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TRIGGER HAPPY  作者: 琉球の民
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第二話 【いきなりのトラブル?】

 歩き始めて30分ほど経った。


「魔物に遭遇しないのはありがたいけど……、人も街も見かけないとは……」


 本当かどうかはまだ分からないけど、神様とやらの話を信じるなら、中世のレベルなら基本的な移動手段は徒歩か馬ぐらいだと思う。

 道なりに歩いてたら商人の人とかが乗る様な馬車とかとすれ違うかと思ったけど、人はおろか生き物もまだ見かけていないこの状況。


「両側に森が見えているだけで街が遠くに見える訳じゃないからなぁ……。高低差がある様な場所じゃなく平坦な草原みたいな場所だから疲れにくいけど…。情報を得る為に、出来れば人に会いたいな」


 独りごちる感じで道を進んでいたら前方からカタカタガタガタと音が聞こえてきた。音的に馬車でも来たのかと思ってちょっと小走りになった。

 予想した通り、すぐに馬車が見えてきたが、声を掛けるのが躊躇われた。いや、だって………。見た目、商人ってより荒くれ者って感じの人が馬車を操っているし……。

 御者席に二人いるけど、どっちも似た感じだし、本能的に避ける方向で体が動いた。道から逸れて馬車が通り過ぎるのを見送る形になったが、目の前に来たところで違和感を感じた。

 角度的に見えていなかった荷車の後ろにいた二人も見えてきたが、それとは別の気配を四つ、荷車の中央あたりに感じた。荷物の木箱で見えないけど……これ、人か?

 スキルの【気配察知】が働いたと思われる違和感を感じていると、荷車の部分が石か何かに乗り上げたのか、少し大きく揺れて、固定されてなかった木箱がいくつか落ちた。

 四人の男が慌てて木箱を直そうとしていたので、手伝おうかと思って数歩近付いたところで違和感の正体に気付いた。


 女の子が四人、縛られてる。


「おい!そこのお前!……見たな?」


 男の一人が僕に気付き、腰にある短剣を抜いた。

 他の男達も同じ様に短剣を抜いて近付いてこようとしたが、縛られた状態で泣いている女の子達がもう一度見えた時に、すぐにアイテムボックスから銃を二丁とも取り出した。

 躊躇わずに男達に向け引き金を引き、一瞬にして四人全員を吹き飛ばした。


 ……威力を考えずに撃ったけど、とりあえず死んではいないかな?呻いた後におとなしくなったので、気絶した様だ。

 本来は荷物を固定するためだと思うが、長めのロープが何本かあったので、それを使ってまず男達の腕と脚を繋げる形で縛った。その後、女の子達を刺激しない様声を掛けながらゆっくりと近付いていった。


「今からキミ達を縛っているロープと猿轡を外していく。近付くけど、危害を加える気は無いから、暴れないで欲しい。大丈夫かな?」


 女の子達はお互いを見て、悩んだ様子だがやがてバラバラにではあるが、ゆっくりと頷いてくれた。

 ゆっくり近付き、声を掛けながらまずは後ろ手に縛られているロープを解いていく。その次に脚のロープを外し、最後に猿轡を外した。他の女の子も同じ順番で外していった。


 四人全員のロープを外し、男四人は全員近くの木に繋げて、気が付いても遠くに逃げられない様にした。ちょっと時間がかかったけど、女の子達の方に振り向き訪ねる。


「すまない、衛兵とかを呼ばなきゃいけないと思うんだけど、あまりこの辺りの地理に詳しくないんだ。近くに衛兵の詰め所とか街とかあるかな?」

「………あ、あの……少し先に…街があります……」


 一人が手を挙げて答えてくれた。

 街のある方向を指し示してもくれたが、それは馬車が来た方向、自分が進んでいた方向だった。

 自分が気絶させた男四人組はその街経由でここまで来たのではないかと思ったが、どうやらその街を避ける形で進んでいたらしい。見た目に違わず人攫いらしく、人身売買のため人目につく街に寄る訳には行かなかったそうだ。

 すでに移動だけで5日程経っていて、彼女たちが住んでいた村までは結構距離がある状態らしい。最低限の食事しか与えられなかった様で精神的にも体力的にも限界だった様だ。


 その街に向かって、彼女達を衛兵に保護してもらった方が最善と考えたので、街に向かう旨を話し、頷いてもらえた。

 荷車に乗ってもらい、街に向かうため御者台から操作しようと思ったら、馬の操り方なんて良く知らない事に気付いた。

 なんか意気込んで御者台に乗り込んでいるからちょっと聞き辛いな……。イメージ的に、軽く手綱を叩いて、進みたい方向へ引けば曲がると思ったので、その通りにやってみた。馬達は僕の拙い操作でもなんとか動いてくれた。

