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魔物も問題と同じくどこからともなく出現する。
人が忌み嫌うものの出現はいつも突然である。
問題の原因となる負の感情は誰しもが持っているように、魔物の原動力となる闇の魔力も濃度の差はあれど、どこにでも存在するものだからだ。
その闇の魔力が動物の精神を蝕み、凶暴化させ、また、岩などの無機物媒体に闇が付着し、意思を持ち始め魔物となる。まだ仮説にすぎないが、高濃度の闇の魔力がそのまま形を成す事があり、それが魔物より上位種族にあたる、知性を持った魔族であると言われている。
自由行動を許されたショウはレントスの外の草原で、魔物退治を行っていた。
敵は三体、赤く球体の形をした《まる雄》、緑の正四面体の《さんか君》、そしてオレンジ色の立方体の《しかく坊や》だ。岩のような身体に、縦棒のような目があり、ポップなフォルムをしているが、この三体は立派な魔物である。油断して近づき、大けがをした人も少なくはない。
「来るよ!」
「はい、任せてください!」
同行していたアテナが十字架の首飾りを取り出す。この場合のアテナの「任せてください」とは「邪魔にならないようにする」であり、アテナは身をかがめ、祈り、自分に《防御力強化》と《反応力強化》をかけた。
まず魔物三体はショウとアテナを覆うように散会。綺麗に三等分120度に分かれている。《まる雄》、《さんか君》、《しかく坊や》は兄弟関係がある魔物で、単体の力が弱いもものの連携力が一番の強みである。
背後にいた《さんか君》が、レイに向かって頭の尖った部分を向けてぴょんと飛んだ。この尖った部分には半端な鎧なら簡単に貫ける貫通力を持ち、油断できない。
レイは亡者の剣を逆手に持つと、魔力を込め、土魔法を発動させた。
<粘土隆起>
基本レベルの土魔法である。地面から土が一気に盛り上がり、《さんか君》は回転しながら真上に飛ばされ、レイはすかさず追撃の構えを取った。
<炎の矢>
亡者の剣の魔力球から一本の赤き矢が形作られ、空中に舞う《さんか君》目掛けて飛ぶ。
まずは一匹、と思われたが、防御力に定評のある《しかく坊や》が《さんか君》の前に飛び立ち、レイの炎の矢を受け止めた。
アテナは「見事な連携ですねぇ」と星を見るように二体の連携を眺めている。
レイを倒すのは単体では厳しいと判断したのか、《まる雄》は体当たりをアテナに向かって繰り出した。
「うわあああ!?」
アテナはその攻撃を、身体をくねらせブリッジ回避。勢い余って、《まる雄》は遠くへと飛び、一時戦線離脱。《しかく坊や》は着地し、体勢を整える為に跳ねて、下がった。
だが、その時レイの張っていた<電撃の罠>が発動し、《しかく坊や》に雷撃が襲った。
《さんか君》が驚いている隙をつき、レイが風を足に纏って突撃。《さんか君》やを兜割で縦から真っ二つに切り裂いた。敵を討たんと体当たりをしかけた《まる雄》も、まるでバッドで打たれるかのように、太い亡者の剣のヘラの部分で打ち返され、割れる。物質系の魔物なので血などは出ず、中身はただの土や岩の塊を切ったような感覚がレイに伝わる。
「レイさん! まだです! 《まる雄》が!」
アテナの声に反応してレイが向くと、二つ割れた《まる雄》が赤い光を放っており、最後っ屁の自爆を繰り出そうとしていた。
「私の出番ですね!」
<聖なる壁>
アテナの掌から、白い壁が発生し、二人を包み込む。
それと同時に《まる雄》が自爆し、黒い煙とともに石つぶてが辺りに飛び散った。
石つぶてがアテナの壁にあたる、大きめの石が壁に当たり、ヒビが入るも、アテナは必死に耐えている。
やがて、石つぶてと煙が収まり、辺りが静寂に包まれた。
光の戦士により討たれた三体の魔物達は既に闇の霧へと化し、跡形もなく消えている。
