逆オークション?
ドンッ
「いった」
役所帰りにやけに切羽詰まった少年とぶつかった
「ご、ごめんなさい」
「おう、ボウズ。何慌ててる」
さっきの件もあったのか少し怠け癖が抜けてたのか話しかけてしまった
「あ、あの!逆オークションで!で!」
「落ち着け」
「あのね、逆オークションで親の形見が売られてたんだけど……僕には買えなくって役所でお金を借りようと思って」
「ほぅ、役所はそんなことも」
「まぁ、多分子供だからって追い払われるだろうけど……」
「そもそも親の形見が何故」
「悪質な奴らに取られたんだ!あいつらはみんなのものを取って売ってるんだ!」
「そうか、本来なら耳を貸さないが良かったな。手伝ってやろう」
「ほんと?」
「おう。それに金なら心配するな。俺には縁のないものだ」
「そ、それは困るよ!なにか後で恩返しするよ」
「まぁ期待せずに待っていよう」
「あ、そうだお兄さんの名前聞き忘れてた、俺はイリオス」
「アズナルだ、よろしくな」
握手を交わした。
なんというかノワールを思い出すな
「ところで今更ながら逆オークションとはなんだ?」
「えーアズナルさんそんなことも知らなかったの」
「アズナルでいい、それとあいにく外出身でな」
「そう?わかった!それで逆オークションってのはね?相手がとりあえず高めの値段を提示してそれを買い手が値切ってくって言うのなんだけど」
「よく分からないが凄そうだな」
「アズナルも見ればわかると思うよ」
「おう」
軽い説明を受けつつ歩いているとそれらしい所に着いた。
ゴザをひき荷物を並べて座ってる人達がいる通りだ。多分ここであってるだろう
「それでイリオスの狙い目は?」
「あの奥にいる眼帯のおっさんの売ってるイヤリングセット」
「ふむ、少し行ってくる」
「あいつら悪徳な奴らだから今日つけた方がいいよ」
「心配するな俺には秘策がある」
あんなにいい王様が統治して、その配下にあそこまで頼もしい人が居るのに結局末端には悪役が蔓延るのは世の摂理なのだろうか……
「さて、5代目値切れる自身は?」
『そうですね、ゼロパーセント』
「は?」
『彼らは対象を決め永久的に搾取する目的なのです』
「つまり?」
『イリオス君以外はあのイヤリングにぶっ飛んだ金額が掛けられてたら買わないでしょ?仮に値切ってもこういう場所での相場は決まっているので』
「つまりあいつが払えない金額をあえて請求か」
『多分ですが彼が役所に行こうとしたのは、それを知っていて、その支払い能力のない彼へ違法な利子の金の貸出をふっかける奴らの同業者にハメられないように』
「じゃぁイリオス本人が行けばなんも問題がないのか」
『ご名答』
「アズナル何ひとりでブツブツ言ってるの?」
「っ?!いつの間に」
「いや、やっぱり自分で値切るべきなのかなって」
「そうだな、俺は出資役だから。それに奴らお前にしか売るつもりないんだろ?」
「ハハ、さすがよくわかったね」
「まぁな。ほら金。多分20万ビオくらいはあるから」
「じゃ、じゃぁ頑張ってみる」
相手の見た目は眼帯で髪の毛はロング気味で、多分魔法使いだろうな
「あの!お金揃いました」
「7万ビオと言いたいがまぁよく揃えたな。6万ビオにしてやる」
「あ、はい。あ、これ」
「ありがとな。『閃光!!』」
眼帯ロングが突如光だした。
「うわぁぁぁ!!」
「ちっ、やっぱそうなるか」
ガシッ
よしイリオスを救い出してと
「イリオス大丈夫か?」
「う、うん」
「後ろ下がっとけ」
「それとお前は逃げるなっ!!」
ガンッ!
