Mission 10 アテナよ、レイを追え!③
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「本当に! 申し訳ありませんでした!」
ドットルトの町中で、男槍使いは女純戦士持ち、女性氷魔導師とアテナに土下座し、お詫びしている。
「頭を上げてください、みんな無事だったのですからいいじゃないですか。それに、元々は私の不注意ですし…」
アテナは慌てて頭を地につける男槍使いを起こそうとする。
「ええ、私たちは何もできなかった。助けを呼んだ貴方の方がマシよ」
「しっかし、情けねーぜ。咆哮だけで腰抜かしちゃうなんてよ」
と、女純戦士はくせ毛の強い短髪頭をくしゃくしゃとかいた。女性氷魔導士もどこか気落ちしている。
《鎧豚》を倒した後、アテナ達は凄腕の傭兵達が救援により、無事町へと帰っていた。
真っ先に逃げ出した男槍使いが集めてくれたのだ。
(あれは…?)
ギルドの入り口で、自分を助けてくれたあの少年が誰かと話をしているのを見つけた。尾行している訳でもないのに、思わず隣の建物に隠れ、レンガからゆっくりと身を乗りだし、会話する二人の様子を覗く。
「何をしているの?」
女性氷魔導士が聞いた。
「申し訳ありません、あ、あの方が……」
「あの方? あぁ…」
女性氷魔導士と女純戦士も少年、レイの姿に気づき、アテナと同じように覗き始める。
男槍使いは、何がなんだかわからない、といった様子であたふたしていた。
「生きていたなんて、すげえもんだな」
「誰と話しているのでしょう。シスター・アテナ、わかりますか?」
「いえ、わかりません……」
金髪の少年、レイの話し相手は、襟のついた藍色の厚手の衣服を着た男性である。
(襟がついているという事は貴族の方?でも、それにしては汚いし…)
髪は黒く短くまとまっており、髪飾りなども無く、高貴というイメージからはほど遠い。
「おいみんな、何でコソコソ隠れてるんだ?」
「いいから黙って見てろ!」
「げふっ」
女純戦士は男槍使いの首根っこを掴むと後ろに押し込んだ。
しばらくすると、襟付きの男の顔がどんどん困惑や焦燥に染まっていくのが見えた。
何の話をしているのか気になるものの、ドットルトの街の生活音に遮られて聞こえない。だが、間に割り込めなさそうな、とても深刻な話をしているのは何となくであるが感じている。
そして、会話が終わったのか、レイはギルドの建物の中に入っていき、ショウはがっくりと肩を落とし、魂の抜けたような顔でその場を去っていく。
「いったいなんだったのでしょうか?」
「わからないわ……けれど、私たちには入り込めないような異様な雰囲気を感じた。相当深刻な話をしていたんじゃないかしら」
アテナの問いに、女性氷魔導士は答えた。
アテナ、女純戦士、女性氷魔導士は仕事成果の報告と、助けてくれた少年にお礼を言おうと、何も知らない男槍使いを連れてギルトに入る。
だが、少年の姿は見当たらなかった。
現在は夕刻。アテナ達と同じ成果報告に傭兵たちが集まってきてギルド内は混雑している。
それでも、あの綺麗な金髪は目立つだろうと、4人はしばらくギルドの中を探したが、見つけることはできなかった。
結局、少年に会えたのは次の日の朝であった。
「さっきはありがとうございました」
アテナ深々と頭を下げ、少年にお礼を言った。
今日は教会の仕事があり、町に滞在している。アテナ以外の3人はすでにドットルト砂漠に出てしまっていた。
「あぁ…君か、いいよお礼なんて」
「ケガの具合はどうでしょうか?」
「ああ、問題ないよ」
「あの……お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「……レイ」
「レイさんですか。覚えました。私はアテナと言います。ファミリーネームは、ありません」
レイは霞んだ瞳孔を一瞬開くと「僕も、ないよ」と答えた。
「そうなんですか。砂の城で、しばらくドットルトにいるんでしょう?これからよろしくお願いしますね」
「あ、うん」
「そういえば、昨日会った人は誰だったんですか?」
「昨日…? あぁ……」
レイは一瞬、苦い顔をした。
「わからない。君のようにパーティーを組みたいと言ってきた男だった」
あの様子から見れば、レイはその誘いを断ったのだろうが、それだけであの男があのような顔をするのかとアテナは疑問に思う。
「ただ…」
言葉がそこで止まり、レイは天井を見上げる
「恐ろしい人だった、あの人に会った時、何か心を抉られるような感覚がした。別に彼が何か言った訳ではないのに、何かしたわけでもないのに」
Tips 魔物討伐の証
魔物の死骸から切り取った、闇の魔力が溜まっていない部位と引き換えに、傭兵達は傭兵ギルドから報酬をもらう。
しかし、光の戦士であるレイが倒した魔物は跡形もなく消えてしまうので、報酬を受け取ることがとても難しい。




