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薪割りスローライフをはじめますか?[はい/いいえ]  作者: 新木伸


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 帰るまえに、ちょっとイタズラをしてみよう。


 まず、リリーの頭のうえに、お菓子を置いてみた。

 クッキーが、何枚まで重ねられるか、レッツ・チャレンジ……。


 3枚目を積み重ねたところで、リリーが姿勢を変えたので、クッキーは落ちちゃった……。

 あーあ、残念っ。


 机の上に降ってきたクッキーを、リリーは、目を向けもしないで、手でつまんで、口へと運んだ。


 ひょいぱく。

 ぱりぽりぽり。


 ひょいぱく。

 ぱりぽりぽり。


 ひょいぱく。

 ぱりぽりぽり。


 クッキーがなくなる。


 それでもまだ、手が――。

 机の上を、たし、たし、たし――と、叩いて探っているので、ぼくはそこにクッキーをもう何枚か置いておいた。


 つぎにぼくは、机の端にのっていた、なにかペンみたいなものを手に取った。

 先端のキャップを外すと、つんとするニオイがする、不思議なペンだ。


 これもリリーの発明品で、紙だけでなく、なににでも書ける。

 「魔法みたいなペン」といっていた。「魔法のペン」じゃなくて、「魔法みたいなペン」らしい。


 そこんとこ大事。


 魔法じゃなくて〝カガク〟なんだって。〝こうどにしんかしたカガクは魔法とくべつがつかない〟とかなんだとか、リリーは言っていた。


 そのペンで、リリーのおでこのところに……、なにか字を書こうと思った。

 でもよく考えてみれば、ぼくは、字が書けなかった。


 字は書けなかったけども、なんか、それっぽく、字、みたいなものを書いてみた。


 かきかき。

 きゅっきゅっ。


 しかし……。

 リリー……。すごい集中力だよね……。

 ぜんぜん、気がついてないよ?


 よし! 書けた!


 字は書けないけど、なんか、字、っぽいものを書いた。


 それは形でいうと、だいたい、こんな感じ……。


      ■

■■■■■■■■■

■    ■     ■

■   ■ ■    ■

■  ■   ■   ■

■ ■  ■  ■ ■

■■  ■■  ■ ■

■  ■    ■  ■

■ ■      ■ ■

■           ■


 ちなみに、小さく書くと「肉」って感じ。


 よーし。じゃあ。

 イタズラもしたので、帰ろっかなー?


 と、ぼくが、こんどこそ本当に、帰ろうとしたところで――。


「できたー!」


 リリーが、突然、叫んだ。

 うわあ。バレちゃう。怒られちゃう。


 ぼくは、どきどきしていたが、リリーは額に文字っぽいものを書かれたことに気づいていないっぽい。

 そうだよね。鏡でも見なければ、気づかないよね。


「自分のかわりに、おしっこ行ってきてもらえる機械! つくったー!」


 リリーはなにか機械を頭上に掲げて、くるくると回っている。


 でも、女の子が「おしっこ」とか大声で言うのは、それ、どうなんだろう?

 あと、おしっこかわりに行ってもらうとか、無理だよね。できないよね。


「じゃあ。カインくん。かわりにいってきてー! スイッチオーン!」


 リリーが、キカイのスイッチを入れた。

 ういんういん、音がして、キカイが動いている。


 ……そして。


 あれ? あれあれっ?

 あれあれあれっ?


 なんか……、突然、急に……。

 おしっこ行きたくなってきた?

 うわあ! やばい! もれるもれるもれるー!


 ぼくは、あわてて、トイレに駆けだした。うしろでリリーが「はー、すっとしたー」とか言っている。

 どゆこと? どういうことーっ!?


    ◇


 結論。

 ぼくはリリーのかわりに、おしっこをした。いっぱいした。

 イタズラしていないで、はやく帰っていたほうが、よかったみたいだった……。

 とほほー。

本日中にもう一本投稿予定でーす。

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