人より少し変わってる少年
ジリリリリ
在り来たりな覚まし時計のベルが寝室に鳴り響く。
少年は手を伸ばし目覚まし時計を止めて起きる
そして、まだ眠い目を擦りながらキッチンに行き朝ご飯を食べ顔を洗い着替え学校に向かう。
何処にでも居るごく普通の少年。
彼の名前は佐伯 守 (さえき かみ)16才、私立の高校に通う少年。中肉中背 頭脳中の中 運動神経中の上 顔も平均的な顔立ち、何処にでもいるような只の学生。彼は普通の学生、だから……
「キャー!!!遅刻しちゃうよ!!」
と言いながら前の角から走って来る美少女にぶつかるようなラブコメみたいな事はおこらないし……
目の前で異世界えと繋がる扉が開き異世界に行き、その世界を支配している魔王を倒し救世主にもならない。
はたまた、昼は普通の学生…だが!!夜になるとこの世に蔓延る悪を倒すヒーロー!!でもない……
何処にでも居る普通の少年
学校に着いて、自分の席に座り普通に授業を受け休み時間には友達と話しスクールライフを楽しむ。
そして、学校も終わり部活動をしている生徒は部活にせいを出す。でも、佐伯は帰宅部だから下校する。
極々、普通の日々を過ごす彼。
〔ねぇ、そこのキミ〕
でも
〔ねぇてば!〕
彼は
〔聞こえてるんでしょ!?〕
少しだけ人と変わってる
〔無視しないで聞けよ!!クソ餓鬼!!!〕
それは…………
「クソ餓鬼は言い過ぎだろ!?」
〔ほら♪ヤッパリ聞こえてた♪〕
人形の声が聞こえ話せる。
〔私を持ち主に届けて〕
「はぁ!?どうして?俺が?」
俺は目の前のポリバケツの上にぽつんと座ってる熊のぬいぐるみに文句を言った。端から見たら滑稽…いや、精神を病んでるかラリってるんじゃないかと思われるが俺は精神を病んでないし薬もやってない。
人形の声が聞こえるだけ!!
うぉい!!今
「やっぱり、病んでる」
て思ったろ!?これは、物心つく頃にはすでに持ってた能力。
〔ねぇ?どうかした?〕
(は!いかん!!少しトリップした)
俺はクマのぬいぐるみを持ち上げた
「あのな…?そんな事して俺の何になるんだ…?」俺はクマのぬいぐるみを目の前まで持ち上げて聞いてみた。
〔そんな事より、ここから離れた方がいいわよ〕
「どうして?」
俺はクマのぬいぐるみの言ってる意味が分からずに周りを見渡した………
そこには買い物帰りの奥様方が俺の方を見てヒソヒソと話している。
俺はクマのぬいぐるみを鞄に詰め込み走って逃げた。
俺は家まで走って帰った、ポケットから鍵を出し玄関戸を開けた。
「ただいま〜」俺の声が静かな部屋に響く
俺は居間に行きソファーに座りため息を付いた………
そしてカバンからクマのぬいぐるみを出し前のテーブルの上に置いた…………
〔ちょっと!!あんた!?か弱い女性をカバンに押し込むなんてどんな神経してるのよ!!!〕
「お前……メスなんだな……」
〔このキュートな顔を見て解らなかったの!?〕
(顔でわかるかよ……)
〔何か言った?〕
「何も……所でお前の名前は?」
〔レディから名乗らせる気!?〕
俺は少し頭にきたが我慢した。偉いぞ!!俺!!
「俺の名前は佐伯 守、守と呼んでくれ」
〔わかったは守〕
「で?名前は?」
〔………………〕
クマのぬいぐるみは黙ってる。
「お前が名乗らせたんだろ?お前も言えよ」
〔……………〕
それでも、クマのぬいぐるみは黙ってる……
「おい!!」
〔…ナ……ン〕
「?」
少し小さな声が聞こえたが聞きとれなかった
「すまないけど…もっかい言ってくれる?」
「……サン」
また聞こえなかった……
「お前まさか名前がな…〔名前はあるわよ!!〕
「じゃなんだよ?」
〔ジョナサンよ!!ジョナサン!!!!〕
「ジョナ……サン……?」
「プッ…………アハハハハハ!!!!ジョナサン!?腹が痛てぇ〜」
俺は腹を抱え大笑いした!