「ふふん どうでしょうか? やりました! って、あわわわ」
アテナは得意げになってレイに振り向くと、けふっ、と真っ黒に焦げたレイは黒い煙を吐き出した。所々にすり傷やかすり傷がある。
アテナの貼ったバリアは、範囲が足らずレイを覆うことができなかったようだ。
「す、すいません。今治します」
「いや、大丈夫だから」
アテナが慌てて治癒術をかけようとするも、その前にレイの傷がみるみる塞がっていく。
「治癒能力…」
「そう……らしいね」
アテナがぽかんと口を半開きにして、レイの傷が塞がる様子を眺めていた。
治癒術は魔術よりも会得が難しい術で、祈祷師として長年修行し、祈り、神から力を賜る事でようやく軽傷を治せるくらいの力を得る事ができる。
「疲れていないですか? 今薬を出しますね」
と、アテナはポーチから魔力回復薬を取り出そうとバッグを漁った。治癒術には多くの精神力を割くのだ。見習い祈祷師のアテナだと軽傷で二回が限度、精神力回復薬を飲みながら出ないと、とても実用レベルとは言えない
「いや、大丈夫だよ」
「え? ダメですよ、強がりは身体に毒です」
「嘘じゃないって」
「え、本当に疲れていないんですか?」
(あれ、私がレイさんに付く理由、もしかしたらないのでは?)
ガーン、とアテナに衝撃が走った。今のレイは治癒術に明るい祈祷師がいなくとも、長期間戦闘を行う事ができるのだ。アテナがいる必要などなく、前にドットルト砂漠で言った「修行の内です」という冗談が、本当になっていたのだ。
「な、なら、なおさら私の力が必要なようですね。治癒魔法の先輩として、私はみっちり指導してあげます」
普通の人ならば、自己嫌悪や嫉妬の感情が生まれるのであるが、彼女は違った。
彼女の強さは、レイに対し嫉妬や、劣等感という負の感情を一切持たず、(シルク・ベルク以来の祈祷術の天才なのかもしれない)とその原石を磨かなくてはいけないとアテナは思う所であった。
レイもアテナの言葉に疑う事無く「うん、よろしく」と言い、早速先輩アテナの治癒の心構えが説かれようとしたその時、レイの頭頂部にある毛がぴょこぴょこと反応した。
これは、彼が闇の気配を感じ取ったサインである。
レイの瞳の輝きが、すっと消えた。
闇の対をなす光の魔力と、ガーネットの魔術的素養、そしてレイ自身の魔物への憎悪。これを組み合わせ、鋭き闇への感覚をつくりあげていた。
「闇…ですか?」
「結構多いね」
「わかりました、レントスに戻って人を呼んできますね」
「いや、僕一人で行く。君は戻っていてくれ」
「え? でも危険ですよ」
「人を呼んで、ケガをさせたくないんだ。いいね?」
レイはアテナに真剣な表情を向けた。その霞んだ碧い目からは、光の戦士としての底知れぬ正義感と、何か別の感情、負の感情も見え隠れしていた。
その負の感情を言及する勇気はアテナにはなく、レイの圧に押され、アテナは「わかりました」頷く事しかできず、レイは背を向け闇の気配に一人、歩き始めた。
レイの姿が小さくなった時、アテナはある深い茂みに行った。
「カースさん、どうしましょう?」
すると、茂みの中から迷彩柄の布で植物に擬態していたカースが姿を現した。
「無論、後を追いやしょウ」
「他に人を呼ぶ必要はありますか?」
「いえ、このまま追いましょう。戦力については問題ありやせん。ダンナから借りたコイツがいマス」
カースは機械仕掛けの小盾を取り出した。空中で手放すと、そこで静止し、まるで妖精のように二人の周りを飛ぶと、アテナの胸元にゆっくりと落ちた。
「すごいですね…これが カガクノチカラってすげー、ってやつなんでしょうか」
「コイツがあれば、暗殺なんてお手のもの、なんですがね。ダンナに聞いてみたら、彼の知性をつかさどるのが木のブロックキューブだそうで、ダンナ自身にも細部の構造はよくわかっていないそうですヨ」