 歩くのと同じかちょっと早いぐらいの速度だったけど、街の方向に馬首を向けて、しばらく彼女達に声を掛けながらゆっくり進んでいくことになった。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



 30分ほど進むと、石垣の壁に囲まれた門の様なものが見えてきた。門番の様な人も両脇に立ってるし、どうやら目的の町に着いた様だ。

先ほど街がある事を答えてくれた女の子に尋ねると、頷いてくれた。


 さらに5分ほど進んで門にたどり着いた所で門番の人から馬車を止めるよう言われた。


「そこの馬車止まりなさい。君は商人かい?この街には何の用で来た?」

「突然すいません。僕は商人ではなく通りすがりの旅人なんですが、実はこの馬車は人攫いの人達が使っていたものなんです」

「人攫いだって?!」

「はい。偶然後ろの子達が縛られた状態で荷車に荷物に隠される様に乗せられているのを見かけたので、男達を気絶させて、彼女達をここまで連れてきたんです」


 門番と思われる男性二人に話しながら、一人が後ろの女の子達を確認していた。


「その気絶させた男達は?」

「余っていたロープや彼女達を縛っていたものを使って、この道の先で木に縛り付けてあります。男四人います」

「そうか…。とりあえず事実確認などが必要になる。すまないが、一度詰め所まで来てくれるかな?調書を取らせて欲しい」


 了承し、御者台から降りた。

 女の子達も荷車から降りて、僕とは別の部屋に別の兵士風の人に連れて行かれた。不安そうな顔をしていたが、調書を取られるだけだと思うから大丈夫だろう。


「さて、先ほど簡単に事情を話してくれたが、詳しく経緯を話してくれるかな?」


 対面に座った兵士の男性に言われ、ありのままを話した。

 自分が銃を持っている事も正直に話し、二丁とも机の上に出した。兵士の方は少し驚いていたが、僕の話を冷静に聞いてくれていた。

 しばらくして、街に着いた所まで話したところで別の兵士が部屋に入ってきて、二三言耳打ちして出て行った。


「君が気絶させた人攫いの男四人組だが、別の者達が早駆けして確認してきた。四人ともまだ気絶していたが、連行する途中で目を覚ましたそうだ。君から聞いていた内容を伝えたら、四人とも人攫いである事を認めたそうだ」


 事実確認が取れたので、もう帰ってもいいそうだ。

 聞くと、人身売買自体はかなりの重罪らしい。怪しいルートで高値で取引されているから誤魔化そうとする者も多いが、嘘を確認するための魔道具が衛兵の詰め所には用意されているらしく、誤魔化せないそうだ。虚偽の申告も冤罪防止で罪に問われるが、僕の証言に嘘が無い事を聴取の間、別の人が確認していたらしい。

 黙って確認していた事に関して頭を下げられたが、当然の事だと思ったので謝罪は不要だと、すぐに頭を上げてもらった。

 女の子達の方は詰め所の方で保護してくれるらしい。部屋を出た所で丁度女の子達に会い、お礼の言葉と共に頭を一斉に下げられた。

 居た堪れなかったので、頭を上げてもらう様に言い、ゆっくり休むように伝えて詰め所を出る事にした。


「すいません、この辺でお勧めの宿屋はありますか?」

「それならこの先に『スズラン』という名前の食堂がある。二階が宿屋になってるから、詰め所の紹介だと言えば少し安くしてもらえるはずだ」

「丁寧にありがとうございます。行ってみます」


 教えてくれた兵士の人に頭を下げ、『スズラン』へ向かった。

 5分も歩いたらそれらしい看板を見つけた。文字は書いてないが、鈴蘭の花の絵が描かれていた。人が出入りしていて、良い匂いもしてくるから、間違いないだろう。


「いらっしゃいませー!空いてる席にどうぞー!!」


 元気な声で動き回っている女の子の声に従い、空いている席を探す。カウンターの席が丁度一人分空いているのでそちらに座るとしよう。よくあるバインダー形式のメニュー表があったのでそれを開いてみる。

 ………よかった、読める。

 文字自体は見た事も無い文字だけど、どうやら勝手に翻訳して認識されるみたいだ。ろくに説明されずに飛ばされたけど、この点は一応神様に感謝しよう。書かれているメニューも元の世界である様な名前ばかりだし、食事で不自由する事は少なそうだ。とりあえず、この世界来てまだ何も食ってないから、何か頼もう。


