンのくせに無駄に高スペックだな、アイちゃん。

「相田君って佐藤君からアイちゃんって呼ばれてるけど、名前は何て言うの?」

 アヤカちゃんの質問に相田君が驚愕の回答をした。

「ん、俺?相田アイって名前だぞ。女の子っぽくて好きじゃないんだけどな」

 はぁぁぁ?アイちゃんって名前呼びだったんだ。今日一番の驚きだよ。


「アイちゃんは僕の幼馴染(おさななじみ)でね。ちなみに聞かれてないけど、僕は佐藤タケルだから。平凡な名字だから、僕としては名前のほうで呼んでもらいたいんだけどね」

 クラスの自己紹介では名字しか言ってなかったから知らなかったよ。

「それじゃこれからはこの五人の間では名字呼びは禁止だね。くくく、アイちゃんは嫌がるだろうけど」

 僕のこの発言にアイちゃんが言った。

「お前、ほんと俺のこと嫌いなんだな。ちょっと傷ついちゃうよ」

「ん?アイちゃんが嫌いなんじゃないよ。イケメンが嫌いなんだよ、僕は」

「あれ?俺のこと好きって言った?言ったよな?」

「言ってねぇよ。殺すぞ、まじで」

 てか、こいつ僕のこと好きなんじゃないだろうな?まさかロリコンかよ。あ、ロリって自分で言っちゃった。

 他の三人はめっちゃ笑ってるし…。


 アヤカちゃんをいじめていた人間がレイコさんによってどういう目に会うのかが心配です。護衛である『五番隊』を使って主犯の特定くらいはしそうだけど。


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