表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/33

0001 ダンジョンとエンチャンター

紬がゲームの世界へと足を踏み入れて、初めて目に飛び込んできたのは、薄暗い蝙蝠でも出そうな洞窟だった。近くには大きな水たまり、湖があり、みたことのない紫色の魚が泳いでいる。後ろは行き止まりで、前の通路を進むしか道はなかった。


「とりあえず、ステータスを確認するか。ステータス!」


声に合わせてステータスを表示したウィンドウが浮かび上がる。


ツムグ

Lv.1

HP 30 / 30

MP 60 / 60


STR 0(+3)

VIT  0(+5)

AGI  20

DEX 40

INT  30


装備

 頭『なし』

 体『麻のローブ』

 右手『木の杖』

 左手『なし』

 足『なし』

 靴『なし』

 アクセサリ『なし』

      『なし』

      『なし』


ジョブ

『エンチャンター』


スキル

「土魔法:初級」

「忍足」

「魔力回復:微」

『付与魔法:初級』



「やっぱ適当にやらない方が良かったな…これ……」


ステータスはSTR、攻撃力とVIT、防御力が基礎ステータスが0で装備の上昇でなんとか0でなくなっている。紬は、エンチャンターだから攻撃しないしいいや、と振らなかったのだが、このゲームは振らないと初期ステータスが0になることを忘れていたのだ。


追い打ちをかけるように、とったスキル3つは、どれも敵を倒せるようなスキルではなく、紬は敵を倒せない木偶の坊と化してしまったのだ。


「キャラメイクやり直すか……ログアウト」


流石にこのままではいけないと考えた紬は、キャラメイクをやり直すことにした。

一度ログアウトして再びゲームにログインする。


ゲームのスタート画面の設定から、データの初期化をしようとする。

しかし、設定には初期化やデータの削除といった項目はなかった。


「まさか……キャラメイクやり直せない…?」


紬は、急いでネットの掲示板で初期化のやり方について調べた。

しかし掲示板には、「このゲームは初期化やデータの削除といったやり直しが効かない」という絶望の言葉が書いてあるだけだった。


「どうしよう……詰んだかも……」


しばらくどうしたものかと唸っていたが、せっかくだしもう少しやってみるかと再びログインし、洞窟の中へと戻ってくる。


「とりあえず進むしかないよね!」


開き直った紬は、元気よく洞窟の道を辿って進んでいった。

何かあることを祈って。


◻︎ ◻︎ ◻︎


洞窟の奥へと進んでいくと、だんだん道が狭くなっていき、とうとう人とすれ違えないほどの狭さになった。この状況で戦ったら、確実に負けることを感じ取り、急いで紬は道を進んだ。


「うわ……すごいな……」


細い道を抜けた先になったのは、天井が綺麗な魔晶で埋まった大きな部屋だった。

魔晶というのは、魔力を帯びている鉱石で、このゲームシリーズではお馴染みの鉱石である。


大きい部屋にしては、魔晶がある他に何もなく、紬は大きい部屋からつながっているもう一つの道に進むことにした。


道を少し進むと、大きな扉が見えてくる。

扉に触れると、扉の手前にウィンドウが浮かび上がり、そこには「開けるにはSTR10が必要」と書かれていた。


「開けられないのか……どうしようかな…」


ここ以外進めるところはない。とはいえ、紬はSTRが3しかない。このドアを開けることもできない。完全に手詰まり状態だった。


「どうにかならないかな……」


紬は何かないかとステータスを開いてみる。

ステータスはさっきと同じ画面が表示されて、何かヒントになるものはない。

紬は他のゲームの癖でステータス画面を閉めるために、ウィンドウを右にスライドする。すると、ウィンドウは画面が変わり、使用できる魔法を映し出した。


「そうだ!僕エンチャンターじゃん!きっとSTRあげる魔法が……」


ウィンドウに映し出されている魔法は2つ。

1つは土を手から出せる「土生成」という魔法。

そしてもう一つの魔法は、「攻撃力強化パワストⅠ」というSTRを一時的に高める魔法だった。


「あった!これでSTRが10を越えれれば……。攻撃力強化!」


早速紬は「攻撃力強化Ⅰ」を使用する。

すると、紬の体を包むように赤い光が体から放たれる。

紬は今までの経験から、これがバフの表示だということに気づき、ステータスを確認した。


「やった!STRが10上がってる!」


紬のSTRは+10され、13と表示されている。

攻撃力強化Ⅰの効果は、STRを+10するというもので、それによってなんとか紬のSTRは10を越え、扉を開ける条件を満たしていた。


「よし、開けるぞ……!」


紬は取手に手をかけて、勢いよく扉を開けた。

扉を開けた先にあったのは、大きな宝玉を祀っている台座だった。

次回の投稿は9月20日05:10です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