ターン45「夢?」
ぼくは、はっ! ――と、目を覚ました。
自分のおうち。ベッドの上。
虫の鳴く音だけが聞こえてくる。
あれ? カイボーされちゃったのは……夢?
もう眠れそうになかったので――。
ぼくは、日が昇るまえから、ぱっかんぱっかんと薪を割りはじめた。
◇
次の日。
薪を持って、配達に行くと――。
「あ……。カ、カイン……? お、おはよう」
おはよう。
――って? あれれ?
キサラが挨拶してきた。めずらしいよね?
キサラはいつも、最初は、「なに? なんの用?」と、じろりと睨んでくる。
もちろん、ぼくは、キサラが優しい子だって知ってるから、睨まれたって気にしない。キサラの挨拶みたいなもんだって、そう思ってる。
そのキサラが、今日は、「おはよう」と言ってきた……?
へんなのー?
「その……、もう、だいじょうぶ?」
なにが?
「あ。薪ねっ。あ、ありがとうねっ……」
薪を渡すと、キサラはお礼を言って受け取った。
やっぱり変だ。
いつものキサラだったら、「薪割りのあんたは薪を割るしか能がないもんね。べつに欲しくないけど。仕方ないから、受け取ってあげるわ」――って感じになるんだけど?
キサラはなんか様子がおかしかったけど……。
ぼくは自分の仕事をした。キサラの魔法屋に薪をおいていった。
おかしなキサラのところをあとにして、ぼくは、次の配達先に向かった。
◇
「あ……、カ、カインさん?」
次の配達先は、ユリアさん。
ユリアさんも、やっぱり、なんか、へんだよなぁ……。
「そ、その……、あはははは」
ユリアさんは笑っている。
しかしその笑顔は、いつもの穏やかな笑顔とは、違う感じで……。
なんか、引きつっている?
「だ、だいじょうぶですよー……。ですからねー?」
なにが「だいじょうぶ」なんだろう?
よくわかんなかったけど、ぼくは自分の仕事をした。
ユリアさんの教会にも、薪を置いていった。
◇
「見てません! 見てません! わたしはなんにも見てません!」
ロッカも様子がおかしいなぁ。
ぼくにであったとたん、ぴゅーって、木の上のおうちに、駆けこんじゃった。
ロッカのお家は、木の上にある。
あぶないから、木の上では火は使わない。木の下にあるカマドの前に、ぼくは、薪をたくさん置いておいてあげた。
薪を積み上げおわってから、上を見る。
木の上のおうちにいるロッカが、こちらを見ていて――目と目が合ったとたん、頭が窓の中に引っこんだ。
うーん……?
◇
つぎはアネットのところ。
狩人のアネットは、狩りに出ていて、家を空けていることが多いんだけど。
昨日はいたから、今日もいるに違いない。
家にいるときには、薪を使うだろうから、持っていってあげなきゃ。
あれ? なんで昨日はアネットがいたっていうことを、ぼく、知ってるんだろう?
昨日、会ったかな? 覚えてないなぁ……。
アネットの家に行くと、家から出てきたアネットと、ばったり出くわした。
「あっ」
アネットは、ばつの悪そうな顔をしている。
うーん……? みんなそんな顔をするよね。
ぼくの顔を見ると、きまって同じ顔をするんだけど……。
「いや……、気にしてないよ? 気にしてないからねっ?」
アネットは念を押すように、そう言った。
うーん……。なんだろう?
気にしてないのは、ぼくのほうで……。
なにかを気にしているっぽいのは、みんなのほうなんだけど……。
とにかく、ぼくは、仕事をした。
アネットのところにも、薪をたくさん置いてきた。
◇
つぎはマリオンのところ。
「や、やあ……。カ、カイン……」
ぼくと顔を合わせたとたんに、こそこそー、と、逃げようとするマリオンに、ぼくは――。
→[いいえ]
――と、そう、呼び止めた。
正確には呼び止めてないかもしれないけど。
でもキモチは伝わったみたいで――。
マリオンは立ち止まってくれた。
「そ、その……ごめん。逃げようとしちゃって……。あ、あたしらしくなかったよね……?」
→[はい]
ぼくはうなずいた。
マリオンなら、逃げないで教えてくれる思った。
なんか今日は、みんなが変なのだ。
ぼくの顔をみるたびに、様子がおかしくなったり、逃げていったりするんだよね?
なんでか、知ってる?
「い、いや……、あの……、そのつまり……」
なに?
「だ、だからその……、いわゆるひとつの……」
マリオンは、ぼくの顔を見ながら、しどろもどろ。
ヘビににらまれたカエルみたいに、だらだらと
ん? カエル? なんかカエルがひっかかるなー?
なんだっけ?
ああそうだ。朝。へんな夢を見たんだっけ。
カエルになって、それから、カイボーされてしまう夢……。
なんであんな夢を見たんだろう?
「そ、その……、リ、リリーから話してもらうといいんじゃないかと……、思うよ? あ、あたしもついてくから……、責任、あるから……」
なんか、リリーに聞けば、わかるそうだ。
マリオンがついてきてくれるそうだ。
ぼくはマリオンの鍛冶屋に薪をたくさん置いてから、マリオンと一緒に、リリーのおうち――〝けんきゅうじょ〟に向かった。
◇
「カイン君? ……どーしても、聞きたい?」
リリーは言う。
「もいちど聞くよ? ……どーうしても聞きたい? 聞いても、怒らない?」
聞いてみないと、怒るかどうかなんて、わかんないよ?
てゆうか? それ? 怒るようなことなの?
「最後の最後に、もーいちど、聞くよ? どーしても、聞きたい?」
どうしても聞きたいですか?[はい/いいえ]
今回の選択肢の投票場所は、こちらです。
https://twitter.com/araki_shin/status/729688987044995074
明日の朝、9~10時に更新予定でーす。




