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113 誕生日①

 僕の毎日は今とっても充実している。

 仕事は楽しいし、趣味の人助け(BEAT(ビート)の活動)も順調だ。

 会社では美女先輩(尾錠(びじょう)サヤカ)と三条さん(三条アスカ)、プライベートではユカリさん(有村ユカリ)とマユミさん(江藤マユミ)という親しい友人もいる(全員僕より年上だけど)。

 あと同年代の友人としてはマイさん(嵯峨野(さがの)マイ)とタケル君(佐藤タケル)が高校時代からの親友で、いつでもすぐに連絡をとることができるよ。二人とも首都圏在住だからね。

 そしてついに、前世での享年(きょうねん)(21歳)を超えて22歳になった。なんだか感無量だね。

 前世と同じく今世も21歳が寿命なんじゃないかって少しだけ(おび)えていたんだけど、それは杞憂(きゆう)だったみたい。


 んで今日、僕の誕生日を祝ってくれているのが前述の六人なのだ。初対面の人が多いせいで、最初の自己紹介が大変だったけどね。

「マイさんもタケル君も、もう企業内定は貰ってるんだよね?」

「いいえ、うちの大学の薬学部は6年制だから、卒業はまだなのよ」

「僕のほうも大学院へ進むことにしたから、あと2年間は大学にいるよ。とりあえずは修士(マスター)なんだけど、もしかしたら博士(ドクター)まで進むかもしれない」

 ありゃ、マイさんとタケル君は来年3月に卒業だと思っていたら違ってたよ。


「お二人とも優秀なのね。さすがは津慈(つじ)ちゃんのお友達ね」

 三条さんが感心したように言った。タケル君の顔が少し赤くなっているのは()められたからなのか、はたまた三条さんの美貌(びぼう)にやられたのか…(笑)

 てか、この場には美人しかいないよ(僕以外は)。タケル君がいわゆるハーレム状態になってるんだけど、男性一人ってことでどうにも居心地が悪そうだ。アイちゃん(相田アイ)も呼べば良かったな。

 だったらレイコちゃん(高月レイコ)やアヤカちゃん(土浦アヤカ)も呼びたかったんだけど、さすがに福岡と京都だからねぇ。まぁ2地点間座標接続装置(ゲート)があるから呼べなくもないんだけど…。


 マイさんが少し興奮気味に聞いてきた。

「ねぇねぇ、それよりBEAT(ビート)の活躍をもっと色々教えてよ。特に悪を()らしめる系の話は良いよね」

 最初のほうの案件である安西ハツミさんの事件は絶対極秘だから話すことはできないんだけど、今まで解決してきた小さな案件については(個人名は出さないものの)面白おかしく話してあげたのだ。

「私としては嵯峨野さんとつつちゃんが旅行中に出会った事件のほうが面白いわ。特にヤンキー集団をぶちのめした話なんか最高ね」

 マイさんと僕が2地点間座標接続装置(ゲート)を使った旅行中に遭遇したしつこいナンパ野郎…。そいつらを撃退した話と似たような話を聞きたそうにしているのが美女先輩だ。

 いや、なんか恥ずかしい…。僕がぶっ飛ばして、マイさんが治癒するというマッチポンプだし…。


「そうそう嵯峨野さんって『治癒の魔女』なのよね。…ってことは、今この場には魔女が五人いるのかぁ」

 そう言ったのはマユミさんだ。

 で、この言葉に即座に反応したのがタケル君だった。

「え?今ここには女性が六人いますけど、うち五人が魔女なんですか?」

 三条さんも目を大きく見開いて驚いているみたい。


「あー、タケル君。実は僕も魔女なんだよ。マイさんにはすでに打ち明けてたんだけどね」

 僕の言葉に驚いているタケル君と三条さん。

「三条さん、これは会社の人たちにも秘密にしてるから誰にも言わないで欲しんだけど、美女先輩は『読心の魔女』、僕は『重力の魔女』だよ」

 ユカリさんとマユミさんは自己紹介のときに『透視の魔女』と『認識阻害の魔女』であることを名乗っているから、これで全員の秘密が共有できたわけだ。

 あと、もう一つ僕の秘密を三条さんに伝えておこう。三条さん以外は知ってることだからね。

「さらに僕は無限倉庫(インベントリ)という技能も持ってるから、何かあったら力になるよ。いつでも頼ってくれて良いからね」


 ほんの少しの時間、顔を(うつむ)かせて何か悩んでいるような三条さんだったんだけど、顔を上げたときには何かを決意したような表情になっていた。

「皆さんが秘密を開示してくれているのに、私だけが何も言わないのはやはりよくありませんね」

「へ?三条さんも魔女なの?」

「いえ、私は魔女ではありません。私の秘密は『三条アスカ』という名前が偽名であることです」

「「えぇ~」」

 驚いたのは美女先輩と僕の二人だけだったんだけど、三条さんの実名を聞いてこの場にいる全員が驚いた。

「私の本名は九条アスミ。九条財閥のトップである九条家の直系です。さらに言えば、御前(ごぜん)様と呼ばれている九条財閥総帥である九条ヨシヒサの孫なんです」

「「「「「「はぁ~?!」」」」」」

 遠山の金さんの桜吹雪がお白洲(しらす)で咲いた、もしくは水戸のご老公様の印籠が登場したかのような衝撃だ。全員の口があんぐりと()いちゃってるよ。


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