「っ?!……野蛮ですね。石を投げるなんて」
「金だけ取って逃げる方が野蛮じゃないのか?」
「失礼失礼、所で貴方何者ですか」
「冒険者だ」
「そうですか、なら私が勝ちますねぇ」
「ほぅ?かなりの強気だな」
「元王都直属魔導師ステリアと言えば貴方もわかるでしょうに」
「知らんな」
何事かと集まってきたギャラリーがざわめくあたり相当なのか
「まぁなら貴方は運がいい。私に歯向かったのに消し炭で済むのですから!!『獄炎!!』」
「削除」
「な!な!な!何故?!」
「何故もなんでもねぇよ」
「悪かったよ、これを返すよ」
金とイヤリングセット……
アナリシス
「両方偽物か」
「ば、馬鹿な何故それを」
「死ね。復元バルムンク」
ズパッ!!
「うわぁぁ……」
力なく倒れていった。なんせ血が無くなったんだ
「あれあれ、お客さん困るねぇ。うちのもんに手を出してもらっちゃ」
巨人とまではいかないが鍛え抜かれた肉体、品の無さそうな雰囲気。格闘家か?
つまり用心棒。いや、親玉説もあるな
「先に手を出したのはそこのロン毛だ」
「そんなの知らないなぁ!迷惑料100万ビオ払うか俺にボコされてから払うか選ばせてやるよ」
「そうくるか、なら」
「ちょっと待つのです」
オーク?いや、太ったおっさんか。
「誰だ?」
「ここを仕切っている商業ギルドのマスターです」
「ふん!豚1人出てきた所で何も変わらんぞ」
「あのー、アズナルさんですよね。ここはひとつ私にお任せあれ」
「別に構わないが」
「私の島で悪徳を働く奴らがようやく尻尾出して来たんだから僕らも動かないとねって事で」
「お話は済んだのかい?豚さん」
「そうですね、では見ててもらいましょう。うぉぉぉ!!」
ビキッビギっだろうが筋肉や骨が軋む音が響く
「僕、こう見えて昔。格闘家1位だったんですよね」
ものすごい熱気が生まれ、それからなる水蒸気の中からさっきの人とは似て似つかないムキムキのオッサンが出てきた
「どんな幻覚か知らないがこっちは数もあるんでな!イケ!」
「「「「おぉ!!」」」」
「チンピラですか、来なさい!!」
ドンッ!顔面へ一撃
ベシィィン!!顔面へビンタ
パシィィン!!顔面へ上段蹴り
「な、ま、まぁあいつらは雑魚だ。貴様の実力が俺と戦えるかも程度なのがわかった」
「なら来なさい、商業ギルドとしてこのままあなた達が暴れてるのを許すというのは屈辱ですから」
「うぉぉぉ!!」
「弱い!」
ぱん!とドン!が混じったような音が鳴り響く
「がっ!」
ドサッ
どうやら商業ギルドのマスターはとんでもないくらい強いらしい
「あ、……すまんのイリオス」
イリオスの方を向いて商業ギルドのマスターが悲しげに話しかけた
「どうしたんですか?」
「あのデカブツの胸ポケットにイヤリングセットが入ってたらしくな……その」
「そ、そんな落ち込まないでください!叔父さん」
「すまんな……」
「どれ、見せて。直せるかも知らん」
「アズナルさん、すまないね」
「リーイントゥほれ」
「すごい!前と同じ」
泣くなよイリオス、やれやれ。こっちも感傷に浸りそうになる
「本当、なんとお礼を言ったらいい事か」
「いや、まぁそうだな」
「本来なら僕がもっと早く気付けば良かったのだが、叔父と言う立場。それに仕事の忙しさ故に冷たくあしらってしまったせいか話しずらかったのかも知れないな」
「そうか、なら俺にお礼を言う時間をイリオスと過ごす時間にしてやってください」
「受けた恩は返せないくらい渡せとな?商人の心得であるから」
「なら、今度俺が困った時に助けてください」
「勿論ですとも!グレーゾーンくらいまでならなんなりと」
「お、おう」