「お待たせ!ご注文は何にしますか?」

「えっと、このパスタを大盛りで。あと詰め所の人から紹介されて来たんだけど、ここで宿もやってるんだよね?」

「やってるよ!詰め所の紹介ならこの一食分の食事代はサービスするね!食事付で一泊銀貨3枚、一日二食まで好きなタイミングで頼めて、大盛りとかも自由!!素泊まりだったら銀貨2枚だよ!」


 好きに食事を頼めるならありがたいな。

 食事付で一ヶ月分でお願いすると銀貨90枚と言われた。元の世界と同じく一ヶ月は30日の様だ。食事後に受付をするらしく、その時にまとめて払う様だ。

 周りの賑やかさに耳を傾けると、楽しそうな会話が聞こえてくる。雰囲気はかなり良く、大好きな空気だ。そうして楽しんでいるとすぐに料理が来た。結構美味い。これから別の料理を頼んでいく時も期待が出来そうだ。


 食事を終えて少ししたら、最初に注文を受けてくれた女の子が食器を片付けて、何か台帳の様な物を持ってきた。


「これが宿泊帳ね。ここに名前と宿泊予定日数を書いて」


 渡された宿泊帳を見てみると、メニューと同じ様に内容を理解する事が出来たけど、名前を書こうとした所で止まる。……普通に書いても日本語になるんじゃないか?

 疑問に思ったけど、自動翻訳で読む事は出来ているのでとりあえず書いてみたら、日本語を書いているつもりで勝手に違う文字を書いていた。読んでみると書こうと思っていた事と同じ内容なので、読み書き全般自動翻訳みたいだ。

 ……便利だけど、こういう所も説明しておいて欲しい。


 宿泊帳を書き終え、金貨1枚と一緒に渡した。ちょっと驚いた顔をしていたけど、すぐに銀貨10枚をお釣りで持ってきてくれた。


「ニッタトオル?えっとトオル、でいいのかな?部屋は向こうの階段を上がって、少し進んだらある3号室だよ!はい、これが鍵」


 鍵を受け取り二階に上がった。鍵を使って扉を開け、部屋に入った。中の様子は、寝台とカフェテーブルの様な丸机があり、クローゼットが備え付けられている。

 観葉植物的とかは無いから若干殺風景ではあるが、清掃は行き届いている様で綺麗な状態だった。


 寝台に腰掛けながらステータス画面を開いた。……あれ?人攫いを捕まえた時に銃を撃ったから魔力を使ったはずだけど……残りが98%になってる。自然回復してるのかな?それとも食事したから?

 ひとまずアイテムボックス欄を確認して、後回しにしていたパソコンを取り出した。


「0%だから今すぐは使えないだろうけど、とりあえずバッテリーを溜めておかないとな。魔力が減ると何か異常が出るのかも含めて確認しておかないと。今後の為にも」


 魔力で銃を撃つからな。もし戦闘になった時、魔力が切れて気絶してました、とかになったら目も当てられない。下手したら『殺して下さい』と言ってる様なもんだからな。

 ステータス画面の魔力残量を確認しながらバッテリーに魔力を注入していった。………自分の魔力を50%使って25%しか溜まらない。結構食うな。これ満タンになった時にどれぐらい持つんだろうか……。一応満タンにしてから電源を入れようと思うけど……あの神様がくれたものだけに、不安しか無い。数時間単位で持ってくれるといいんだけど……。


 しばらく魔力を注ぎ込んで自分の魔力残量が10%を切った時、ちょっとめまいが起きた。倒れる程ではないが、運動して疲れた時の軽い酸欠みたいな感じがする。とりあえずバッテリーの注入量は40%を超えたのでひとまずここで終わる事にした。

 今日はもう休んで、明日になったらどれぐらい回復しているのかも確認しないといけないな。


「わからない事だらけだし、色々試していかないと把握出来ない事も多いし……それなのに初日からちょっとしたトラブルに遭遇するし、この先どうなっていくんだろう……」


 明日以降の展開に不安も膨らんでいくが、わからない事で悩んでも仕方ないので、無理矢理目を瞑って寝る事にした。

 明日は良い日になります様に………。

とりあえずこれでストック分全部です。

飽きられてしまわない様になるべく定期的に上げられる様にしたいと思いますが……。

すいませんが私生活と仕事次第になると思うので、もし気に入って頂けた方がいたら大変申し訳ないです。

なるべく頑張ります。

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