ターン54「村長さんに報告」
「おお。カイン……。待っておったぞ。おぬしが帰ってくるのを……」
僕が行くと、村長さんは、いつものように家の二階にいた。
「まずは、礼を言わせてもらおう……。ありがとう。ありがとう。ありがとう……」
しわくちゃの手が僕の手をつつんでくる。何度も何度もお礼を言われる。
そんなたいしたことはしていないのに。
魔王を懲らしめてきただけなんだけどなー。
「ふっ。だがカイン……。おぬしには、こんな老いぼれの、百ぺんの礼よりも、フローラとマイケルの笑顔のほうが、うれしかったようじゃの。……ふたりの結婚式には、出てきたのじゃろう?」
うん。行ってきたよ。二人とも幸せそうだった。
「さて……、そこでじゃ! おぬしに、渡す物がある……!」
村長さんは、部屋の隅の宝箱に向かった。
このあいだの「伝説の装備」が入っていたのとは、また違う宝箱だ。
「うむ。ちょうど最後の1個じゃな……」
なにかを取り出す。
「これじゃ!」
村長さんは、戻ってくると、じゃじゃーんと、取り出したものを、頭上にかかげた。
これ。さっきフローラが頭につけていた冠だよね。
「さぁ、おぬしもっ! その〝花嫁の冠〟を持って、意中のオナゴのもとへと、レッツのゴーじゃ!」
そっか。これは男の子が女の子に渡すんだ。それで〝ケッコン〟するんだ。
でも……。
「ん……? どうしたのじゃ? カインよ……?」
うーん……。
「なに? 意中のオナゴが、おらんじゃと? バカを言っているのではない。おぬしは何人もの娘っこからモテモテじゃろう。うわさおばさんの情報力を舐めるでないぞ。さぁ……、行った行った! そのかんむりを持って、おぬしの意中のオナゴのもとに、レッツのゴーじゃ……はっはっは!」
僕は送りだされてしまった。
うーん……。
どうしようか?