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逆行ナイト~残念な兵士が神の手借りてやり直すってよ~  作者: 怒らないから言いなさいと言う裏切り者
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実地訓練③ 最終日

今回は少しジル君について少し理解が深まります。

『人の子よ。待たせたな。解析が終了した。』


あれから半日、やっとジルの解析が終了した様だ。


「オ、オォ.....。ツカ、レタ。」


「はいはい、お疲れ様ジル。」


俺はジルを持ち上げて頭の上に置いてやる。

疲労のせいか、ジルがいつもより若干溶けている様な気がする。


「で?どうだったんですか?」


『そ、それがのぉ......。分かったのは分かったのだが.......。』


なんだか申し訳無さそうなディルバールさん。

何かあったのだろうか。


『まぁ、まずは説明してからにする。』


ディルバールさんが姿勢を低くしたので、俺も地面に座る。

ジルが一体何なのかわかるかもしれないからな。

しっかり聞くことにする。


『まずその生き物は、所謂魔力の塊なのだ。

魔力そのものに手足を付けて意思を持たせた様な.....そんな感じなのだ。』


え?それって凄くね?

そう思っているとまたディルバールさんは申し訳無さそうな顔をして。


『だからと言って、魔力を無効化する攻撃を受けても消える訳では無い。

だとすれば精霊の様な物に分類される.....される筈なのだが.......。』


言葉を濁すディルバールさん。

何だと言うのだろうか。


『精霊と言う物は知ってのとおり必ず何かを司っているのだ。

それは自然であったり、物であったり、色々とあるのだが....。

こやつには、その司るものが無い。

要するに、こやつは精霊でも生き物でも無い......。単なる意志を持った魔力の塊なのだ。』


つまりそれは、戦う力も無く、何かに役立つ訳でも無いと言うことだろうか。

それは、なんというか......やはりというか......。


「......残念だな。」


「オォ!?」


『あぁ。かわいそうなくらいに残念だ。』


「オォ!?オ、オォ!?」


戸惑うジル。それもそうだ。急に自分のことを残念だと言われたのだ。

俺だって戸惑うと思う。


「大丈夫だぞジル。俺はお前を見捨てたりはしないからな。」


ジルを撫でた。

俺はこいつの健気な所を沢山見てきた。

例えば、俺が物を持っていたらそれを代わりに持とうとして潰れちゃったりとか。俺が帰るまで玄関前で待ってたとか。俺が訓練してる時は邪魔しない為に頭から離れたりとか.....。

そんなジルの健気な所を間近で見てきた俺は、とてもジルを捨てることはできなかった。


「オ、オォ?オォ.......。」


ホッとした様に俺の手に擦り寄るジル。

......チョロい所も残念だ。











俺はディルバールさんに別れを言って急いで皆の所へ帰った。

やばい、心配してるかも!!

そんな思いは、一瞬で砕かれた。


「すいません!!ジルト・ベスパット!!只今帰還しましたぁ!!!」


「おぉ、ジルトか。早く訓練に戻れ。」


......あれ?


「きょ、教官?」


「なんだ?」


「あ、あのぉ、怒らないのですか?」


「お前なら生きて帰ってくるだろうという話になってな。誰一人気にして居らんぞ。」


う、嘘だろ!?

何その謎の信頼!!俺がいつも行方不明になってる様な言い方しないで頂きたい!!

言いたいことは色々あったのだが、俺は訓練に大人しく戻ることにした。









今日の訓練は森の中での魔獣刈りだそうだ。

この訓練は過酷で、死者が出ることもまちまちだそうだ。

あと、俺が戻った時の同期の反応だが.....。


「おかえりー。」「戻ってきたのか。無事で良かったよ。」「うーわ!!ジルト今日帰ってきやがったぁぁああ!!!」「フハハハ!!賭けは俺の勝ちだな!!」


こんな感じだ。おい、賭けしてた奴ら。ちょっとこっち来い。俺にも分けろ。

とまぁ、こんな感じで教官の言う通り誰も気にしていない様だった。

.....なんだか、寂しい。

今俺は班ごとで魔獣を探していた。


「キシァァァアアアア!!!!」


早速見つかった。虫の魔獣の様だ。


「総員、配置に付けー。」


俺は言われた通り、自分の配置である若干前線に出た。

良い機会だ。

ディルバールさんから授かった龍魔法を使ってみよう。

同期が死ぬのも見たくないし、今の俺がどこまで扱えるのかも理解する為に全力でやる事にした。

俺は腰を落として、拳を構える。

右腕に魔力を貯めて、定着させる。

更に自然から自動で魔力を集まり、俺の身体への負担を軽くしてくれる。


「お、おいジルト。何する気だ!?」


「良いから良いから。危ないかもしれないから下がっててくれ!!」


集中して、ベストなタイミングを伺う。


「......。」


すると、魔獣が叫んだ。


「キシィィィイイイ!!!!」


それを合図に、俺は前に飛んだ。

ブーストが掛かってるのか、とんでもないスピードで俺の体は弾き出された。

瞬時に懐に入り込んだ。

そして、全力で拳を叩き込んだ。


「オラァァアア!!!」


ドンッ!!と音がしたと思ったら、次に。


パンッ!!と軽い音を出して、魔獣が破裂した。


「.......え?」


「「「「え?」」」」


「「「「「.........え?」」」」」


「オォ!!」


俺達は何が起きたのかわからず、少しの間思考が止まってしまった。

その後も、魔獣が現れては俺がぶっ飛ばしていた。











「今回の魔獣刈り訓練の最優秀者は、『ジルト・ベスパット』!!!!!」


盛大な拍手が送られる。

俺はこういうの慣れてないんだけどなぁ.....。

褒められること無かったし......。


「報酬として、私の自腹で金貨1枚を贈呈する!!」


金貨を受け取り、列に戻った。


「これにて、実地訓練は終了とする!!

全員直ちに帰還の準備をせよ!!!」


隊員は、全員各々の部屋に戻って行った。

その間俺は考え事をしていた。

本気でやったとしても、覚えたての俺でさえ魔獣を一撃で葬れる威力を持った龍魔法。

いや、確かに破壊に特化しているとか言ってたけども....。


「......もしかしなくても、俺ってとんでもない物授かっちゃった?」


「オ?」


......使う時は周りに注意しよう。

俺は固く誓った。

残念の肩書きはみごとジルに受け継がれましたw

ジルト君の戦闘力が跳ね上がりましたよ!!やったね!!

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