第6話 実地訓練② まさかの邂逅
ジルトくんには戦う為の力を持ってもらいます。
実地訓練2日目。
ジルを抱えて寝ていると班長が起こしに来た。
「おーい、早く起きろー。」
「ん〜......おはようございまぁす。」
「おう、おはよう。
ジル君もおはような〜。」
そう言ってジルを撫でる班長。
顔が緩んでますよー。
「オォ.....?オォ.....。」
ウトウトするジル。
やっぱり最近可愛く感じてきたな。
「最初は気持ち悪かったけど、よく見ると健気で可愛いよねー。」
「わかりますよ班長。愛嬌がありますよね。」
さて、ジルは置いて準備しよう。
恒例の朝会だぜ。
《朝会》
「今日は森の中でサバイバルゲームをしてもらう!!
武器は木製のナイフのみ!!
ルールは3つ!!
一つ、ナイフを相手に当てることができれば勝利だ!!当たり判定は腹筋より上のみとする!!
二つ、ナイフを投げないこと!!
三つ、倒されたものは自分を倒した者に自分のナイフを手渡すこと!!
これは如何に相手に気付かれずにナイフを当てるかが勝負となる!!
身と気配を消すのが上手くなれば色々な場面で役に立つ!!
もう1度言うが投げるのは禁止だ!!!あくまで森の中での接近戦に慣れる為の訓練だからな!!!」
そんな感じで木製ナイフが渡される。
「フッ、僕の華麗なる剣舞をお見せしよう!!」
あのナルシストやけに気合い入ってるな。
「オォオォオォ.....!!」
......こっちも気合いが凄い。なぜ俺よりも燃えているのだろうか。
ジルばかりやる気にさせるのも悪い。
なので、俺も本気で取り組むとする。。
《森》
現在俺は木の上に身を潜めている。
え?ズルイ?卑怯?言ってろ。
これが俺の本気だ!!!
「「........。」」
ジルと一緒に声を出さずにひっそりと待ち受ける。
「ここら辺には居るかなーっと。」
おっと、早速1人来たな。
ではでは、甘んじて狩らせて頂こう!!
シュバッ!!!っと木の上から飛び降りる。
「その首貰ったぁ!!!」「オォ!!」
「は!?ちょっ、卑怯だぞ!?」
そんなことを言われている間にも俺は落下している。
動揺している隙にナイフを相手の肩に当てる。
俺の勝ちだ!!
「くっそー!!木の上もありなのか!!」
「ハッハッハー、どうだ?」
「すげームカつく!!」
そんな会話をしながらナイフを受け取る。
まずは1本目。
「よし、移動するぞジル!!」
「オォ!!」
軽い足取りのスキップする俺。
しかし!!
「隙ありぃ!!」
「な、なんだとぉぉぉ!?」「ォオオオオオ!?」
地面から友人、ベルドットがゾンビのように這い出てきた。
俺は対処しきれずに胸にベルドットのナイフが当たる。
「よっしゃぁぁぁあああ!!!」
「くっそー.....お前よく地面の中に隠れようと思ったな。
「俺こそが天才だ!!」
「まぁバカと天才は紙一重って言うしな。」
「うわっ!!ひでぇ!!」
とりあえず自分の持っているナイフを渡す。
あと1本あるしな。ここからは注意していこう。
今思えば、調子に乗ってたんだと思う。
俺は不思議な雰囲気がする洞窟を見つけたから入った。
「うわー......暗いなぁ。」
「オォ.....。」
ちょっとした探検気分で洞窟をズンズン進んでいた。
ふと、奥に自然の様で自然じゃない光を見つけた。
するとそこには......。
『去れ、人の子よ。』
やばいくらい大きなドラゴンが居た。
『ここは理から外れた場所。
人の子が来る場所ではない。』
体が動かない。喉が乾く。声が出ない。
圧倒的な威圧感を前に必死に意識をつなぎ止めていた。
ジルも震えている。
『.....いや待て。』
そう言ってドラゴンは俺の目を覗いてきた。
人間を遥かに凌駕する知性が溢れ出る眼差しで俺を射抜く。
とても澄んだ色をしていて、眼球一つが丸々宝石のようだ。
『お前、1度死んでいるようだな。
.....そうか、あの豊穣神に救われたのか。なるほど、充分理からは外れているな。」
見透かされている.....!?
俺の心臓の鼓動が更に大きくなった。
『お前、名は何という。』
「じ、ジルト・ベスパット......です。」
『ふむ、我は【智龍】ディルバールと言う。』
ディルバール.....聞いたことはある。
だがどんな物だったかは覚えていない。
『......その背中のはなんだ?』
「え、いやこれは.....。」
「オォ......。オォォォ....。」
ジル!!出てくるなよ!!
何かされるんじゃないかと心配になったが.....。
『これはなんと.......!?我でさえ見たことがない生物だ!!
よもや、この世界の智を食い尽くした我でさえも知らない物が存在するとは!!』
「オォ?」
あれ、興味津々だ。
『ふむ、久しぶりに気分が良くなった。
面白い物を見せてくれた褒美を授けよう。我が智の一部だ。受け取れ。』
そう言って白い玉を作り、俺の頭に投げつける。
その瞬間、頭に膨大な量の情報を送り込まれた。
【龍魔法】
普通の魔法のように属性は無い。
ただただ純粋に自身と自然の魔力を固め、それを持って圧倒的な攻撃力と破壊をもたらす。
俺は龍魔法に関する知識と、その扱い方の情報を授かった。
『最初は扱いきれないと思うが、精進し、己の物として見せよ。
......ところで、その生き物を解析してもいいかの?
なに、悪い様にはしない。』
「オォ!!」
目を爛々と輝かせるドラゴン。
ジルも別に嫌そうでは無いので了承した。
それを伝えると、『そうか!!では早速取り掛かろう!!』と言って難解な解析魔法でジルを解析しだした。
.....解析するための魔法が既に解析不可能とはこれいかに。
┌(┌o;)┐<読んでくれてありがとオォォォ....。