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107 開発部の新人①

 大規模案件に対応するため社内体制が見直され、総務部から開発部へ二人ほど異動した。イケメン男性と三条さんだ。

 社長の姪っ子のギャルがぶうぶう文句を言っていたらしいけど、さすがにギャルの開発部への異動については社長が許さなかったらしい。あの『エレベーターホール事件』で()りたみたいだね。

 イケメンのほうはある程度のIT知識はあるみたいで、外注先の管理くらいなら任せられそうだ。さすがにプログラミングはできないみたいだけど。

 三条さんも事務作業だったら問題ないんだけど、開発自体は難しいみたいだね。なので、ドキュメント管理者(ライブラリアン)として働いてもらうらしいよ。


「三条さん、同じ部で働けて嬉しいよ。美女先輩ともどもこれからよろしくね」

「うん、津慈ちゃんありがとう。あと尾錠(びじょう)さんもよろしくお願いします」

 昼休みの時間、社食での会話だ。美女先輩と三条さん、あと僕の三人は最近はいつも一緒に行動しているのだ。

「もう、つつちゃん、いい加減に『美女先輩』は()めてよね。三条さんのような美女の前でそう呼ばれるとむず(がゆ)くなっちゃう」

 いやいや二人とも美女ですよ。他部署の男どもが僕らをチラチラと見ていることからもそれは明らかです。この一角だけ顔面偏差値が異常に高くなってるよ。


 プロジェクトが本格的にスタートしてから数か月、元請(もとう)けとの会議は何回か行っているんだけど、最初に来た九条という男性はあれから一度も来ていない。ギャルのせいか?

 まぁ、お偉いさん(神)が頻繁に降臨するような事態も困るけどね。ウォーターフォール型じゃなくメテオフォール型開発になっちゃうし…。

 神様が隕石(メテオ)を我々下界の(たみ)のもとへ降らして、プロジェクトをぐちゃぐちゃに破壊するような形態のことだね。要するに、偉い人にはあまり口出ししてもらいたくないってことだ。

 そんなある日、次のデザインレビューではクライアントの来訪があるらしいとの噂が聞こえてきた。来るのは初回の会議にいらっしゃった九条様かな?

 まぁとにかく、完璧な会議資料や当日の段取りなど入念な準備が必要になり、部内がめっちゃピリピリしているよ。


 ただ僕が懸念しているのはギャルの動向だ。九条様がいらっしゃったときに何を仕出かすか分かったもんじゃないからね。九条様が来るとは限らないけど、警戒しておくに越したことは無い。

 社内で動いている魔法阻害装置(ジャマー)のせいで魔法は使えないんだけど、僕の重力範囲(グラビティエリア)内なら魔法発動は阻害されない。だから毎朝、ビル1階エレベータホールでこっそりと美女先輩の読心魔法をギャルにかけてもらっているよ。てか、ギャルは仕事しないんだけど、毎朝遅刻せずに出勤しているんだよね。真面目(まじめ)なのか不真面目(ふまじめ)なのか、どっちだよ。

 そしてある日の朝、深刻な顔で美女先輩が僕に言った。

「つつちゃん、ちょっとまずいことを仕出かしそうよ、あの子。よっぽど三条さんを追い出したいのかな?」

 詳しい話を聞いた僕はあんぐりと口を開けちゃったよ。まじ唖然…。あのギャルのやつ、うちの会社を潰す気か?


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