「カースさん、もしかしてまだ暗殺業を」
「いえいえ、冗談ですよ。あっしはもう足を洗いやした。せがれに自分が暗殺一家だと言うわけにはいかないですからネ」
カースがニタニタと笑って答える。
「サテ、行きましょウ。アテナ嬢はメカバックに乗ってくだサイ。魔力は吸われますが、走るよりは速いデス」
アテナは「はい」と浮遊する機械仕掛の小盾の上に座り、レイの後を追った。
二人がレイの元についた時には、既に戦闘は始まっていた。敵の数は10を超え、武具を持つ人型の魔物もいる。
アテナやカースは敵の数を確認するなりすぐさま援護しようと思ったが、レイの余りの無双っぷりに、援護した方が邪魔になると思った二人は、岩陰に隠れ、その戦いぶりを観戦した。
「すごいですね…」
「あっしらの出る幕はなかったようです」
斃れる闇の軍勢と、それに対比するように輝かしい光の魔力を身に纏ったレイ、最初にドットルト砂漠で会った彼とは、まるで別人のようで、英雄というものをその身で表しているようにも思えた。
程なくして、レイは全ての魔物を倒した。魔物が漆黒の霧と化し、消えていく。
「アテナ、いるんだろう?」
二人がいる岩陰に向かって、レイが言った。
「え、バレていたんですか?」
あわあわと慌てているアテナを、カースは「そりゃそうでしょう」と岩陰から放り出した。カースは隠れたままであるが、レイが気づく様子はない。
「危険だからついてこないで、って言ったのに」
「あはは、この子がいたから大丈夫かなぁと」
と、アテナは背中に張りついた機械仕掛けの小盾を見せた。
「メカバック…」
ショウも機械仕掛けの小盾の実力は十分にわかっており「まあ、この子なら大丈夫か」とアテナから魔力回復の瓶を貰った。
(彼も、前よりずいぶん明るくなったもんデ……)
と、遠巻きに眺めていたカースはそう思った。
ドットルト砂漠で見たレイは、廃人同然だった。それがあの魔法剣を手にし、アテナという女性を出会ってから、彼の瞳に輝きが戻ってきたと感じていた。
(…!?)
カースは何かの気配を感じた。掌を地につけると、感覚を研ぎ澄ませるとドタドタとした足踏みの振動が伝わってくる。その振動はどんどん大きく、高くなっていき、近づいていくそれが近づいていくことが分かった。
(新手、ですかねぇ)
と、カースは服の中のナイフに手をかけるもレイは全く襲来に気づいている様子は無く、アテナと談笑していた。
(レイサンは闇の気配に対して、魔導師をゆうに超える感知能力を持つノデ、もし魔物が着ていたら気づくハズ…ということは……)
カースは念のため、いつでもナイフを投げる事ができるよう準備をしておき、ひとまず様子を見守った。
現れたのは傭兵達だった。その数20、魔物達の倍もおり、重装備で血気立っている。
それも皆、血眼になって探している。
(奴らは魔物討伐にやってきたんですかね…だとしたら厄介でさ、これは…)
「そこのお前、魔物を見なかったか?」
装飾を付けず地味な格好をした傭兵の一人が兜を取り、レイ聞いた。
獅子を思わせるピンク色の髪と、その武歴を匂わせる風貌。
(あれは…クリノス・バラード)
「それなら、僕が片づけたよ」
「なんだと? 魔物達の死体は?」
「既に消えたさ」
「消えた?」
その言葉に、傭兵達の注目が集まった。
クリノスは「どういうつもりだ」とレイを睨んでいる。レイとアテナの二人は、何故傭兵達が怒っているのか、全くわかっていない様子だった。
「ぬけがけ行為か…許せん」
(まずい)
クリノスが両手剣を抜くと同時に、カースはデバフナイフを取り出した。
傭兵達がレイに対して怒った理由をカースは知っている。
傭兵という職業は完全歩合制であり、雇用が保証されない不安定な職業で、その日暮らしが多い。故に、報酬の奪い合いが起きやすく、それを防ぐために、予め倒す魔物と倒す予定の傭兵を紐づけておくのだ。
