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122 暗殺計画

 月に一回くらいの頻度で九条レイカさんに呼び出されている(らしい)三条さんは、その情報を翌週の月曜日にこっそりと僕や美女先輩に教えてくれている。

 この件の依頼を受けたときに使った喫茶店の奥まった席は、いつの間にか僕たちの予約席みたいになっちゃってるよ。

 現在、すでに年が明けて2月…。レイコちゃんの大学卒業はもうすぐだ。


 あ、そうそう。九条家では元旦に新年会として、一族全員が本家のお屋敷に集合するらしい。なんか『御前会議』って感じだね。

 でも今年の新年会にはレイコちゃんの姿は無かったそうだ。レイコちゃん本人から『卒論の執筆で忙しくて帰省できない』って連絡が入ったらしいよ。三条さん情報だけど…。

 就職活動に関しては東京のある企業(九条グループではない)の内定を貰っているみたいだから、東京に戻ってくるのは確定しているみたいだけどね。

 九条財閥のお嬢様として、グループ企業に役員待遇で入社するなんてことは無いのかな?まぁコネに頼らないってのは、レイコちゃんらしいと言えば『らしい』んだけど。


 でも祖父である御前(ごぜん)様はレイコちゃんの就職に関して何も言わなかったのだろうか?どう見ても優秀な人材なんだから、九条グループに入れたいって考えるはずなんだけどね。それともレイコちゃんが強い意志で御前(ごぜん)様を説得したのか…。

 てか、就職面接のために東京に来ていたのなら、何で僕に連絡をくれなかったのかな?

 レイコちゃんのことだから、九条家のお家騒動に僕を巻き込まないように距離を取ろうとした?…そんな水臭いことを考えていたんだろうな。いやいや、今後は積極的に巻き込まれに行くつもりだからね、自主的に…。


 時は進み、3月に入ったある日の昼休み、三条さんが美女先輩と僕に最終的な暗殺計画の内容とその日付を教えてくれた。

「暗殺計画の実行予定日は5月の連休で、私がレイコさんを登山に誘い出すことになっているわ。そして山中で滑落などの事故で死んでもらうという計画よ」

「僕は4月にはレイコちゃんと再会するつもりだけど、この件の詳細を話しちゃっても良いんだよね?」

「もちろん。登山の誘いに応じるかどうかはレイコさん次第だけど、もしも応じるのなら二人で暗殺者を返り討ちにしてやるわ。最悪でも私がレイコさんの盾になるつもりよ」

 三条さんが悲壮な決意を固めたような顔になっている。

「ダメだよ。レイコちゃんと三条さんの二人を守りきってこそ、僕らの勝利なんだからね。そのための僕たちBEAT(ビート)だよ」

「ふふ、ありがとう。尾錠(びじょう)さんも津慈(つじ)ちゃんもどうぞよろしくお願いします。今ここにはいないけど、有村さんと江藤さんにもよろしく言っておいてくださいね」


「あ、そう言えば、九条レイカさんの発言を録音する件はどうなったの?」

「市販のICレコーダー、スマホの録音機能や録画機能、はては古いカセットテープの録音機(レコーダー)なんかも試したんだけど、ほとんどが失敗したわ。でも一度だけ成功したときがあったの。ただしそのときって、暗殺計画のことには一切()れず、録音できた内容は毒にも薬にもならない雑談だけだったんだけど…」

「成功と失敗で、現場の状況に差分(さぶん)はあった?」

「側近の男性がレイカさんの後ろに立っていたか(いな)かが違いかな。二人っきりで会ったときだけ録音に成功したのよ」

 なるほど。だったら、その側近の人が何かしてるんだろうね。どうやって録音を妨害しているのかは不明だけど…。


 レイカさんの側近とは七宝(しちほう)コウジン氏のことです。

 暗殺計画の主導に加え、その実行役も担っています。


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