ターン55-1「キサラEND」
今回より7話。
個別エンドです。
「花嫁の冠を誰に持っていったか」が、パラレルになっているとお考えください。
最初は「キサラEND」から~。
花嫁の冠を手にした僕は、キサラのところに行ってみた。
「んっ……。カイン……」
キサラはこんな日にも店番をやっていた。
頬杖をついたまま、僕を見る。物憂げな声を、僕にかける。
「なぁに……?暇そうにしてる……って? そりゃぁね……。村じゅう、こんなだもの。こんなときに、薬買いにくる人なんて、いないでしょうね……」
そうして、また、頬杖に戻ってゆく。
「えっ……? じゃあ、なんで?店番してるのか……って?」
僕が聞くと、キサラは目をぱちくり。
「だってほかに、することないんだもん……」
「あたしのとこ、かんむり持ってくる酔狂なやつなんて、いるわけないし……」
そうかなぁ。キサラけっこう男の子から人気あるよ。美人だし。
僕は最近はもうすっかり「美人」がわかっていた。うん。キサラは美人だね。
「ほんとよ? まだだれも持ってきたり、してないんだから……、ぜったい、させてないんだから……」
そういえば、僕もいま、冠、持っていたんだっけ。
「えっ……? 冠……、持ってきてる……って?」
キサラは驚いた顔をしている。
「うそ……、うそでしょ?」
ほんとだよ?
僕は、持っていた冠を、キサラに見せた。
「み……、見せびらかそうって……いうの?」
「それ……、だ、だれに……あげにいくわけ?」
そういえば、まだ、決めてなかった。
「……ユリアさん?」
ちがうかな
→[いいえ]
・・・
「……じゃあ、マリオン?」
→[いいえ]
・・・
「わかった……。じゃあ、ロッカでしょ?」
→[いいえ]
・・・
「じゃ、じゃぁ……、アネット……とか?」
→「いいえ」
・・・
「じゃ、じゃぁ……。まさかとは思うけど……、リリー……?」
なんでリリーだけ「まさか」なの?
それはともかく、これも違うかなー。
→[いいえ]
・・・
「じゃ、じゃぁ……」
キサラは考えこんだ。
もう、選択肢に出してくる、女の子がいない。
「…………」
いや、一人だけいる。それは――。
「もしかして……、もしかして……、あ……、あ……ぁ、……あたし?」
僕は考えた。
「…………」
キサラは不安そうな顔で、僕を見ている。
この不安そうな顔を、僕は、なくすことができるんだ。
僕は、答えた……。
→[はい]
・・・
「あたし……、性悪だよ? いいの? それでも?」
→[はい]
・・・
「うん……。かんむり……、ちょうだい」
キサラは、きゅうにおとなしくなった。
僕の手で冠をかぶせられると、嬉しそうに笑った。
キサラEND