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030 エピローグ

 安西モエさんの部屋で行われた会合から四日後の土曜日、僕のスマホに連絡が入った。そう、加藤さんからの連絡だ。

「ツバサちゃん、明日の日曜日なんだけど、例の件で会えないかな?」

 もちろん、僕に異存は無い。

「大丈夫だよ。どこに行けば良い?」

「そうだな。朝9時くらいに君のアパートへ迎えに行くよ」

 おお、それはありがたいな。なんだか、彼氏みたいだね。てか、実は僕って、男性と付き合った経験が全く無いんだけどさ。


 海のほうへ車でドライブデートって感じになったんだけど、おそらく加藤さんに付いている監視を振り切るのが目的じゃないかと推測している。

 海岸沿いを走る道路の途中にある休憩所みたいなところに車を停めて、海を眺めながら会話したよ。

「安西ハツミさんには新しい戸籍と住まい、それに仕事も斡旋したよ。もう新たな拠点で新生活を始めているからな。そして、これが新しい携帯電話番号だ。君から妹さんへ伝えておいてくれるか?俺が安西モエさんに接触するのはできるだけ避けたいんでな」

 加藤さんから渡されたメモには丁寧な文字で電話番号が書かれていた。几帳面な字だな。ちょっと意外…。

 このあと、ハツミさんとモエさんの二人で相談して、ハツミさん自身のお葬式を出したりしなきゃいけないんだよな。大変そう…。


 あと気になるのは魔法阻害装置(ジャマー)の件だな。僕自身はその機能に穴があろうが、どうでも良いと思っているんだけどね。なにしろ僕の魔法にも魔法阻害装置(ジャマー)()かないし…。

「ねぇ、結局、魅了魔法を阻害しない魔法阻害装置(ジャマー)って、流通することになるの?」

「ああ、そうなりそうだ。一般人が魅了魔法(チャーム)の技能を持っていてもあまり問題にはならないが、それが権力と融合した場合、将来的には恐ろしいことになるかもしれないな。でもツバサちゃんも他の三人の魔女さんにしても、この件にはあまり首を突っ込むなよ。これは同じ転生者としての忠告だ」

 はぁぁぁ?加藤さんも転生者なの?というか、なぜ僕が転生者だと分かったの?

 多くの疑問が頭の中に渦巻いて、言葉を発することができない。


 数秒後、絞り出した言葉がこうだった。

「加藤さんって前世では30歳を過ぎても童貞で、しかも童貞のまま死んだんだぁ」

「って、復活したあとの第一声がそれかよ!余計なお世話だってーの。それを言うなら、君だって20歳(はたち)過ぎても処女だったんだろが」

 いやいや、処女なのは別におかしくないよね。魔法使い様には言われたくないよ。あ、前世では『童貞のまま30歳を過ぎると魔法が使えるようになる』って言われてたからね。


 加藤さんが感慨深げにしみじみとした調子で言った。

「まぁとにかくお互いに秘密は守ろうや。ただ、もしかしたら将来、君の力を貸してもらうような事態になるかもしれん。そのときはよろしくな」

「うん、こちらこそだよ。僕たちって恋愛関係にはなれないけど、共闘関係にはなれそうだよね。まさに少年漫画的好敵手(ライバル)関係ってやつ?」

 あと、転生者としての仲間意識もあるしね。


 ここまでは良かったんだけど、なぜか加藤さんがもじもじしながら聞いてきた。

「なぁ、尾錠(びじょう)さんって彼氏とかいるのかな?ツバサちゃんと同じ会社なんだから、好きな人がいるのかどうかとか知ってるんじゃないか?」

「ああん?美女先輩を狙ってんの?ダメだよ。美女先輩は誰にも渡さないよ」

「お前は保護者かっ!はっ!ま、まさかの百合(ゆり)的展開?」

ちげぇよ!先輩はうちの会社の(いや)しなんだから、ずっと独身でいてほしいんだよ。読心の魔女だから独身っていう駄洒落(だじゃれ)じゃないよ」

 あ、そうか。美女先輩と付き合えるのは、読心魔法に対抗できる男性だけか…。付き合っている相手の心が読めてしまうってのは、案外不幸なのかもしれないね。

 うーん、だとしたら確かに加藤さんは美女先輩にお似合いなのかもしれないな。まぁ、本人には言わないけど…。

 それより、イケメン執事が一転して残念な感じになっちゃってるんだけど、どうしたもんかね?


 これで第1章が完結です。

 結局、悪の親玉は倒されてないじゃんって思われていることでしょう。いや、ラスボスを倒しちゃうと話が終わってしまうし…。


 第2章は主人公の学生時代の話、つまり過去編をやる予定です。ご期待ください。


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