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奇妙な来客たちとのあとは応接室で


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「見てましたよ。あんな派手な喧嘩して……」


「仕事だよ仕事。ガールにおさわりする悪~い男にお説教したんだよ」


「やりすぎです」


 ふたりは公園や高台を歩いて回り、夜の雰囲気を楽しんだ。

 

「こんな風に歩いたことなかったよな」


「基本ひとりでしたものね」


「お前はいつも勇者と会議」


「えぇ。魔王を倒す……そうすれば世界は救われるって信じてました」


「……昔話もいいもんばかりじゃないな。気分を変えよう」


 この街はかなり広い。

 公園なんて探せばいくつもある。


 街を見渡せる場所にある公園で、ふたりはコーヒーを飲みながらひと休み。


「ここへ来てすぐに仕事にありつけたのは僥倖(ぎょうこう)だった」


「でないと無職ですものね」


「お前がいてくれたお陰かもしれない」


「う~ん、なんだか複雑ですね。そう言われると」


「お互い流れの身になって、出会う確率もきっと奇跡のレベルだったんだ。……この街気に入った」


「私もこの街、大好きです」


「非番いつだろうなぁ。もう少し見て回りてぇ」


「ねぇ、もしも非番が重なったら一緒に街を歩きませんか? 案内しますよ」


「そりゃいい」


 緩やかな時間は過ぎていき、ふたりは別れる。

 そして次の日、ティアリカは同じく非番のガールたちと一緒に出かけていったそうな。


 一方、ゲオルは早速厨房に呼び出され、皿洗いなどをせくせく行っていた。

 どうやら支配人の耳に入っていたようで、ゲオルにも手伝ってほしいと早速懇願してきたのだ。


「いいのかいゲオル。皿洗いとか終わったあとに、また用心棒の仕事に戻ってくれだなんて」


「人遣いが荒いのさ支配人は」


「いいっていいって。俺はなんでも屋っぽいのだから。そのぶん金弾んでくれるならわけないさ」


「でもしんどくないかい?」


「この程度どうってことはねぇ。あ、まかないに色つけてくれたらもっと頑張るぞ?」


「アッハッハッハッ! 元気がいいねぇ」


「コキ使わされて死んでも知らないよ?」


「ご冗談」


 厨房も大分落ち着きが出てきたころ、ゲオルはまた用心棒稼業へと戻る。

 

「行ったり来たり大変じゃないッスか?」


「いいんだよ。こっちも軌道に乗るまではクソ忙しいほうがいい」


「へぇ、そんなもんッスか」


「金払い良さそうだしなあの支配人、あとまかないがうまい」


「へへへ、でもそれだけじゃないんでしょう? 噂になってますよ。ティアリカさんの彼氏だなんて!」


「……昔の旅仲間だよ。それ以上詮索すんならテメーもアチョーしてやろうか?」


「あ、すみません……いえ、実はね、ユリアスさんがかなり気にしてたんス」


「ユリアス? あの厨房のか?」


「えぇ、ティアリカさんがここに来たときから、ずっと気にかけてたみたいで……」


「……そうか。礼を言わなきゃな」


「あの人怒らせないほうがいいッス。この店で一番怖いから」


「了解」


 おしゃべりもそこまでにして、各々エリアを見て回る。

 昨日のような暴力沙汰はないようだが、礼儀のなっていない客はチラホラ。


 そのたびに黒服やブラザーに睨みをきかされて縮こまる。

 それから数時間、このままなにごともなく終わるかと思ったときだった。


「おい、なんか物々しいの来たぞ」


「へい、ユーたち。なんの用ダ」


「もう閉店の時間ダ」


「ちゃっちゃと出直して来んカイ!」


 軍服の男たちは店内を一瞥し、そのうちのひとりが声を張る。


「一昨日、街に現れた魔物を倒したという男。この店にいるはずだ」


「急に来て一体なんダ」


「いいからそいつを出せ。ここにいることはわかっているんだ!」


「おう、俺だ」


 支配人は今日は留守。

 これ以上の睨み合いは不毛だ。


 ゲオルは自分から名乗り出る。


「お前が? う~む、確かに特徴が一致している」


「そうだ。俺がブッ倒した」


「話を聞かせてもらおうか」


 ティアリカは今はいない。

 変な面倒事であるのなら、彼女は巻き込まれてはならない。


「お前ひとりだけか?」


「俺ひとりで十分だった」


「もうひとり、こっちのガールが戦ったと言う話だが?」


「そりゃガセだ。尾ひれがついたんだろ。俺がひとりでブッ倒したんだ。なんならアンタらで試してやろうか?」


 空間から仕掛け大鎌を取り出す仕草を見せると軍服たちがその圧力にたじろいた。


(な、なんだこの魔力量は!? 上位魔導衛士と同等かそれ以上の……)


「どうした。論より証拠だ。実際にちゃんとじっくり見せてやるよ。表出ようぜ」


「い、いや……結構です」


「そうか? ご理解いただけてなによりだ。……で、話を聞きたいってのはなんだ?」


「う、うむ。その、あの魔物を倒したときとかに、なにか不審な人物はいなかっただろうか?」


「不審な人物?」


「繁華街のど真ん中に等しい場所で、あの騒ぎを起こすという不届き極まりない輩だ」


「……さすがにあれだけの住人がいるとよ。誰が怪しくてそうでねぇかなんてのはわからん。いたとしてそうわかりやすい見た目はしてないだろうぜ」


「そう、ですか」


「……俺、『なんでも屋っぽいの』をやってんだ。もしもなんか仕事があるなら連絡してくれや。一応さ。ここでも窓口開いてもらってるから」


「は、はぁ……」


 軍服たちはゾロゾロと去っていく。


「はぁ、参っちゃうねホント。悪いね。騒がせちゃって」


「すっげ……普段威張り散らしてる軍服たちをビビらせやがった」


「へへへ、人気者は辛いナ、ルーキー」


「支配人にも報告スルカ?」


「セヤナ。支配人の胃薬をまた発注せぇへんとナ、ハハハハハハ!」


 やけに和やか。

 そんな中、ユリアスがゲオルのほうへ。


「ゲオルさん、ちょっといいかな」


「おうユリアス。もうまかないできたのか?」


「……それよりも大事なことがある。応接室まで来てほしい」


「……あいよ」


 応接室まで来ると、酒が用意されていた。

 グラスふたつの中にはすでに琥珀色の液体が注がれている。


 ユリアスはドカリと座り、それに口をつける。

 彼女の態度からして歓迎されているわけではないようだが。


「座りなよ」


「酒まで用意してくれるたぁ。よっぽどいい話をしてくれるんだろうな」


「良いかどうかは、返答次第さ」


「期待に応えられるようにしよう」


「じゃあ早速本題だ。……ティアリカのことさ」


「ほう」


「彼女とは、どういう関係なんだい?」


 互いのグラスに浮かぶ氷がカランと揺れた。

次話は午前0時過ぎ投稿いたします。


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