〔何よ!?そこまで!!笑うこと無いじゃない!!〕
「だって……ジョナサンだぜ!?」
〔良いでしょ!?あみちゃんが!!〕
「あみちゃん…?」
〔私の持ち主の名前よ…〕
「持ち主ねぇ〜」
〔ねぇ、守…?〕
「なんだよ?」
〔あなたは、こんな広い家に独りで住んでるの?〕
確かに、ジャナサンが言うとおり、俺の今住んでるマンションは4LDKだ。普通の学生が住めるような広さじゃない
「いや、もう一人と住んでいる…その人がここの家賃を払ってくれてる」
〔そう…なら良いわ〕
「で?お前は何で彼処に居た?その、あみちゃんは何処に行ったんだ?」
〔今日…あみちゃん達は引っ越しだったの…それで、私は荷台から落ちて……〕
「ふ〜ん……落ちたね………でも?何で、お前は荷台なんかに置かれたんだ?荷台に置かれたんなら、お前はそこまで大事にされてないんだぞ?」
〔違う!そんな事はない!!あみちゃんは私を大事にしてくれてた!!!でも……お母さんが
「忙しいから人形は荷台に置くわよ!」
ってあみちゃんから、私を取ったの……〕
「まぁ、お前があそこにいた理由は、わかったが…俺があみちゃんを探す意味もない。それに…この際、あみちゃんを忘れて違う、持ち主にしてみたらどうだ?」
〔嫌よ!!あみちゃんじゃなきゃ…あみちゃんじゃないと……〕
「何で、そこまであみちゃんに拘るんだ…?」
〔私ね…オモチャ屋さんにいた頃、ワゴンセールに出されてたの……
「今時、こんなクマのぬいぐるみは売れないって」
まさに、その通りよ…最近の女の子達はみんな着せ替え人形とかを買って行く……私はただそれを、ワゴンの中で見てたの……寂しがった、まるで深い闇の中に独りぼっちみたいだった。でも、あみちゃんが来てくれたの。あみちゃんは
「この…クマさんカワイイ!私これ買う!」
今でも、あの顔は忘れないは……私はあみちゃんの笑顔が好きなの!!私は絶望した…もう、二度とあの笑顔を見れないなんて…でも、人形にも心があるなら!もしかしたら、人形の声が聞こえる人間が居るかもしれないって!だから、私は藁をも掴む思いで、通る人に声をかけたの。そして、守あなたに会えた…守!!お願い!私をあみちゃんに届けて!!自分勝手ってわかってる……でも、あなたが!最初で最後のチャンスなの!!あみちゃんは私にとって、大事な大事な家族なの!!!〕
「家族か……」
『あいつ、人形の声が聞こえるんだって!頭、おかしいんじゃねぇの!?』
『確かに、あいつ…いつも、人形と話してるもんな!妖怪じゃねぇの!?』
『や〜い!妖怪!!妖怪!!』
『本当だよ!みんな信じてよ!!』
『妖怪が!!話しかけてきた!逃げろ〜』
『酷いや…本当なのに……』
『ねぇ君…?』
『ん?おねぇさんはだれ…?』
『私?私はねぇ今日、から君の家族になる人だよ』
『家族…?』
『そう、家族…さぁおねぇさんと一緒にいこ』
『うん…!』
〔ごめんなさい…守、私…幾ら何でも自分勝手だったわ…忘れて〕
「…………あみちゃんは何処に引っ越す予定なんだ?」
〔えっ……?〕
「何処に引っ越すか聞いてるんだよ。知らないのか?」
〔届けてくれるの!?〕
「うん」
〔ありがとう!!守〕
ジョナサンは嬉しそうに大きな声出す。
「引っ越し先は何処だ?」
〔え〜と……鷲頓?湾頓?だったかな…?飛行機に乗って行くらしい。〕
「鷲頓?湾頓?何処だよ…?」
俺は知らない土地名を言われ困惑した…しかし…一つ嫌な場所を思い出した……
「お、お前それ…ワシントンじゃ…?」
〔そう!!それよ!〕
「アメリカかよ!!ジョナサン!?あみちゃん達は何時の飛行機に乗るって!?」
〔え〜と…18時の飛行機に乗るとかなんとか〕
「18時!?」
俺は後ろの壁に掛けている掛け時計を見ると、17時25分を差してあった…
「この家から空港まで30分掛かるから…いそがねぇと!!」
俺は慌てて、ジョナサンを鞄に入れた。ジョナサンが〔うっ〕と苦しい声を出したから、顔を鞄から出してやった。俺は慌てて、家から飛び出して自転車に跨り全速力でこいだ。
