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038 放課後②

 僕はこの機会に土浦さんも誘ってみた。

「ねぇ、土浦さん。今日の放課後、僕たちと一緒に遊びに行かない?」

 特待生ということは貧乏でアルバイトをしていたりするかもしれないし、無理に誘うつもりはないけどね。でも話をする機会にもなるし、もしかしたらOKしてくれるかも?と思っただけだ。

 すると意外なことにこう言われた。小さな声だったけど。

「私が一緒に行っても構わないのなら行きたいです」

 自己紹介のときと授業で先生に指名されたとき以外で、土浦さんの声を聞いたのは初めてかもしれない。

 僕を含めた四人全員が大歓迎の意を示したのは言うまでもない。


 結局、全員で話し合って、駅の近くの繁華街にあるゲームセンターに行って遊んだあと、ファミレスでおしゃべりをするという予定を立てた。

 高校生の遊びとしては極めて健全な部類だろう。

 で、放課後…。

 ゲーセンではビデオゲームではなく、クレーンゲームや身体を使うようなゲームをメインに楽しんだ。

「アヤカ、クレーンゲームがめちゃ上手だな。というか、よく見たら可愛いな、お前」

 土浦さんのことをいきなり名前で呼ぶ馴れ馴れしいこの男は、言うまでもなくアイちゃんだ。こいつのことをコミュ障だと思っていたけど、どうやら違ったみたい。単に発言がキモイだけだ。

「あ、ありがとう」

 土浦さんが頬を赤く染めてぼそっとお礼を言った。うん、可愛いな。


 ちなみに、パンチングゲームでは僕の独壇場だったよ。相田君や佐藤君のパンチ力よりも僕のほうが上だったからね。ほんの(わず)かだけど…。でもウェイトの違い(軽さ)を考えると、勝てたのは我ながらすごいと思うよ。背が低いから踏み台を使ったんだけど、それが無けりゃもう少し高得点だったはずだけどね。

 バスケットボールをリングに入れるゲームではレイコちゃんが圧倒的だった。てか、この子はスポーツも万能なのだ。まじでスペック高いんだよな。


 ひとしきり遊んだあとはファミレスに移動した。

 大きな袋にクレーンゲームの景品をパンパンに詰め込んだ土浦さんは、『ゲームセンター荒らし』かよって感じだ。いや実はプロゲーマーかもしれない。

 ファミレスに入店すると六人掛けの席に案内され、一方に女性陣、対面に男性陣が座った。僕はレイコちゃんと土浦さんに挟まれた状態だ。

「リトルグレイを思い出すな」

 相田君がまた余計な発言をしているよ。どうしてこいつはイケメンのくせにこうも残念なんだ?

 誰が二人のアメリカ人に両手を繋がれた小柄な宇宙人だよ。てか、ツッコミが説明的過ぎて面白くないよ。

 僕は座席の下で相田君の足を蹴っ飛ばしてやった。

「痛ってぇ。こいつ蹴りやがった。どうしてお前はいつも暴力的なんだ?」

「僕はイケメンが嫌いなんだよ。いい加減気付けや。殺すよ」

「おいおい、俺がイケメンだって?照れるなぁ」

 こいつの前向きな精神力は称賛に(あたい)する。それだけは褒めてやろう。

 ほら、レイコちゃんも土浦さんも笑ってるじゃん。


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