ターン0「転生」
きこえています?
もしもし? きこえていますか?
もしもーし?
[はい/いいえ]
・
・
・
→[はい]
ああよかった。きこえていますねー。
さて。お役目。大変おつかれさまでしたー。
あなたのおかげで、あの世界は……って、えっ? なんの話かって?
ああ。はい。そうですねー。
あなたは、もう、魂だけになりましたから。なにも覚えていませんねー。
さて。ここでビッグなニュースがあります!
なんと、頑張って頑張って頑張って、頑張っちゃったあなたには――、特別なプレゼントが神様からありまーす!
あなたは次の転生先を選ぶことができます。
また、より強い武器を持って転生することができます。
すっごく強い敵もいますよー。こんどは、すっごいですよー。
まえのときより、もっとハードでエクセレントかつナイトメアで、最初の街から出たところのザコさんが、前の時のラスボスくらいはあって――え?
→[いいえ]
え? そういうのは……、いいんですか? もうカンベン?
→[はい]
じゃあ、チートいりますか? チート?
たとえばレベルが2になりますとー、パラメーターがカンストして「∞」になるとかー。毎日レベルが自動的に1ずつ上がりますとかー。サポジョブ無限に付けられますとかー。セーブ&ロードが自在にできる能力とかー。魔力スポットの上に住んでいて常にスーパーなんとか人状態ですとかー。ああ、あと、ド定番としては鑑定能力ですよね。鑑定っ♪
→[いいえ]
え? だからそういうのは、いいって?
じゃあ、じゃあ、賢者のお孫さんとして生まれてみますかー?
→[いいえ]
え? そういうのも、いいって?
えー? えー? えー?
なんにも希望はないんですかー?
え? しいていうなら……、どこか、ひなびた村で、ゆったり、のんびり、薪でも割って暮らしたい?
そういう、スローライフなのが……、いいんですか?
→[はい]
血湧き肉躍る冒険じゃなくて?
→[はい]
本当に、ほんとうに、それでいいんですか?
→[はい]
はい。それではー。
一級管理神の、わたくしエルマリアがー、承りましたー。
あの……? いちおう最後にもう一度だけ、確認しますよ?
いちおう、これ、職務規程ですのでー。
薪割りスローライフをはじめますか?[はい/いいえ]
・
・
・
→[はい]