ターン37「ニンゲン勝負だニャ」
「おいニンゲン。勝負だニャ」
いつものように、とことこと――。村の中の道を歩いていたとき。
そんな声が聞こえてきて、ぼくは立ち止まった。
だれだろう? どこだろう?
ぼくはきょろきょろと、見回した。
「ニンゲン。ニンゲン。どこ見てるにゃ? ミーはここだニャ」
さらにきょろきょろと、ぼくは周囲を見回した。
おかしいな。どこにもいない?
「ニンゲンはバカだニャ! 頭の上にいるのに気づかないニャ!」
あ。なんだ。上か。
ぼくは、上を向いた。
木の上に、全身、白い毛皮で覆われた、女の子――じゃなくて。
モンスターの女の子がいた。
「はっ! しまったニャ! み、見つかってしまったニャ!」
モンスターの女の子は、人間の言葉をしゃべっている。
魔物はほとんど喋ることはないのに、めずらしいモンスターだ。
姿は、なんだか……ネコっぽい?
語尾になんか「ニャ」ってついてるし……? やっぱりネコなのかな……?
「このあいだは、よくもやってくれたのニャ!」
ネコっぽいモンスターの女の子――ネコ娘は、そう言った。
このあいだって、なんだろ?
なんかこのモンスター……。
見たことある気がするんだけど……。
どこでだったっけ?
モンスターと出会うことなんて、そんなにないはずなんだけど……。
「ん? なんだニンゲン? ミーのこと覚えてないのかニャ? だけどミーはひどいめにあったのニャ! おまえなんか魔王さまにヤツザキにされてしまえば、よかったのニャ!!」
ああ……。思いだした。
ネコ娘の言葉がヒントになって、ぼくは思いだしていた。
ぽん、と手を打つ。
まえに、お金を稼ぐために、森でモンスターを狩っていたとき――。
このモンスターと出くわしたんだっけ。
トレント狩りをしていたら、たまたま、出くわして――。
どうしようか迷っていたら、ぴゅーっと逃げて行ってしまったので、ほうっておいたら――。
あとから、魔族の男の人を連れてきて戻ってきた。
あの魔族の男の人……。〝魔王〟とか言っていたけど。
まさかそんなわけないよねー。
「魔王」ってなにか。ぼくだって知ってる。
こんな田舎に、魔王なんているわけがない。
だいたい「魔王」は、ずっとずっと昔に「勇者」によって倒されたって、そう聞いている。
「まー……! おまえのおかげで、ミーは、魔王さまに鈴をつけてもらったし、そこは、感謝してるのニャ!」
感謝してるんだ。
どういしたまして。
「でも! それとこれとは別なのニャ! おまえをギャフンと言わせてやるニャ!」
ネコ娘は、しゃきーん、と、ツメを出した。
うん。やるの?
ぼくも、しゃきーん、と、斧を出した。
「ず、ずるいのニャ! な! なんで武器をもってるニャ!」
ぼく薪割りだもん。
腰の後ろに、いつも斧はさしてるけど?
「丸腰だと思ってたニャ! ずるいニャ!! ずるいのニャーっ!」
知らないよ。
油断したの、キミだし。
戦おうって言ったのも、キミだし。
「おまえはミーを油断させたのかニャ!? それは作戦かニャ!?」
――で。
戦うの? 戦わないの?
「た、た、た……」
ネコ娘は、ツメを出したり引っこめたり。
どっちなのか。早く選んで欲しいなぁ。
ぼくはどっちでもいいんだけど。
「お、お、お……おまえが、もし! 〝まいった〟と、言うならッ! きょ、きょ、きょうは! きょうはカンベンしてやってもいいニャ!」
えーっ?
ネコ娘は、そんなことを言っている。
「まいった」と言いますか?[はい/いいえ]
今回の選択肢の投票場所は、こちらです。
https://twitter.com/araki_shin/status/728124986062299136
今夜はちょっと別作業があるので、更新はこの1本だけとなります。
明日の朝、9~10時頃に次回更新です。




