第七話
日本連邦は異世界に転移してから、既に5ヶ国と接触し、国交の樹立に成功していた。日本は主に石炭や鉄鉱石や食料を輸入し、工業製品や芸術作品を輸出していた。
日本と国交を樹立した全ての国は、まだ剣や弓や魔法が主流のため、銃火器を保有していないためか、銃の輸出を求めたが、日本連邦政府は新たに定められた法案「現代兵器及び武器輸出禁止法」に抵触するため、各国は外務省によって断固拒否されていた。
だが、残る問題がたくさんあった。石油等だ。石油はこの世界では未だに存在が確認されていないため、備蓄が日に日に少しずつ減っていた。
そして、武器弾薬。89式小銃等の小火器の弾薬は現在国内の工場でフル稼働で生産されているため問題にはならなかったが、対空ミサイルや対艦ミサイルは国内で少数しか生産できないため、早急に増産する必要があった。
◇
バルサミコ航空基地は二日前に完成し、本土から首都攻略作戦に投入される空挺団や物資を乗せた輸送機が続々と滑走路に着陸し、エプロンで一旦給油し、本土に帰っていく機やそのまま、格納庫に
入り待機する機もいた。
一機の
エプロン端の方で、陸軍の隊員逹が整列し、ある棺桶に敬礼していた。
日章旗が巻かれた棺桶が二つあった。それは、三日前の戦闘で死亡したT-90の車長と砲手の遺体だった。
「先の戦いで戦死した、三輪一彦少尉、吉川一義軍曹に敬礼!」
二人の遺体は陸軍の儀仗隊が弔銃発射三回実施し、音楽隊が葬送の譜を演奏し、二人の遺体は同じ戦車に乗っていた操縦士と同じ戦車隊の隊員逹が輸送機に運びこみ、本土に向けて輸送機は離陸した。
一時間後RF-4EJが離陸し、エジブタ皇国の首都方面に向けて飛行していた。
「こちら、ドラゴン1離陸許可を願う」
「こちら、バルサミコタワー了解した。離陸を許可する」
「了解。これより、離陸する」
ドラゴン1は滑走路から離陸し、一直線に首都を目指し飛行した。
一時間程、命令通りに飛ぶと幾つか小さな村が見え、住人たちがこちらを見ていた。さらに飛ぶと首都が見えた。首都は内陸部にあったようだった。
パイロットの秋沢は首都の上空に入ると写真を撮るために少し速度を落とした。
「米崎、写真撮っとけ。まず、市街地だ。次に皇居、んで元老院議事堂だ」
秋沢は撮影の為に偵察目標の上空を低速で飛行した。
「了解。・・・・全部撮れました」
機首に搭載されているレーダーにポツポツと小さな光点が見えてきた。迎撃機だ。
「よし、撤退だ。さすが実戦経験豊富な軍隊だ。もう竜が上がってきた。追い付けないけどな」
偵察が完了したRF-4EJは来た道を引き返し、バルサミコ航空基地に帰還した。
RF-4EJは着陸後直ぐにパイロットと偵察員は機体を降り、整備員がRF-4EJを点検し、点検は隅々まで点検され、点検が終了後機体は格納庫にもどされ、パイロット逹も報告書の作成が終わり、宿舎に戻った。