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願ったのは猫もふもふしたい、ただそれだけだったのに  作者: コカマキリ


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2/2

もふもふしすぎるのも、如何なものかと

猫をもふりたい。なのに…。ここの猫ちゃんたち、それぞれ屋敷の住人に懐柔されてしまっているんですよね。


こういう時は胃袋をつかんで、せっせと猫さまのご機嫌を取らないと。


というわけでこの建物内倉庫のストックにある猫ちゅ~るを越えるおやつを作ろうと思います。


「せ、世界の終わり、だ。」

「こんな世界、もうどうでも良い…。」


隣で鬱なってるネキたちを尻目に、僕は下克上を誓います。この屋敷の猫たちの愛情をたくさん得るために。


しかし、辛そうな人をほっておくと残念ながら猫もふる時にもやってしまうのです。


仕方ないから、卵と生クリーム、あとこの良く分からない多分クリームチーズでプリンを作って、ネキたちに些細なエールを送ろうと思います。


【クイックバースト(その早さは折り紙付きのスピードパフ)】


全ては僕がただ猫もふもふを満足するその日のために。


「お、美味しい…。」

「お前、料理できたんだな~うまい」


どうやら少しは良い表情になったではないですか。


「少し、太陽の光に当たると良いですよ。」


パサリっ 空気の入れ替えと日光浴を無理やりさせます。


「ま、眩しいだと(ハッ!?)」

「も、もうやめろ!死んでしまうぞ!」


はあ…。1度は世界を救った方たちというのに、いったいどんなスローライフを送っていればこんな状況になるってんですか。


かつての最強たちもこうなったらただのぐうたらネキたちですね。こうして彼らのダメっぷりを見せつけられると、彼らもまた生身の人間なんだなって思ってしまいます。


「な、なあ。戸棚からお煎餅とって来てくれないか。あの美味しいやつ。」

「私も食べたい。」


前言撤回です。やっぱこのネキたちさあ…もう脳内が甘い醤油がしみ染みの美味しいやつのことしか考えてません。


「仕方ないですね。今度からは自分で歩いて取りに行くのですよ。」


「ありがとう、お前良いやつだな~。」

「ありがとうございます!」

「パリパリで美味しいっ」


また一人増えました。もう彼女たちに話すことはありません。沖に出て魚を捕まえ、いりこを作って猫ちゃんたちの心をわし掴みにするのです。


「あの~。男物の水着とかってないですか?」


「さあー。」

「私のTシャツ貸してあげましょうか?」

「こいつはうめえや。お前も食ってけ。」


「ありがとうございます(モゴモゴ)」


水着なさそうなので仕方ない、このまま普段着でビーチに向かうことにします。



******



沖の水はほどよく冷たかった。水をかけ分け勢い良く付き進んでいくとカツオノエボシが手に絡みついてくる。こいつは毒持ちでもし刺されたら激痛に襲われていたのだが。


両腕がスクリュー並みに回転していたので、海水ごと海の藻屑へ消してしまったので大事には至らなかった。つくづく泳ぎ練習していて良かったあって思う。


塩の流れが変わり沖に近づいて来たその時。


海の上にどこぞの英傑が海ガメのようにプカプカ浮いていた。


「大丈夫ですか?溺れてないですか?」

「なんだ、新入りか。好きでやってるんだ。もうおれのことなんか放っておいてくれい。(彼の目もまた死んでいた)」


「外の怪物たちと遊んだんですね?」

「ああ。手も足もでなかったよ。一匹倒してもその後袋叩きさ。ところでお前さんはどちらへ?」


「ああ。実は重要なミッションがありましてね。イワシの群れを探しているんですよ。」


「・・・。え?ごめんおれの聞き間違いかもしれない。ごめんなんて言ったんだ?」

「イワシの群れです。群れ。オイルサーディンで夕飯の一品にしたり、うどんの出汁にしたり、猫ちゃん…たちのおやつにしたり。」


「本命は猫ちゃんだろう。」

「…。黙秘します。」


「そうか、頑張れよ。おれは後2、3日ここで浮いているから。そのうちご飯食いに家に戻るよ。(ブクブク)」

「今度あったときまた自己紹介させて下さいね!奇特な英雄殿!」


いつまでもおっさん勇者(?)の相手してられないので、イワシを探して海をさまよった。


イワシはここ異世界でも大きな群れを作る。そな魚影の大きさはときにはクジラ類でも最大種のシロナガスクジラにも匹敵する巨大な群れわなすこともある。


海を惑星を割るように突っ切って行くと当然どこかで見つかる。オリジナル魔法で空間ごと切り取り、マッハで猫の島へと戻った。当然島の()()()()()から上陸する。


割れた珊瑚や岩石が足の裏に与えるダメージは許容範囲なので、ものともせずビーチを駆け抜けた。全てはカリカリのいりこの為である。


「おい、田中!」


「すみません、先を急いでいるので!」


おい殺ネキが話かけてきたが、華麗にスルーをする。


「おいってば!家の中にあんなに大量の海水持ち込むなっていってんのに。」


しかしその声が僕に届くことはなかった。なにせ小走りでソニックブームを起こしていたので。


朝出発前に作成していた、蔦で編んだ網をキッチンから回収し砂浜で火をくべる。さあ猫ちゃんたち。美味しいおやつの時間ですよ。この魅力に打ちのめされ、僕に大人しくもふもふされるが良い。


それはどんだけもふもふなんだ。(ジュルリ)


おっといけない。自分の欲望はある程度コントロールしなければならない。だって僕たちは理性ある大人なのだから。


魔法でお料理時間(薫製時間ともいう)を短くする。タイパってやつが現代日本では大事らしいからね。時間くらい操ってみせないと。今どき猫にも笑われてしまうだろう。


結界の外で化け物たちが荒ぶれ殺しあいをはじめているのが気配で分かる。そしてその化け物たちに僕たちのメンバーの立った一人でさえ、歯牙にもかけて貰えないことを知っている。


外には化け物。中には猫ちゃんたち。


どちらの時間を大事に取らなければいけないのか、考えるまでもないのだから。





読んでくれてありがとうございます。

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