→はい
→はい
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「え? はい、ですか? え? 赤ちゃん育ててみないか? ……ですか?」
「あっ……? でも、そうすると。一緒に暮らさないといけないんじゃないでしょうか。コウノトリさんも、一緒に二人、暮らしているおうちにでないと、運んできてくれないみたいですし……。ええと……。そうしたら、まず、コウノトリさんに知らせたほうがいいのかな……? んっと……、んっと……」
ロッカは、一生懸命、考えている。
ぼくは待った。
ロッカは物知りだ。「赤ちゃんコウノトリ説」を知っていたのはロッカだった。
「あ――、コウノトリさん!」
中空を見上げて、ぼうっと考えていたロッカが、急に大きな声を張りあげた。
どこを見ているのかと、目線を追うと――。窓辺を見ていた。外。空。
鳥が優雅に飛んでいる。
「コウノトリさーん、コウノトリさーん! こっちこっちー!」
窓辺に駆け寄ったロッカが、ぱたぱたと手を振る。
鳥は翼を振って返事をすると、ぐるーっと大きく旋回して、こっちに来た。
窓辺に着陸して、窓枠のところに留まっている。
ロッカは動物と話ができる子だ。もちろん鳥とだって話せる。
「あの。ちょっと待ってくださいね。いまコウノトリさんに、聞いちゃいますから」
ぼくに向かってそう言って――。
そして、鳥に向かって――。
ぴーちく、ぱーちく。
鳥語(?)を話しだした。
身振り手振りもまじえて、ボディランゲージ。
鳥のほうも、まるで言葉が通じているかのように――通じてるんだけど――。
首を上げ下げしたり、くちばしを開いたり閉じたり、羽を広げてぱたぱたやったり、くけー、けっけー、と、あまり聞かない鳴き声をあげてみたりと、リアクションを返してきている。
すごい。話。通じるんだ。
何通りか
「くけーっ、けっけっけ……」
最後に大きく鳴いたあと――。
鳥は、羽ばたいて、飛び立っていってしまった。
「……笑われちゃいましたー」
どうして?
「赤ちゃん。運んでなんかいないって……。あと。赤ちゃんは、運んできてもらうものじゃなくて、自分たちで作るものだって。動物さんたちは、みんな、そうだって。そんなへんな話を作ってるの、人間だけだって。……そう。言われちゃいましたー」
ロッカは、そう言った。
なんか、へこんでいるみたい。
鳥に笑われちゃったからかな?
そういえば、赤ちゃんって、持って来てもらうんじゃなくて、作るって言ってたよね?
どうやって作るんだろ。
「え? 赤ちゃん……、どうやって作るか聞いてるか……、ですか?」
うん。そう。
どうやって作るの?
運んできてもらうのが、だめなら、自分たちで作ればいいんじゃない?
赤ちゃん作ってみよう。
→「はい」
「……だ、だめっ! だめですだめっ!」
なんで?
→「はい」
→「はい」
→「はい」
「だ――だめっ! だめですーっ! だめーっ!」
ばっしーん、と、ほっぺを引っぱたかれた。
そのままぼくは、勢い余って、窓から落っこちてしまった。
ぴゅーっ、と、落ちた。
ロッカのおうちは、木の上にある。高いところにある。
下は灌木と芝生だったから、助かったけど。
「か――!? カインさん!? だ、だいじょうぶですかっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! そんなつもりなんてなかったんです! 叩くつもりなんて――! ごめんなさい! ごめんなさい!」
木の上の窓から身を乗り出して、ロッカが叫んでいる。
あー、びっくりしたー。
ロッカも、ぶったりするんだなー。
でも、なんで、ぼく、ぶたれたんだろ?
「だってだってだって! カインさんが――へ、へんなこと言うからっ!」
へんなことを言ったかららしい。
でもなにが変だったんだろう?
青い空を見上げながら、ぼくは、ぼんやりと考えていた。
空はどこまでも青かった。
この空がどこまで続いているのか、そのうち、確かめてみたいな。
このあと、もう1本、投稿予定でーす




