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薪割りスローライフをはじめますか?[はい/いいえ]  作者: 新木伸


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23/111

ターン11「ユリアさんとカエル」

 ぴょんこ。ぴょんこ。


 カエルとなってもめげないマイケルの後ろを、カエル飛びで、ついてゆく。

 慣れると、ぴょんぴょん跳ねる移動法が、意外と、楽だったりもする。


「げこげこ(どこいくの?)」

「げっげっげっ(ユリアさんだよ)」


 どうもマイケルは、ユリアさんのところに向かっている模様。


 ユリアさんは、教会のお姉さんで、優しい人だ。

 聖なる奇跡をいくつも使える凄い人だ。

 歳は、ぼくらより四つ年上で一六歳。


 ユリアさんなら、ひょっとしたら、カエルになったぼくらを、元に戻してくれるかも?


 キサラの機嫌は、当分、直りそうもないし……。

 このままカエルのまま一生――なんてことはないだろうけど。

 カエルもけっこう面白いんだけど。


 なるべく早く元の姿に戻りたい。

 今日の分の薪、まだ割ってないんだよね。


「げこっ(止まれ)」


 もうすぐ教会というところで――マイケルが、茂みの手前で停止した。

 なんだろ。なんで止まるんだろう。

 ユリアさん、そこにいるから、会いに行けばいいのに。


 あとジャンプ数回で、足元まで行けるのに。


「げこっ(いいか? 作戦を話すぞ)」


 なんなの? 作戦って?

 ただ出て行って、訴えるだけじゃ、だめなの?


「げっげっげ(ばかだなー。おまえ。俺たちいまカエルだぞ? 普通に出て行ったって、きゃー、って、逃げられるのがオチだぞ)」


 カエル語は、短いなかに、大量の意味が込められていた。

 カエル語。すごく便利。


「げっげっげ(ユリアさんの後ろから、こっそり近づくんだ。気付かれないように後ろから行けば、背中にあがることもできるだろ?)」

「げっげ(背中にあがったら、どうするの?)」


「げっげげげげ(おまえ。カエルだと、まじでいっぱい話すなー。とにかく背中にのぼらんことには、なんもできないじゃんか)」


 作戦会議が終了した。

 マイケルと、2匹――。ユリアさんの後ろから、こっそりと近づいてゆく。


 ぴょん、と、跳ねると音がするので、のっしのっしと、匍匐前進した。


 ユリアさんの足首が見える。

 ずーっとずーっと上を見ると、ユリアさんが洗濯物を干しているのがわかる。

 うん。こっちには気付いていないっぽい。


「げこっ(いまだ!)」


 マイケルが合図した。


 ぴょん、と、まずマイケルが飛びついた。

 ぼくも遅れずに、飛びついた。


 足首に掴まる。

 ユリアさんの脚を、よじ登ってゆく。

 カエルの手足には、吸盤がついてて……。便利ーっ♪


「え? えっ? えっ? えええっ?」


 ユリアさんは声を上げている。

 体を振って後ろを見ようとしている。後ろにはなにもいないとわかると、こんどは自分の背中を、ぱたぱたと手で叩く。


 マイケルと2匹で、いまちょうど背中を登っているところだった。


 背中を見ないで振り回す、ユリアさんの手が――。

 うわあ! あぶない! 落ちるところだった。

 あ。マイケルが落ちた。


「げこげこっ!(ここは俺にませて! おまえは行けーっ!)」


 マイケルはそんなことを言いながら、地面を、ぴょんぴょん!


「かっ――! カエルっ! カエルうぅぅ! き、きゃあ! きゃあああーっ!」


 ユリアさんは暴れる。走り回る。

 いつもはすごく落ち着いていて、大人っぽいお姉さんだと思っていたんだけど、こういうときには、女の子みたい。


 マイケルがいつも、女の子に嫌がらせして「きゃーきゃー」言わせているんだけど。いつも止めているし。なんでそんなことが楽しいのかわからなかったけど。


 ……なんか。ちょっと、わかった気がする?


 マイケルが足元で飛び跳ねて、ユリアさんの気を引いて、錯乱させつづけてくれているおかげで、残りの行程を登ってゆくのは楽だった。


 もう首筋までやってきた。

 あとは、肩の上にまで行って、ユリアさんに話しかけるだけなんだけど。


「げこげこげーっ!(行けー! そこだ! もぐりこめーっ!)」


 マイケルが叫んでいる。

 潜りこむ? どこへ?


 目の前にあるのは、ユリアさんの首筋だ。

 潜りこめそうなのところといったら……。服の襟ぐりくらいだけど?

 でも、肩の上いくんだよね?


「げっげっげーっ!(そこだー! はいれー! いけー! おまえのラッキースケベ力を見せてみろーっ!!)」


 マイケルが叫んでいる。


 ユリアさんの服の中に、入ってみますか? [はい/いいえ]

カエルになったおかげで出てきたチャンス(?)です。選択はおまかせします(笑)


今回の選択肢の投票場所は、こちらです。

https://twitter.com/araki_shin/status/683661468391182336

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