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薪割りスローライフをはじめますか?[はい/いいえ]  作者: 新木伸


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62/111

 →はい

 →はい

 ・

 ・

 ・

「え? はい、ですか? え? 赤ちゃん育ててみないか? ……ですか?」


「あっ……? でも、そうすると。一緒に暮らさないといけないんじゃないでしょうか。コウノトリさんも、一緒に二人、暮らしているおうちにでないと、運んできてくれないみたいですし……。ええと……。そうしたら、まず、コウノトリさんに知らせたほうがいいのかな……? んっと……、んっと……」


 ロッカは、一生懸命、考えている。

 ぼくは待った。

 ロッカは物知りだ。「赤ちゃんコウノトリ説」を知っていたのはロッカだった。


「あ――、コウノトリさん!」


 中空を見上げて、ぼうっと考えていたロッカが、急に大きな声を張りあげた。

 どこを見ているのかと、目線を追うと――。窓辺を見ていた。外。空。


 鳥が優雅に飛んでいる。


「コウノトリさーん、コウノトリさーん! こっちこっちー!」


 窓辺に駆け寄ったロッカが、ぱたぱたと手を振る。

 鳥は翼を振って返事をすると、ぐるーっと大きく旋回して、こっちに来た。

 窓辺に着陸して、窓枠のところに留まっている。


 ロッカは動物と話ができる子だ。もちろん鳥とだって話せる。


「あの。ちょっと待ってくださいね。いまコウノトリさんに、聞いちゃいますから」


 ぼくに向かってそう言って――。

 そして、鳥に向かって――。


 ぴーちく、ぱーちく。

 鳥語(?)を話しだした。

 身振り手振りもまじえて、ボディランゲージ。


 鳥のほうも、まるで言葉が通じているかのように――通じてるんだけど――。

 首を上げ下げしたり、くちばしを開いたり閉じたり、羽を広げてぱたぱたやったり、くけー、けっけー、と、あまり聞かない鳴き声をあげてみたりと、リアクションを返してきている。


 すごい。話。通じるんだ。


 何通りか


「くけーっ、けっけっけ……」


 最後に大きく鳴いたあと――。

 鳥は、羽ばたいて、飛び立っていってしまった。


「……笑われちゃいましたー」


 どうして?


「赤ちゃん。運んでなんかいないって……。あと。赤ちゃんは、運んできてもらうものじゃなくて、自分たちで作るものだって。動物さんたちは、みんな、そうだって。そんなへんな話を作ってるの、人間だけだって。……そう。言われちゃいましたー」


 ロッカは、そう言った。

 なんか、へこんでいるみたい。


 鳥に笑われちゃったからかな?


 そういえば、赤ちゃんって、持って来てもらうんじゃなくて、作るって言ってたよね?

 どうやって作るんだろ。


「え? 赤ちゃん……、どうやって作るか聞いてるか……、ですか?」


 うん。そう。

 どうやって作るの?

 運んできてもらうのが、だめなら、自分たちで作ればいいんじゃない?

 赤ちゃん作ってみよう。


 →「はい」


「……だ、だめっ! だめですだめっ!」


 なんで?


 →「はい」

 →「はい」

 →「はい」


「だ――だめっ! だめですーっ! だめーっ!」


 ばっしーん、と、ほっぺを引っぱたかれた。


 そのままぼくは、勢い余って、窓から落っこちてしまった。


 ぴゅーっ、と、落ちた。

 ロッカのおうちは、木の上にある。高いところにある。


 下は灌木と芝生だったから、助かったけど。


「か――!? カインさん!? だ、だいじょうぶですかっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! そんなつもりなんてなかったんです! 叩くつもりなんて――! ごめんなさい! ごめんなさい!」


 木の上の窓から身を乗り出して、ロッカが叫んでいる。


 あー、びっくりしたー。

 ロッカも、ぶったりするんだなー。

 でも、なんで、ぼく、ぶたれたんだろ?


「だってだってだって! カインさんが――へ、へんなこと言うからっ!」


 へんなことを言ったかららしい。

 でもなにが変だったんだろう?


 青い空を見上げながら、ぼくは、ぼんやりと考えていた。

 空はどこまでも青かった。


 この空がどこまで続いているのか、そのうち、確かめてみたいな。

このあと、もう1本、投稿予定でーす

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