レントスは民主主義が過ぎる故に、傭兵ギルドは存在しないが、魔物討伐の仕事の流れは同じであるはずだ。
つまり、レイはあの傭兵達が倒す予定だった魔物を倒してしまい、手柄を横取りしてしまったのだ。
「レイさん、もしかしたらこの一帯の魔物はすでにこの方々達が討伐する予定だったのかもしれませんよ」
ギルドに属していたアテナも、傭兵達が怒っている理由にようやく気が付き、そっとレイに耳打ちした。
レイはアテナの話に納得し、怒りの視線を向けているクリノスに対して
「君たちが倒したという事にしても構わないよ」
と言った。カースは、それだと火に油を注ぐだけですヨ、と狼狽し手で顔を覆った。
「貴様…馬鹿にしているのか…貴様が跡形もなく魔物が消しさったことで、証明遺物が消えたんだぞ」
魔物討伐の証明には魔物遺体の一部が必要である。だが、光の魔力によって斃された魔物は闇の霧となって消滅してしまい、討伐の証明ができなくなってしまうのだ。
いくらレイが手柄を他人へあげようとしても、魔物の一部が無ければ成果を証明できず、傭兵達は報酬を得られなくなってしまう。
怒りでクリノスの身体が怒りで震え始め、ゴワゴワとした彼女の髪の毛が逆毛立つ。静かではあるが、確かな、それも強く圧迫感のある怒り。気温が下がるのを感じた周囲の傭兵たちは、そわそわし始める。
「魔物を倒す時に一言レントスに言ってくれればいいのではないか? それなら、今のような獲物の取り合いは起こらないはずでしょう」
緊張の中、声を上げたのは傭兵集団のメンバーである青年魔導士である。青を基調とした魔導ローブを羽織い、丸い眼鏡をかけている。他の荒くれ者と違って、知的に見える。
「それはできない。一刻も早く魔物を倒さないと、被害が出る」
レイは青年魔導士の案を一蹴した。
「どうやら、話し合いでは不要のようだな」
クリノスは両手剣を抜き斜めに構えた。レイは亡者の剣を構えることは無く、かといって鞘に納める事もしない。
「構えろ…」
もうこうなってしまったら傭兵でさえ手につかない。
カースは、すぐに決闘をやめさせるべく、二人にデバフナイフの照準を合わせる。
遂にレイも剣を構え、決闘が起きようとしていたその時、レイの頭頂部のアホ毛が反応したと思うと、その亡者の剣を地中に突き刺した。
(……!?)
地面が隆起し、クリノスが一歩引く。地面の隆起と同時に、《骸骨》が数匹飛び出してきた。人型ではなく、1mくらいの四足歩行の獣型の骸骨、《骸骨狼》である。
《骸骨狼》が顎の骨をカランコロンと鳴らして襲い掛かる。レイはその突進をひらりとかわし、剣のへらで受け止め、反撃の一撃を加えていく。
身体を砕かれながらも、何度も攻撃を続ける《骸骨狼》。まるで血の通っていないかのように冷酷に処していくレイを見て、傭兵達は彼の実力を知り、恐怖した。
クリノスは握っていた剣を落とし、表情が固まっていた。カースにも傭兵達にも、彼女の行動は全くわからない。
「何故、お前が兄さんの型を使っているんだ……」
全ての《骸骨狼》を叩き潰したとき、クリノスは聞いた。
「兄?」
「私はクリノス・バラード、四魔神ポリュグラスと相討ちなったゴルード・バラードとは、私の兄だ」
「……!」
レイは目を見開いた。自身に武器の使い方を教えてくれた―今でも教えてもらっているゴルードの親族が、そこにいたのである。
「兄ゴルードは数々の修羅場をくぐった経験からの独学で、その武器の扱い方を生み出した。兄はと弟子を取る事はせず、戦いを教えたのは妹の私だけのはず。それなのに何故、お前が兄さんの型を使っているんだ」
レイは苦い顔をして黙りこんだ。答えようにも、答えられなかったからだ。
ゴルードから手ほどきを受けていた、と答えるのは簡単である。
