でっけぇ馬車
まるで、さっき三代目が倒れた様に血の池に落ちたエヴ
ァントは運ばれた。これで俺がここに居る理由ない。
「アズナル!待って下さい今から表彰式ですよ!」
まぁ今は三代目に譲ってるからまだいいか
「すみません〜♪少し疲れてて」
表彰式が終わりみんなに愛想笑いを振り撒く三代目を見てて思ったがこのままタダ飯ありつけそうな──
そうだった王様と食事…
三代目はさすがに疲れたって消えたし…まぁ行くか
「アズナル様!お城へ案内しますどうぞこちらの馬車へ」
でっけぇ馬車なこと。
目の前にはショートヘアの少年?が立ってた
多分城までの案内人だろうな
しっかしでっけぇ馬車だな。
「なんかすいませんね、歩いて行けるんだが」
「いえいえ、王様は奴隷すらも馬車に載せるのですよ、心の広い人です」
なら奴隷制度廃止しろよ…
「おっと、今は奴隷じゃなくて渡人でしたね」
「とじん?」
「はい、この国では奴隷制度は無かったのですが、他国の奴隷商人が売りに来るので…見かねた王様は全員購入し市民権を与えたのですが、その時に他国から渡ってきた人として渡人と。これは他国から来た冒険者と同じ地位です」
「なんか、そう言われると会ってみたいな」
いや!会うんですよ!と言われながら馬車に乗り込んだ
「紹介が遅れたね。僕の名前はノワールだよ」
と、片手に紐を持ちながら
「知ってると思うがアズナルだ、よろしくな」
「で、僕の村は全滅して僕は奴隷になったんだ」
「村出身なのか、俺と一緒だな」
「僕はその時王様に買われた!そのおかげで人生が変わったよ。最初はやっぱさ…でもこの国はいいと思うだ!」
「そうか、いい人に会えたな」
「アズナル様は、あっアズナルでよかったんだよね?」
「おう、好きに呼べ」
「で、アズナルも村出身って言ってたけどアズナルはどうして王都に?」
どうしよう、素直に村長になりたくないからとは言えない
「俺の村は強い人が多くてな、戦闘狂なんだ。それが嫌でな」
「なるほど!だからアズナルは強かったんだね!」
「お、おう」
この後も怠惰な自分の割に話は出来たと思う
「ここがお城だよ!」
大きな城だ、権力の象徴と言うがこれは立派
「この国に来て料理の次に感動した」
「でしょ!」
ノワールが毎日見に行きたいくらいというのが分かる
まぁ1週間に1回はみたいと思った
城門は開いているから中が見える。
くねった道が城まで続いていた
王都自体に壁があるんだから城には要らないだろ、と思いつつ門をくぐってく
「お、ノワールお疲れさん」
鎧を着ている辺り城の兵士だろう
「ジョンもお疲れー」
「荷物チェックは大丈夫か!」
「大丈夫だよ、優勝者のアズナル様を輸送中なだけだから」
「そうか!じゃぁまたな」
「うん!」
手を振ってジョンが見えなくなった辺りでノワールが語りだした
「僕もさ、いつかこんなお城建てれる人になりたいなーって」
「いい目標だな、ならさしずめ俺は家臣だけど何もやらないグータラ星人だな」
「そんな!ちゃんと政治してよね!」
「ハハハ、なんかあれだな」
「あ!アズナルが笑った!」
「なんだよ、物珍し顔して」
「だって笑わないからさ、」
「俺だって笑う時は笑うが表情筋を使うと疲れる」
「なんだよそれー!僕はアズナルの笑顔見てると癒されるな」
「そ、そうかハハハ…」
「苦笑いは嫌だよ」
「基準はなんだよ、」
しっかしな村では埋まらなかった人としてのピースが埋まってく気分だな
「アズナル降りて、着いたよ」
離れた所から見ても大きかったが近付くと更に大きい
馬車を手頃な所に停めたノワールが来た
「案内するよ!お城初めてでしょ?」
「──で、ここが今日の会場だよ!」
「ありがとな、ノワールもパーティー出るか?」
「いやいや、僕には無理だよ」
「いや?無理じゃないぞノワールよ」
「こ、国王様!」
「お、王様」
後ろから声をかけてきたのは冠を着け赤いマントを羽織り寝巻きを着た王様だった
「ノワール、パーティーに出たいのじゃろ?」
「は、はい…ですが自分は」
「だからかしこまらなくていいのじゃがのう」
「ノワール、せっかく王様が機会をくれたんだ参加しようぜ。俺はお前と食べたい」
「ハッハッハ!アズナルとゆーたか!戦いぶりから善人なのは知っておったが尚知ると良い人柄で」
「いえいえ、王様恐れ大きいです」
「アズナル!お主も崩して喋っていいのじゃよ」
「いや、それはなんというか」
「ワシはアズリィエル3世、エルと呼んでくれ」
「えっとエルさんよろしくです、アズナルです」
「アズナル…早速だな」
「ノワールいいのじゃよ」
「さてそろそろ主役が居なければパーティーが始まらんからのぅ」