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それでもレンチを回すのは ~凡骨技術者の奮闘譚~  作者: イモリさいとう
2章 亡者の剣を製作せよ
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Mission 11 アテナよ、拷問に耐えるのだ!②

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Twitter @Imori_Saito

<ドットルトの町 宿にて>


「いやああああああ、あああああああはははははは」


彼女を助ける者などいる訳もなく、アテナは辱しめられ、恥辱の限りをつくされ……悲鳴交じりの笑い声が部屋中に響いていた。


ミーシャの糸がアテナの法衣の間の中に入り、胸、脇、足の裏、首筋などをまさぐり副交感神経に刺激を与えているのだ。


「いやああ、だめぇ、やめてぇ!」


高揚感から少し色っぽさがある声で喘ぎ、身体をくねらせるアテナに、ミーシャは小悪党おじさんのような笑みを浮かべ指を動かし更にアテナの身体を弄り倒していく。


「どうだ、言う気になったか」


「あ、あは、いいいい、言います。言いますともおおおお」


ショウが「ストップ、ストップ」とミーシャの糸の動きを止め、法衣の中にあった糸がミーシャの指先へと戻っていく。


「はあ、はあ、はあ」


アテナは肩で大きく息をしながら、乱れた法衣を直している。


「それにしても効果あるな。くすぐり拷問、今の所百発百中だぞ」


「斥候のような情報を仕事にする連中は、痛みには耐える訓練をしていやすが、くすぐりに耐える訓練をしている人は少ないんですヨ」


「私、こういうの柄じゃないんだけど」


ミーシャが言った。


「そうでうすかい? ドSソウサカンって感じでなかなかに様になってましたゼ」


「そうだな。すごい顔してたぞ。また女の子を捕まえた時は頼むな」


「え、そ、そう。反応に困るわね…で、このカースっていう人は?」


「それは後で。さて、名前は…えっと」


「アテナです! 私は王宮とは全く関係ないです。神に誓って本当です」


シスター・アテナは膝をつき、再度主張した。汚れた十字架を強く握る手が震えている。


「アテナ、君は何故レイの尾行を?」


「それは、その…好奇心で」


「好奇心?」


ショウは目をすぼめ、アテナを凝視する。


「ダンナ、今更ですが、彼女はギルドで何度か見たことがあります。言っている事は本当だと思いますゼ。それに、彼女例の同行者でス」


「え、なんで言ってくれなかったのさ」


ショウは豆鉄砲を食らった様子でいった。


「いやぁ あっしも今気付いたもんデ」


カースはポリポリと尖った爪で頭の後ろを掻いている。


しまったと思ったショウは、あわててアテナに頭を下げる。


「て、手荒な事をして悪かった。俺はショウ。魔装具技術者としてこの街の装備店で働いている者だ」


「じゃあ、今魔法剣を造っているのはもしかして」


はっとしたアテナが尋ねた。


「ああ、俺が造った」


アテナのショウを見る目が尊敬へと傾いていく。


わざわざ辺境の地であるこのドットルトで、魔装具を造る物好きな技術者がそこにいたのだ。


「私はミーシャ。砂の城を描く目的でここに来た絵描きよ」


「俺と同じ魔装具技術者と言わなくていいのか?」


「ちょっと、何で言うのよ! 仕事の事は極限まで頭の中から排除したいのに」


ガミガミ言っているミーシャを尻目に、カースが告げた。


「知ってるとは思いやすが、あっしはカース。彼に雇われの斥候でさ」


「ええ、それは存じております。”蠍影(さそりかげ)”で有名ですから」


「かっかっか。嫌な名前ダ」


「今までのナイフや針は、貴方やったんですか?」


「よくわかりやしたね。そうです。深くは知りやせんがどうやらショウのダンナはあのレイって少年を助けようと、あっしを雇ったわけです」


「そうだ、そうなんだ」とショウはミーシャの労働観についての説教から逃げるように身を乗り出して言った。


「俺たちは今、レイを影からサポートしている。君も知っていると思うが、レイは人を寄せ付けようとしない。君の見たレイを話してくれないだろうか」


「はい、お話しします」


和気藹々とした雰囲気に、今までの恐怖心や緊張がすべて抜け落ちたアテナはこれまでの事を話し始めた。




アテナの話を聞き終えたショウは「なるほど…」と腕を組んで考え込んだ。


カースはにたりと笑っており、ミーシャはやれやれと言った表情でショウを見ている。


「ショウさんは一週間くらい前にあなたもレイさんと接触していましたよね?一体、何を話していたんですか?」


「う、それは…見てたのか」


苦い思い出をほじくり返されたショウは、矢に射られたように仰け反った。


ちょうどその時のことを思い出していたのである。


「はい、たまたまですが」


「あの時は君と同じでともに行動するのを断られちゃってね……まさか、言い方ひとつ違うだけでこうも結果が違うとは……ううむ」


「こんな影から回りくどい事をするより、私のように強引にでもついていった方がいいのではないですか?」


「うっ それは…」


ショウは更にのけ反る。もはや、アテナがボール盤でショウの心を抉っているようであった。


「こう見えてショウはメンタル弱いからね」


ミーシャが言った。


「ちゃ、ちゃんと、レイが思い出してくれたら改めて会うつもりだから。ほ、本当だよ」


ショウはひきつった顔で冷や汗をかきながらも弁明する。


その時、ショウを助けるかのように、大きな鐘の音が鳴った。


決まった時間に鳴る、ドットルト協会の鐘だ


「あ、そろそろ昼休憩が終わるので、俺はこれで! レイのこと、これからも頼むよ!」


助かったと言わんばかりに大袈裟に手を振り、この場から逃げるようにショウは去って言った。


その様子をあっけらかんとして見つめるミーシャとアテナ


「うわっ」


「いない」


気がつけばカースも音を立てず消えていた。


「こ、これが、プロってやつなのね」


「そ、そうですね」


「アテナさんは、これからもレイって人に?」


「ええ、そうだと思います。ミーシャさんも引き続き影から?」


「うーんちょっと違うわね。私は私で動くわ。でも、ショウに借りを返さなくちゃいけないから協力はするわよ」


ミーシャは「それにしても」と言うと、アテナにぐいっと寄った。


「祈り手って無表情でいつも他人の為に祈り続けていて、なんか気に入らなかったのよね。でも、あんな表情もできるのね」


「いえ、あの…その…あの事は忘れていただけると……」


あの時の恥ずかしい姿を思いだし、アテナは頬を真っ赤にしながらふるふると首を振る。


これは私と同じ、堕落教に堕とせると、内心にやりとしたミーシャであった。


Tips 教会

教会には、孤児院が併設されており、身寄りのない子供を預かっている。

孤児院の子供たちは、手に職をつけるために神官を目指し、祈り手になる。

アテナもその一人だ。

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