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逆行ナイト~残念な兵士が神の手借りてやり直すってよ~  作者: 怒らないから言いなさいと言う裏切り者
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序章:残念な兵士

どうも、初めまして。怒らないから言いなさいと言う裏切り者です。

裏切り者は『親」と読みます。


元は他のサイトでのんびり小説を書いていましたが、文庫化を夢見てこちらでも活動することになりました。

どうぞ、生暖かい目でご覧ください。

数えるのも嫌になりそうな程の怒号と爆発音、金属音が聞こえる。


体が冷たい。


しかし胴体は異常に熱い。


背後から攻撃された様だ。


このぶんだと、内臓まで届いているかも知れない。


痛みの程度から、恐らく魔法だろうと言うのはわかった。


剣で斬られた時の刺す様な痛みは無いからだ。


だが、何属性かまでわかる程魔法には詳しくない。俺には魔法の才能が無いそうだ。訓練所で笑われたっけ。


横を魔法使いらしき女が通っていった。


「ごめ........い。ほ......と.....にごめ.......い。」


周りの騒音のせいか、何か言っているが上手く聞こえない。目も霞んで表情もよく見えない。


なんと言っているのだろうか、罵声か?


走り去る彼女の後ろ姿を見届けて、再び1人になる。


誰か助けてくれるのだろうか。


いや、助けてくれる筈だ。


これまで一緒に頑張ってきた仲間なのだから。


「どけ、邪魔だァ!!!!」


頭に衝撃と重みを感じた。


視界がチカチカする。


どうやら頭を踏まれた様だ。


誰が踏んだのか目だけ動かした。


目に映ったのは、見慣れた同僚の靴だった。


ひ、ひでぇ.......。


心配もしねぇのかよ。まぁ仕方ないか。


足を止めれば死ぬかもしれないし、気づかない程必死だったのだろう。


あぁ、クラクラする。


頬に暖かい液体が触れた。


それが自分の血だというのに気づくまで、さほど掛からなかった。


まさか、このまま死ぬのか?


それは嫌だ。やりたいこと等は特に無いが、まだ結婚もしていない。


童貞も捨ててない。この前成人したばかりだからな。


.....成人前に捨てた奴も居たには居たな。そういえば。


ともかくまだ生きたい。


死因が仲間に踏まれたとか残念過ぎだろ。


まぁ、残念なのは何時もの事か。


生まれてから死ぬまで残念、残念、残念。


遂には『王国一残念な兵士』なんて二つ名も付けられる始末。


生きたいと思う気持ちとは裏腹に意識がどんどん薄まる。


抗いようの無い程に体が脱力して行く。


あ、ダメだこれ。


俺は、意識を完全に手放した。





☆☆☆☆☆☆



王国歴1000年


王国兵士『ジルト・ベスパット』


年齢:20


状態:戦死


死因:頭を踏まれた


二つ名:王国一残念な兵士



☆☆☆☆☆☆




目を開けるのも億劫な程の光で目が覚めた。


『あぁ、目覚めましたか。』


頭の中に声が響くと同時に目を開けると、ぽっと光の玉の様な物が目の前に浮かんでいた。

なんだか、見ているだけで安心感が湧き上がる光だ。


『私の名はロウ、豊穣の神です。』


ロウ......?どこかで聞いたことがあるな。

思い出せないが。


『私は太古から人類を見守ってきました。人類が築いた技術も、積み重ねて来た歴史も.......そして、犯した罪の数々も。』


柔らかい声音で語りかけてくる豊穣の神を名乗る何か。

しかし、その声からはとてつもない説得力があった。

神々しい威圧感が感じられた。


『ですからあなたに目を付けました。人類史でも稀に見るよりも稀な程に残念な人生を送ったあなたに。』


散々な言われ様だ。

まぁ......残念なのは事実なのだが。


『そんな残念なあなたに、1度だけチャンスを与えます。

人生を、もう1度やり直すチャンスを。』


......なんだって?

やり直す?この俺が?

この、人生を振り返って一番幸せだと思った思い出が『道具屋のおみくじで特賞を当てたこと』なんて残念なエピソードを持つ俺が?


『だからです。そんな残念な人生を、やり直したいと思いませんか?』


......やり直したい。

不意にだが、心からそう思えた。

こんな俺がやり直せるのなら、今度は残念なんて言わせない人生を送りたい。


『わかりました。これが最後ですが、私はあなたをいつでも見守っています。そう、いつまでも、いつまでも......。』


その言葉を最後に、俺は何かに引きずり込まれる様な感覚を感じた。




☆☆☆☆☆☆



柔らかな日差しが俺の顔に直撃する。起床時特有の気だるさが身を襲う。睡魔が全力で意識を引っ張ってくる。

それら全てを振り払って、体を起こす。


「.....あれは、夢だったのか?」


はっきり覚えている夢と言うのもかなり珍しいな。

また残念エピソードが追加された。

『戦死して、神にやり直すか?と言われそれを真に受けたが全て夢だった』

これ程残念な物語はそうそう見ないだろう。


「ジルト、そろそろ起きなさ......珍しく早起きね。」


母親が起しに来たようだ。

一人で起きるくらいもうできるから。


「起きたなら早く準備しなさい。」


ん?今日何か用事はあったか?

頭がボーッとして思い出せない。

記憶力まで残念な俺だった。

しかし、次の言葉で頭が真っ白になった。



「今日から貴方も立派な王国兵でしょ?しっかりしないと笑われるわよ?」



耳を疑った。

今日から王国兵?何を馬鹿なことを言っているのだろうか。

俺は既に立派な王国兵だ。

.......いや、立派では無いな。少なくとも笑われてた。


「何ボーッとしてるの!!早くしないと遅れるわよ!!」


流石に様子がおかしかったので、口に出して聞いてみた。


「......今って戦歴何年?」


夢と分かっていても、やり直すと言うのはとても魅力的だった。

少し信じたい気持ちもあったのだ。

そして、返答が返ってきた。


「今?.....戦歴993年よ?急にどうしたの。」



それは、ある意味予想外で、ある意味望んでいた返答だった。



それを聞いて飛び起きた。階段を降りて鏡を探した。

部屋から声が聞こえるが気にしている場合では無い。

鏡、鏡は無いか!!!

探していると手鏡を見つけた。祈る様な思いで鏡を見た。


「ハハッ、マジかよ。おい。」


そこには残念エピソードの1つ、『兵士デビューの為に濁った金髪を黒髪に染めて浮きまくる』というエピソードを犯す前の、ギリギリ金髪だがよく見ないと金髪には見えない程にくすんだ髪色の自分がいた。


それは紛れも無く、『王国一残念な兵士』なんて二つ名が付く前の自分の姿だった。

文章力まで残念な作者でした()


ここまで辿りつけた猛者は少ないことと存じます。

もし、万が一にも気に入った方が居ましたら、応援宜しくお願いします。

それが作者のモチベーションとテンションに繋がります。

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