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0024 イベントと水晶の秘密

「まさか……ここまでになるとは思わなかったよね……」


紬はウィンドウの侵入者数を見て、絶句していた。

水晶ゴーレムを新しく召喚してから、2時間。

寝て帰ってきてみれば、水晶ゴーレムの存在が例のトラウマプレイヤー、ポフポフプリンによって広がっている。そして、多くのプレイヤーがダンジョンに押し寄せている。そこまでは良かった。


「なんで……!そんな裏技が見つかるのさぁぁぁぁ!」


とある自称裏技発見家のプレイヤーによって、水晶ゴーレムが通常3時間復活のところを、水晶を2つ与えることで復活するという裏技、というより裏設定を発見したのだ。


普通なら水晶を2つも消費するのが勿体無いため、やらない人が多そうだが、水晶ゴーレムは倒すと水晶を5つドロップする。

倒して、すぐ復活させて、倒して…………。このサイクルだけで水晶を確実に3個ずつ増やしていくことができる。そんなイベントの抜け穴が発見されてしまっていた。


「どうしよ……このままじゃDPもそんなに貯まらないし、ただ水晶取られていって、カモになるだけだよね……」


水晶を取られることは紬にとって悪いことなどない。

しかし、自分のダンジョンが作業の狩場として扱われようとしていることが許せなかった。


「水晶ゴーレムを進化させれないかな?できたらどうにかなる気がするけど……」


紬は何かないかと水晶ゴーレムのステータスを開く。

水晶ゴーレムのステータスに特に何かといったヒントはない。

諦められなかった紬は、最近公式が追加した新機能、モンスター図鑑を開いた。開いてすぐに、水晶ゴーレムのページまで飛ぶ。進化条件を確認してみると、水晶ゴーレムの進化条件は???になっている。


「???って……わからないのかぁ……」


進化条件がわからない以上、どうすることもできない。

ただ、水晶の稼ぎ場所として、水晶ゴーレムが扱われていくのを身守ることしかできなかった。


「何か……何かヒント……ゴーレム……水晶……あっ!」


紬は突然立ち上がり、アイテムボックスを開く。

そして、とあるアイテムを取り出した。


「魔晶……水晶ともしかして何か関係があったり……!」


ダンジョンの最初の大部屋の天井にあった魔晶を、紬は何かあった時のために、少し取っていた。ここに来て、それがヒントになるかもしれなかった。


「魔晶と水晶……。見た目は似てるし、名前もほぼ一緒……なんかあってくれ!」


紬はそう願いながら、ウィンドウの進化条件の欄を開く。


「きた!」


水晶ゴーレムの進化条件は、???から「魔晶を3つ使用する」という文に変わっていた。


紬はすぐに魔晶を水晶ゴーレムに与えるために、仮面を外してプレイヤーに混ざりながら、水晶ゴーレムの部屋へと向かう。

水晶ゴーレムに部屋へと辿り着くと、知らないうちに裏技を見つけたプレイヤーが水晶ゴーレムを使ってビジネスを行っている。そして、それに並ぶ長い列があった。


「はぁ?人のダンジョンでビジネスとか……礼儀知らずにも程があるでしょ!」


人のダンジョンということを知らないのだから、仕方ない。そう思えないぐらい、紬はこの現状に苛立っていた。


紬は長い列に並ばずに列を飛ばして、水晶ゴーレムのいる部屋の入り口へと向かっていく。そして、とうとう長い列を辿って入り口に辿り着いた。


「ちょっとちょっと。お客さんったら、困りますよー。こちらもビジネスでやってるんでね、いくら水晶が欲しいからって、抜かされたら金にならないんですわ。わかります?もうちょい、そこんとこ考えれませんでしたかね?」

「は?」


列を抜かして、部屋に入ろうとした紬に、裏技ビジネスプレイヤーは文句を言ってきた。

ここで完全に紬のイライラゲージは100を超えた。

しかし、ここでこのプレイヤーをやってしまうと、PKをしていると話題になってしまう。最悪な場合、紬がダンジョンマスターだとバレるかもしれない。

紬は自分の今にも溢れそうな気持ちをしっかりとおさえて、言った。


「ダンジョンでお金稼ぐとか最低ですね」

「は……?」


何を言われたのかわからないと言う様な顔をしているそいつを無視して、紬は水晶ゴーレムの元へと向かった。


「ごめんね……これからはもっと勝ちを見せてあげるから」


紬は水晶ゴーレムに魔晶を3つ渡す。

魔晶を受け取った水晶ゴーレムは眩い光を放った。


「おい!お前、何抜かしてるんだよ!ふざけてんのか!」


次の番だったプレイヤーが、抜かした紬に暴言を吐きながら向かってくる。


「ちょっと待て。あんた、今紫色の水晶渡したよな……あれはなんだ……?おい、答えろ!」


ビジネスをしたプレイヤーも紬が何をしたのかわからず、言葉を荒くしながら紬に近づいてくる。


「さあ、制裁のお時間だよ」


紬の言葉と共に、水晶ゴーレムは進化を終え、魔晶ゴーレムへとなった。

紬が直接プレイヤーを倒してしまいたいところだが、そんなことをすればすぐにプレイヤーが運営していることがバレてしまう。それだけは避けたかった。

そのため、利敵プレイヤーを演じることにした。


「じゃあ、君たちは頑張りなよ。まあ、生き残れるかはわからないけど」

「ふざけるなぁぁぁぁぁガキがぁぁぁぁぁ!!」


紬は魔晶ゴーレムにやられた。

正確にはやられるふりをして、テレポートで管理部屋に戻ってきた。

紬はダンジョン内なら戦闘中を除いて、いつでもどこでも管理部屋にテレポートすることができる。それを巧みに利用して綺麗にそこにいるプレイヤーを騙すことに成功していた。


「トラウマを植え付けてやるんだ……!」


紬は狐の仮面をかぶって、装備を変える。

準備が終わると、管理部屋をでて、まっすぐ魔晶ゴーレムの元へと走っていった。

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