〔守、スピードを出しすぎよ!!〕
「うるせぇ!!あみちゃんに会いたいんなら黙ってろ!!」
途中、曲がり角などは曲がる方向に体重を掛け、ドリフトしてスピードをなるべく落とさないようにした。そして、駅が見えてきて俺は自転車から飛び降りた。自転車は無残にもガードレールにぶつかり倒れた。
俺は階段を駆け上り、切符を買い改札口を抜けた。そして、階段を降りた。
しかし、
「四番線の電車の扉が閉まります」
俺の乗ろうとしていた、電車の扉がゆっくり閉まる…俺は思いっきり走り幅跳びをした。俺の体がギリギリ入るぐらいの隙間に、体をねじ込み無理矢理、電車に飛び乗った。もう、俺の息は上がりきっていた。
〔守!幾ら何でもムチャクチャよ!〕
「言ったろ……届けてやるって」
俺は笑いながらジョナサンに言ってやった。
そして、電車は空港に着いた。俺は急いで電車から降りた。改札口も出て空港に向かった。
空港の中には旅行に行く人や旅行からから帰ってきた人などがいた。
「こんなんじゃ…見つけようが…………そうだ!!」
俺は飛行機の受付の人にアメリカ行きの飛行機が何処にあるか聞いた。
「すいません、18時出発の飛行機は今さっき、出たところです」
「そんな…………」
俺は落胆した………
「ジョナサン…ごめん」
俺はジョナサンの頭を触りながら謝った。
〔気にしないで!守のせいじゃないから〕
口ではこう言ってるものの…とっても、辛いはずだ……
「なぁ…ジョナサン、俺の家に」
〔守、静かにして!!〕
急に、ジョナサンが俺に言った。
〔ねぇ?守、聞こえない〕
「何が?」
〔女の子の泣き声〕
「え?」
俺は耳を澄ました…確かに、小さいが声が聞こえる……俺は声のする方向に歩いた。すると、そこには女の子が泣いていた。
〔あみちゃん!!〕
「え!?」
「いやだぁ――!!ジョナサンも一緒じゃなきゃ――!!!」
「あみ、泣かないで!また、新しいお人形さん買ってあげるから」
あみちゃんのお母さんらしき人が困った顔であみちゃんをあやしているが、泣き止まない。
「ジョナサンじゃないとだめなの―!!」
俺はジョナサンを鞄から取り出し、ゆっくりあみちゃんに近付いた。
すると、あみちゃんはこちらに気づき、泣いていた顔が喜ぶ顔になっていく。
「ジョナサン!!!」
俺はあみちゃんにジョナサンを渡した。あみちゃんはジョナサンを思いっきり抱きしめて笑っている。
「お兄ちゃん!ありがとう!!」
あみちゃんは満面の笑みで言ってくれた。
「ありがとうございます。この子ったらこの人形が無かったら行かないって言うもんで困ってたんです。」
あみちゃんのお母さんがペコペコとお辞儀をする。「あみちゃん、ジョナサンを二度と忘れたら駄目だよ」
俺はあみちゃんの頭をなでながら言った。
「うん!!!」
あみちゃんは元気よく返事をした。
「ねぇ?お兄ちゃん?」
「なんだい?」
「どうして?お兄ちゃんはジョナサンを連れてこれたの…?」
「それはね、俺には人形の声が聞こえるからだよ」
俺はゆっくり立ち上がりその場から離れた。そして、電話をかけた。
「もしもし、姉さん?俺、守だけど向かいに着てほしいんだ…えっ?何処に居るか?え〜と、空港だよ。なんでって…?家族の再会を見るために」
彼の名前は佐伯 守 (さえき かみ)16才、私立の高校に通う少年。中肉中背 頭脳中の中 運動神経中の上 顔も平均的な顔立ち、何処にでもいるような只の学生。
でも
〔ちょっと!!そこのアンタ!!〕
彼は人より少し変わってる
〔ちょっと待ってや!!〕
それは…
〔聞こえてるんやろ!?〕
ん?人形の声が聞こえ話せるから?
〔ほんま!お願いやって無視せんといてや!〕
それも、あるけど
〔もう、アカンわ…このまま、飢え死にしてしまいそう………〕
「うるさい!!」
俺は声のする方に向いて文句を言った…そこには、薄汚れたトイプードルが居た。
〔やっと、気付いてくれた♪〕
犬の声も聞こえ話せる
御意見、感想などどしどし待ってます