第六話
エジブタ皇国海軍はバルサミコ軍港を失い、艦艇の五割以上を失い、精鋭の海軍竜騎士団も二割が竜飛行場と共に失われた。そして、皇国軍は軍の再編成にとりかかかり、バルサミコを襲撃する計画を立てた。
◇
日本連邦とエジブタ皇国が開戦してから既に1ヶ月が経過していたが、双方にらみ合いの状況が続いていた。
占領されたバルサミコ基地には本土から絶えず資材や重機を積んだ民間の輸送船が出入りしていた。
バルサミコ基地は、木製のクレーンは全てが撤去され、全てが最新式の物に交換された。そして、元の基地指令部があった土地は建物は撤去され、そこには連邦空軍のパトリオット部隊が展開していた。
そして、元竜飛行場、現日本連邦海軍バルサミコ航空基地は滑走路が500mから3300mまで延長され、幅も25mから70mまで拡大されていた。既に滑走路はアスファルトで固められていて、管制塔や格納庫は8割が完成していた。
そして、郊外には砲兵部隊が展開しており、MLRSや99式榴弾砲や203mm榴弾砲や2A65榴弾砲等が展開し、警戒していた。
上空を哨戒飛行していたOH-1がこちらに接近する大規模な部隊を発見した。
すぐさま、指令部に映像を送りながら指令部に通報した。
「ブラスト2-1より、指令部へ。敵部隊を発見した。現在接近中。野戦砲も確認した。座標はアルファ6-5-4。オーバー」
「了解。映像を確認した。直ちに砲兵部隊が砲撃を開始する。砲撃を支援せよ。オーバー」
「ブラスト2-1了解」
OH-1は砲兵部隊に向けて通信を行った。
「こちら、ブラスト2-1地上の砲兵部隊聞こえるか?オーバー」
「こちら、第七砲兵大隊。聞こえる。オーバー」
「指令部より、攻撃許可を受けた。座標を送る。直ちに砲撃を開始せよ。オーバー」
「了解した。オーバー」
第七砲兵大隊の82式指揮通信車は、OH-1から敵の座標を受け取った。
直ぐに、雑多な榴弾砲とロケット砲は射撃を開始し、敵に鋼鉄の雨を降らした。鋼鉄の雨の効果は既に湾岸戦争にて実証されており、アメリカ軍のMLRSが強大な火力でイラク軍を蹴散らし、イラク軍を恐怖に陥れた。
MLRSやBM-21は弾が切れ、残敵の掃討は前進した10式戦車やT-90が行進間射撃を行い、時速50kmの速さで敵の野戦砲や砲兵を120mm砲や125mm砲の多目的榴弾が襲い、野戦砲は近くにいた砲兵と共に爆発した。
だが、戦車隊に近づく不穏な影があった。それは、狼と人間のハーフの獣人部隊だった。
獣人部隊は速度を落とした一両のT-90に近づき、ハッチから上半身を出し、日本独自仕様のM2重機関銃を乱射している車長の喉元を食いちぎった。車長は何があったか、理解できずに車内に崩れ落ち絶命し目をた。
「大変だ!車長がやられた!上にいる!あっ、ヤバい!ハッチが!」
獣人はハッチを力づくでこじ開け、中にいた人間を殺した。
異変に気づいた操縦士が全速力でジグザグに走り獣人を振り落とそうとしたが、出来ず、急ブレーキをかけ、獣人を振り落とした。
前に落ちた獣人を容赦なく踏み潰した。
◇
基地から補給部隊が発進した。
一番最初に到着した99式弾薬給弾車は99式榴弾砲の真後ろに停車し補給を開始、遅れて到着したトラック部隊はMLRS等のロケット砲部隊のコンテナを積んだトラックがクレーンを使い使用済みコンテナを取り出し、慎重に急いでコンテナをリロードした。
砲兵部隊の弾薬補給完了の報告を受け、戦車隊は後退し、敵はまた今日二回目の鋼鉄の雨を受け、全滅した。