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0011 ダンジョンと最強プレイヤー2

「それはこちらのセリフだっ!」


さっきまでそこにいたはずの剣士は次の瞬間、紬の目の前へと移動してくる。


「まずっ……」


剣士はゴーレムではなく、司令塔である紬から倒すことにした。

剣士の剣は紬の首に向かっていく。


「っ……!」


剣士に向けて横から火球が飛んでくる。

その火球はいつでも発動できるように準備していたレッドスライムのものだった。


剣士は自分がやられたら負けるとわかっている以上、防御に回るしかない。

紬に向けていた剣を火球に向かって構え、火球を切り刻んだ。


「もう一発あげるよっ!」


紬も密かに準備していた火球を剣士の背中目掛けて放つ。

防御体制をとっていた剣士に、紬の放った火球がよけられるはずもなかった。


「さすがに倒したでしょ!」

「まだまだだ!」

「私も援護する!治癒ヒール


倒したと思った剣士は大きなダメージを負ってはいたものの、生き残っていた。

そこに魔法使いが剣士を回復したことで、与えたダメージのほとんどは回復されてしまった。


「どうしたものかな……」


紬は攻撃手段が尽きていた。

奇襲も警戒されているし、魔法もきっとよけられるだろう。

あとは手堅く攻撃していくしかなかった。


紬は必死に頭を回転させる。

その時間を作るようにゴーレムとグレイトウルフは連携して剣士を攻撃し続ける。お互いダメージを与え合い、どちらも有効だとなる攻撃はできずに戦闘は続いていた。


「これなら……!」


紬は作戦を思いつき、グレイトウルフとレッドスライムにやってほしいことを伝えた。その間にもゴーレムは剣士を引き付けて、攻撃を加え続けている。

グレイトウルフは作戦を聞き終わるなり、相手の目に止まらない速さで走りだした。


「何をしても無駄だ。私たちを倒せない」

「残念だけど、もう君が負けることは確定したよ」

「何をいっている?まだ何も状況は変わっていない。私たちの方が有利な状況だ」

「リヒト!」


剣士は名前を呼ばれて後ろを振り向く。

振り向いた先で見えたのは、グレイトウルフにやられていく魔法使いの姿だった。


ゴーレムの体が壁になっていたことでグレイトウルフが走り出したことに、剣士は気づけていなかった。


「これで形成逆転。こっちの方が有利だ」

「ちっ、仕方がない。奥の手を使うとしよう」


「聖剣 剣舞」


剣士が技の名前を唱えると同時に、剣士の持っている剣が20本の剣を作り出し、剣は一斉に紬たちの方へ剣先を向けた。


「聖撃」


剣士の声と共に剣20本が紬たちに向かって飛んでくる。

まともに食らえば確実に倒される。そのことをわかっていた紬は先に作戦の最後を実行することにした。


「レッドスライム、いくよ!火球」


レッドスライムと紬が同時に放った火球は、1つとなり、威力も大きさも増した火球となった。

放った火球は飛んでくる剣へと向かっていく。


2つの攻撃のどちらが強いか。それによってこの戦いは決まろうとしていた。


「2人で放つ火球……名付けて双子火球!」


火球は剣と衝突すると、剣を炎の熱で燃やして進んでいく。

ほとんどの剣を燃やすと、火球は二つに分かれ、剣士に向かってカーブを描きながら飛んでいく。


剣士はよけれるわけもなく、2つに分かれた火球を正面から受けた。


「まさか、剣舞が負けるとはな……私の負けだ。認めよう」


剣士はそう言い残し、光となって消えていった。


「やった……やったー!!」


紬たちは最強のプレイヤーである剣士、リヒトのいるパーティを倒した。

それはこのダンジョンにおける大きな転機となる。

しかし、そんなことは紬たちが知る由もない。ただ今は、勝った喜びをみんなで分かち合うだけだった。

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