しかし、自分の無力さがゴルードを殺してしまったという負い目がレイにあり、親族である彼女に対してどういえばいいのかわからず、またレイ自身なんとも言えない不快感を覚えていたのである。
結局、レイは喋ることなく亡者の剣を鞘に納め「ごめん、なさい」と小さく言い残し、アテナの手を取り足裏に風の魔力を込め、大きくジャンプをして飛び去って行った。
「うわわわわわわ」というアテナの悲鳴が傭兵達の頭上で響いた。
「待てっ 質問に答えろ! 名を、名を名乗れ!」
クリノスの言葉にレイは振り向かず、立ち去っていった。
彼の正体は、しばらくして傭兵達の知ることとなった。
《骸骨狼》が塵となって消えたのである。それを見た傭兵中の誰かが「あいつが光の戦士、レイーシャ・ミスターシャじゃないのか?」と言い
<砂の城>をたった一人で討伐した。そして、ゴルードとともにポリュグラスと戦って生き残ったレイーシャであることがわかった。
クリノスは怒りで身体が膨れ上がり、装備がパキパキと悲鳴をあげていた。
「それは……本当の話、なんだな?」
カースからの報告を受けたショウは、がっくりと肩を落として執務室の席に座っている。
「ええ……本当デス。次、レイサンとクリノスサンが相まみえることがあれば、必ず剣を抜くでしょウ」
「そうか………」
ショウは頭を抱えた。
もう1つくらいなら大丈夫だろうと、魔導砲開発の仕事を受けてしまったその日に早急に対応が必要な問題が舞い込んできてしまったのである。
レイとクリノスの対立。抜け駆け行為をしたレイに非があるものの、早く処理しなければ被害が出るというレイの主張も否定できず、妥当性がある。抜け駆け行為に関する傭兵間のもめ事も、その魔物の危険度が高い場合には、報酬は早く倒した者になるのだ。
クリノス傭兵集団が正式に魔物討伐の依頼を受けたとき、すでに戦闘が始まっていたのならば抜け駆け行為にはならないのだが、そんなことを立証できない。
「報酬金はすべて請け負ったクリノス側に渡すというのだから、確執は起こらないはずなんだけれど、レイの体質がなぁ」
「すべてアトカタもなく消えちゃいますからネ」
「魔物の死体は別の魔物を呼び寄せるから、レイの光の戦士としての体質は、本来ならば便利な仕様だと思うんだけど……どうしてこうなっちゃうかなぁ。普通じゃないんだよなぁ 二人とも」
ショウは頭を抱える。レイの異常なまでの正義感と無頓着さ、頑固さはもちろん、クリノスの恐ろしさも震えとなって刻まれている。
片や魔物という悪を討つという光の戦士としての役目と、部下たちを食べさせていく長としての使命。人と人との戦いは、正義と悪の戦いでない。正義と正義のぶつかり合いなのだ。魔物や魔族がいた方が何倍もシンプルで楽だというショウの苦難が、キリリ、と胃痛となして現れている。
更には、すでに二部門の労災問題と魔導砲の開発を請け負っている状態なのだ。
「このままレイが斬られたら敵わん、正直限界だが、動くしかなかろう」
「できる限り斥候を増やしておきましょうカ?」
「よろしく頼むできる限りクリノス傭兵集団についての情報を集めてくれ。それと、レイとクリノスをなるべく会わせないように頼む」
「ダンナもダンナで、無理難題をおっしゃる。まあ、やってみやしょウ」
「すまんな」
ショウは再び、大きくため息をついた。
【この日のショウの業務記録】
量品部 本日の労災件数2件 どちらも不休災害であり、翌日出勤可能。剣の製造工程で起きた災害のようだ。
専品部 労災原因が判明 クリノス傭兵集団との喧嘩が原因だった。
この問題を解決したいと思っているクリノス傭兵集団の強力者を探す。
魔導砲 試作機の試砲を行う予定。準備は工場長がやってくれる
レイとクリノス あああああ ああああああああ あああああ




