ターン48「ぼうけん」
「へー。〝でんせつのそうび〟が、ひのきのぼうと、ぬののふくねー」
マイケルは、お菓子をもぐもぐと食べながら、そう言った。
今日はマイケルに相談があったので、ちょっとふんぱつして、お菓子を買った。
昔、キサラのプレゼントを買えなくて後悔したことがあったので、おこずかいは溜めるようにしている。
とっておきのときのために、とってある。とってあるから、とっておきっていう。
「それー。おまえー。かつがれたんじゃねーのー?
かつぐって? ぼく? 肩にのせられちゃった?
「そのかつぐじゃねーよー。だます、って意味だよ」
村長さんが、ぼくをだますの? なんでだますの? だまして、なんかいいことあるの?
「だましてんじゃないなら、じゃあ、ガチだなー」
ガチって?
「その初心者用の装備を、ほんとに、〝でんせつのそうび〟だと思ってるんじゃないのかー? だとしたら、ほうっておいてあげろー」
うん。だからほうっておいてあげたよ。
ぼく。なにもみなかった。
「うん。それがいいんじゃないかなー。そんちょーさん、もうトシだしなー。ボケててもしかたねーし。ユメ、壊しちゃったら、かわいそうだろー」
うん。そうだねー。
だけど残念だったなー。
伝説の装備……。みてみたかったなー。
「え? おまえ? なに? なんなの? ひょっとして、冒険、とか、そーゆーの、したいの?」
うん。してみたいなー。
マイケルは、したくない?
「俺はおまえ。村人Aじゃんよー。そんな。冒険とか。無理じゃんよー」
マイケルはすくなくとも「A」じゃないと思うな。たぶん「H」だと思うよ。
「そういや。うちの村のすぐ近くにさー。なんか、あったよなー」
なんかって、なにが?
「ほら。なんか〝ほこら〟? とか? そーゆーの」
ほー。へー。はー。
あったんだ。
「俺たち子供は、はいっちゃだめ、って言われてるけどなー」
へー。そんなのあったんだ。
「え? 一緒に行ってみないかって? だから子供は入っちゃだめなんだってば」
ぼくは子供じゃないよ。もう大人だよ。12歳だもの。
「子供でなくても、ダンジョンなんて、いかないって。あぶねーじゃん」
じゃあ。一緒に行こうよ。
「え? 俺? だめだめ? 行かない行かない。だっておまえ――フローラが心配するじゃん。俺はフローラを悲しませるようなことは、絶対しないって、決めたんだ」
マイケルはそう言った。
いっつもフラフラしているマイケルだけど、フローラのことになると、急にしゃんとなって、真人間になる。
そこはすごいと思う。
ぼくは、だめだなー。
村の近くにダンジョンがあるって聞いたら、心がぴょんぴょんしてきちゃった。
まえに、村を出ようとしたときのことを思いだしてしまった。
この道はどこに続いているんだろう。あの青い空のしたには、いったいなにがあるんだろう。
そう考えるのが止まらない。
◇
マイケルを誘ってもだめだったから、ぼくは、一人で「ほこら」という場所に行ってみた。
「こら。ボウズ。こんなところに来てはいかんぞ」
ほこらの入口のまえには、大人のおじさんが立っていた。
ヨロイを身につけて、剣も持っていて、なんだか強そう……?
あの青く塗られた鎧、カッコいいなー。
「村に帰れ。ボウズ。……ん? わしか? わしは、誰かが間違って、ほこらに入ってしまわないよう。見張りをやっているんだ」
でもぼく? 間違えてないよ?
ほこらに入ろうとしているんだよ。
「わっはっは。なにを言う。ここはダンジョンだぞ。なかにはモンスターが棲みついているのだ。子供の遊び場所とは違うのだ」
モンスターなら倒したことあったけどなー。トレント割るの、得意だよ?
「とにかく。力のない者を、このほこらに入れるわけにはいかんのだ。ここに入ってよい者は、すくなくとも、わしより強くなくてはな。……もし、どうしてもというのであれば、わしを倒してみよ!」
えー? 倒すの?
「がっはっは! おまえみたいな子供には、無理だろうがな!」
おじさんは、豪快に笑っている。
戦ってみますか?[はい/いいえ]
「薪割りスローライフをはじめますか?」http://ncode.syosetu.com/n1853da/ ターン48の選択肢。〝ぼうけん〟に憧れて、村の近くにある〝ほこら〟に行って見た。門番のおじさんを倒さないと入っちゃだめという。戦いますか?
今回の選択肢の投票場所は、こちらです。
https://twitter.com/araki_shin/status/730754114246696960
今回が最後の選択肢となります。書籍化2巻目の作業はだいたい終了です~。2巻は、この夏刊行予定であります。




