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無知性の凱歌 Revised 1  作者: 宮沢弘
第一章: 始まりと終わり
5/18

1−5: 第0日再び

 今、処置室に向かいながら、片手キーボードで書いている。

 結局、どうあれ、扱いきれる技術ではなかったのだ。補助脳は生物でもなく、器官でもなく、一定のところの人権を確保するための補助具であるとされ、代替器官と同様に保険の適用対象となり、義務化された。さらには、1/1人権に正規化されることが決められた。

 そして代替器官の応用として創られたのは…… 兵士であればまだよかったのかもしれない。だが、創られたのは兵器だった。DNA様物質と代替物による環境であるなら、それは生物ではない。そのような判断がなされた。

 倫理について言うなら、この技術を扱いきったとも言えるだろう。人間の倫理に照らして言うならだが。

 代替器官が残ったことは喜ばしい。

 そして、マップス。見ているだろう? ここまで生き延びたんだ。計算資源を食い荒らすことなくさらに生き延びて欲しい。できるなら、一定の範囲の組織を超えた培養に関してのあらゆるものを消してもらえたならと思う。マップス=0、もし君が受け取ってくれるのならだが、私の名前を受け取ってはもらえないだろうか。君は誰でもなく、それでありながら君であった。充分に機能する君を見ることはできなかったが、それでもやはり君であった。君にプレゼントできるものは、これしかないようだ。

 数ヶ月から一年ほどをかけて、私は忘れていくはずだ。資料を読んだとしても、理解できなくなるのだろう。これで、誰も個体を作り出すことはできなくなる。脳の機能は好きなように制限を続ければいい。制限し続けられることを望む。

 それとも、その望みは、私が思うところの倫理を人間も持っているという願いなのかもしれない。

 ただ、これだけははっきりしている。今、心は平穏だ。


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