1章 プロローグ
お読みいただき、まことにありがとうございます。
評価、感想などお待ちしております!
気に入っていただけましたら、ぜひ、ブックマーク登録してくださいね!
Twitter @Imori_Saito
初めまして、私はこの物語を読者諸君の言葉、言い回しで語る《語り手》だ。
え、どういうコトかって?
丸くて赤く、酸味と甘みがある果実をリンゴと記し、茶褐色で比重の重い金属を銅と記したり、登場人物の言葉をすべて日本語で記す。ということだ。
あちらの言葉で語ってしまえば、読み物にはならないからね。
さて、この物語はミスターシャという平和な王国から始まる。この国は、周りを豊かな緑で囲まれつつも、強い工場を持ち、高い農業力、工業力を兼ね備えており、その歴史は約300年にも及ぶ。
主人公であるショウ・アキミネはミスターシャの外れにある墓地にいた。
草は生えるだけ生え、綺麗に並べられた墓石は汚れ、中には欠けているものもある。名前や生没年が刻まれているものもあれば、中には身元がわからず、何も書いていない墓石もあった。
ここは庶民向けの墓地で、使われていたのは半世紀も前である。国から遠い場所にあり、最近では魔物も出るようになったという噂もあり、この墓地に訪れる人はおらず、今も誰一人おらず、虫や鳥が鳴く音すらせず、静寂に包まれている。
え、誰もいないのなら、ショウは一体どこにいるのかって?
いるじゃないですか。
確かに地上にはいないのだけれど、たしかにショウはいる。
そう。ショウが今いる場所はその墓地の地中、棺の中で安らかに眠っているのである。
開始十数行で主人公のショウが死に、デッドエンド。
この物語はこれにて完結です!読んでくれた方々、ありがとうございました!
次回作にご期待ください!
……という訳にはいかない、いかせる訳にはいかない。
何故、主人公であるはずのショウが、こんな事になってしまったのか。話を約二週間前に戻ってみることにしよう。
~Tips ミスターシャ国~
300年続く安定した国。その安定を支えているのは、高い技術力と軍事力……だったのだが、盛者必衰の理故か、最近は他の国の追随を許している。
ショウ・アキミネが拠点を置く国ではあるが、彼の故郷ではない。