表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/35

0031 イベントと1人目の管理人

「よーし!早速、召喚していくぞー!」


2日目の23:00。

管理部屋にずっと一人で閉じこもっていた紬は、肩をブンブンと回しながら部屋から出てきた。


「誰を召喚するか決めたの?」

「うん、いい感じの子を見つけることができたからね」

「たのしみー」


よし、と気合を入れるようにして服の袖を捲る。

そしてウィンドウを開き、お目当ての子を選択した。


「いざ……召喚!」

「わぁー」


紬の声に応じて、召喚陣が現れる。

召喚陣は紫色の光を放ち、段々と大きくなっていく。


紬が眩しさにやられて閉じていた目を開けると、そこには召喚陣から出てきたのであろう、モンスター、いや人の姿があった。


「あなたが私のマスター……?」

「うん、そうだよ。これからよろしく頼むよ!」

「こちらこそ、よろしくお願いしますっ!あ、あの、私はエルフ族のカオルっていいます!よろしくお願いしますっ!」

「マスターは、召喚するのエルフ族の子にしたんだね」


そう、紬が新しく召喚することにしたモンスターの片方は、エルフ族の《《この子》》だ。

エルフ族と言うのは、ファンタジーお馴染みの種族の一つで、耳が尖った森に住む森の精霊のような種族である。

このゲームのシリーズにおいては、風、水、の2属性の魔法を得意とし、プレイヤーにさまざまな恩恵を授ける。プレイヤーにとっての便利屋さんのポジションにつくはずの種族なのである。


「エルフ族って、プレイヤー側のイメージがあったし、魔法のイメージがあったんだけど、この子は違ったからさ。ちょっといい感じのアクセントになる気がして、この子にしてみたんだ」

「えへへ……そう言ってもらえると、私嬉しいです……」

「ごめんだけど、僕もよくわかってない部分あるし……できること教えてもらってもいいかな?」

「もちろんです!それでは、説明させていただきますっ!」


紬に一礼すると、カオルは少し焦りながら何かを準備し始めた。

カオルはどこからともなく現れたバッグに手を入れる。ごそごそとバッグの中で手を動かし、しかし何かが見つからないのか、眉間をしかめ始めた。

しばらくすると、ようやく見つけたのか、バッグから元気よく手を取り出した。


パチンッ!


カオルが指を鳴らすと、カオルの今まで着ていた緑色のドレスのような、ドレス風ワンピースから一転。

オフィスカジュアルな格好に早変わりした。

そして、さっきバッグから一生懸命探っていたものであろう、丸い縁のメガネをかけ、ポケットからメモ帳を取り出した。


「それでは、始めさせていただきます!」

「はーい」

「ぱちぱちぱちー」

「まず、私ができることを大きく分けて話しますね。私が大きく分けてできることは2つ。近接戦闘による戦闘参加、そしてマスターが私を選んだ大きな要因であるはずのダンジョンの《《管理》》です」

「えっ、ダンジョンの管理ってことはマスターと同じようにできるってこと?いやぁ……すごいな……」


カオルの説明を聞いていたシルトは、思わず感嘆の言葉をこぼした。

モンスターたちにとって、自分のマスターと同じことができると言うのは高貴で素晴らしいことだった。


「はい、質問です!管理ってどこまでできるんですか?」

「管理はマスターができることは一通りできると思ってもらって大丈夫です。もちろん、マスターの指示されたことしかしませんので、ご安心くださいね?」


カオルは大丈夫ですからねっ、と心配そうに念押しをする。

紬はわかったよ、と言い、カオルに説明の続きを促した。


「えーっと……それじゃ……次に私の戦闘能力について、なんですが……。マスターに関してはステータスを見てもらった方が早いのではないかと思います」

「あっ、確かにそうだよね。ステータス」


カオル

Lv.1

HP 180 / 180

MP 245 / 245


STR 128

VIT  97

AGI  163

DEX 9

INT  84


スキル

「魔法剣」

「空間感知」

「風魔法:超級」

-「風の囁き」

-「風の誓い」

-「風の願い」




「うわぉ……すごいね……なんか精霊的な名前の魔法多いし……」

「そうなんですよぉー……私だけなんでか、普通の風魔法は覚えられなくて……この精霊魔法でもない、よくわからない風魔法しか使えないんですよ……対して強いものじゃないですし……」

「でもすっごい強いよ!多分シルトと互角かそれ以上じゃないかな?」

「うん、僕を超えていると思うよ」


それでもやっぱ嫌なんですー、とカオルは嫌そうな顔をした。


「そうだ、説明続けますね。戦闘面はステータスでなんとなくわかると思うので、おいといて…………管理の方の説明に入りますねっ!」

「ぱちぱちぱちー」

「管理なんですが、私はマスターから命じられた箇所の管理を部分的にやる形になります。全部やってしまうと、マスターの意向と違うことをしてしまう可能性がありますので、そうしてます。部分的というのは、例えばこの部屋、階層の管理とか……こういうコンセプトでこう言うギミックのある部屋を作って、というマスターの要望を形にする、などになると思います」


カオルは一通りの説明を終え、ふぅ、と息を吐いた。

彼女は元気に振る舞っていたものの、突然ここにくることが決まったこともあり、かなり緊張していたのだった。


「なるほどね……いろいろとわかったよ!カオル、ありがとね」

「いえいえ、今後ともよろしくお願いします」


紬はカオルと握手を交わした。

カオルは、荷物を片付けてきますっ、と言って管理部屋へと走って行った。


「手、震えてたな……」


紬はカオルが緊張してることをさっきの握手から感じ取っていた。

そして一つのことを、信じたくないことを、少しずつ感じ取り始めていた。


「いや、まさかな……」

「ねぇ、マスター。カオルって何DPだったのー」

「えっーとね、確か10万DPだね」

「えっ!?」


管理部屋から着替えて戻ってきたカオルは、自分の召喚額を聞いて目を見開いて固まった。まさか、自分がそんなに高額なDPを使って召喚されたものと思っていなかったのだ。


「ねぇねぇ、マスター?カオルってダンジョンのそとにいけるんだよねー?ならね、つれっていったらいいとおもうー」

「うーん、でもねバル、カオルを連れて行ってごらん?美人が歩いていたらみんなの目が集まるだろう?さらにエルフときたら…………もうね、みんなの注目の的になっちゃうから」

「たしかにー」


バルはなっとくー、と言って満足そうに遠くにいるシルトの方へと跳ねていった。紬もバルを見送ったのち、管理部屋へと戻っていく。


「マスターに……美人って言われたんだけど…………私、もしかして頑張ればいけたりする?」


一方、カオルは紬のせいで頭がこんがらがっていた。


「どうなんだろ……?」


彼女は、考えすぎる癖のある子である。要するに、


「いつまで経ってもわかんなーい!!」

皆様、いつもお世話になってます。

ユルヤカと申します。


なんと、私が肺炎になってしまって……。ちょっと更新が遅れるかと思います。ほんとに申し訳ないです。


ペースが戻ったら、「あ、肺炎良くなったんだな」と思ってください。

それでは、突然お騒がせしましたー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