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初日こそクールに


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「来やがったナ、新兵(ルーキー)!」


「うっす」


「バッチリしごいてやるカラ、覚悟しやガレ。上官の命令は絶対ダ」


「お、おう」


「泣いたり笑ったりできなくシテヤンゼ、ベイビー」


「未だにアンタのキャラがよくわからない……」


 ひとりと一緒に各エリアを見て回り、なにがあるか、どういう客席になっているかを覚える。


 ここからはひとりでやってみることになった。


「お、早速仕事だ」


 最初は見ているだけでつまらないものなのかと思っていたが、ひとりマナーのなっていない客がいた。


「お、お客様! ダメ……やだ、ちょっとっ!」


「へへへ、いいじゃねぇか。チップ弾んでやっからさぁ、そのぶん触らせてくれるだけでいいんだよぉ!」


 ブラザーやほかの黒服たちはほかのところを対応している。


「お客さん、ガールにおさわりは厳禁だぜ?」


「な、なんだテメェ! 放しやがれ!」


「あとチップ弾むなら俺にもくれ」


「ふざけやがってテメェェェェェ!!」


 ガラの悪い客は勢いよく剣を引き抜いた。

 酒もかなり回っているようで、乱暴さ加減に拍車がかかっている。


「表に出やがれ。バラバラにしてやらぁぁぁあああ!!」


「あ~あ、グデングデンに酔っちゃって……」


 店内に緊張が走る中、ふたりは店の外へ。

 その数分後、休憩から上がってきたティアリカがその話を聞いてギョッとする。


「ゲオルが暴漢と!?」


「う、うん。私がからまれて困ってたときに来てもらって……それでそのお客さん、怒って剣抜いて……それから外へ出て。ねぇティアリカ、あの人大丈夫かな?」


「大丈夫もなにも……心配なのは暴漢のほうです。どうしましょう……仕事初日に死人だすようなことになったら……」


「へ? 死人?」


 ティアリカは窓からそっと様子を見てみると案の定の光景がそこにあった。


「ずびばぜんでじだ……もう、殴らないで……」


「まだ始まったばっかだぞ剣拾えや。こちとらステゴロなんだ。最強の剣技が泣くぜ?」


「ひ、ひぃぃいいいいい!!」


「おら行くぞ!!」


 店の外で野次馬がヤンヤヤンヤ。

 ティアリカはゲオルのヤンチャっぷりにこめかみを押さえた。


「すっごい……素手で勝っちゃった」


「彼やるじゃない。ねぇアナタの知り合いなんでしょ? 私たちにも紹介してよティアリカ!」


「お断りします! ……はぁ、なんでこういうことは目の色変えてやるのでしょうか」


 そして本日の営業は終了。

 控室でゲオルはソファーにもたれかかる。


「ふぅ~。初日から連続で客の相手思わなかった」


「お疲れさまだねゲオル君」


「おぉ支配人。なぁ、この街の治安どうなってんだ? ここまで大忙したぁ聞いてねぇぞ」


「ほかじゃもっとひどかったりする。ここは比較的トラブルは少ないほうさ」


「衛兵仕事しろよ、ったく」


「ともかく今日は助かったよ。また明日からもよろしくしたい」


「オーケー。あ、まかないあるんだろ?」


「もちろんだ。今作っているはずだよ。もうしばらくくつろいでいたまえ」


 支配人が控室をあとにする。

 その後、例のブラザーのひとりにまかないを取りに行けと言ったので、厨房のほうまで進んだ。


「ここか……」


 ドアを開けるとここは調理番たちの控室のようだった。

 そこにはふたりの女性がおり、ひとりは中年、もうひとりは一瞬美少年と見まがってしまう、いわゆるボーイッシュな女性だ。


「おや、アンタだね。新しく入ったってのは」


「どーも、ゲオル・リヒターだ。用心棒で雇ってもらってる」


「ふふふ、知ってるよ。アタシはミランダ。ここの調理場のチーフをやってんだ」


「え、ミランダ? もしかしてアンタがこの店の?」


「ん? ……アッハッハッハッ! 違うよ。キャバレー・ミランダのオーナーをやってんのはアタシの姉。妹のアタシはしがない従業員さね」


「なるほど。姉妹でやってたのか」


「そういうこと。支配人とも長い付き合いでね。思えばもう……」


「チーフ。話してる暇はないよ。明日の仕込みもあるんだから」


「あぁ、悪いね。……この娘はユリアス。アタシの右腕さ。腕は一流だよ」


「ユリアスか。どーも、よろしく」


 ミランダはそうでないが、どうやらユリアスはかなり無愛想な感じだった。


「はぁまったく支配人は……。用心棒なんて雇ってどうするのさ。厨房の人手を増やしてくれってボク前から頼んでるのに……」


「こーら、そう言うんじゃないよ。身体張って店を守ってくれてんだから。……すまないね。気を悪くしないでおくれ」


「いんや、いいんだ。おう、皿洗いとか皮むきとか、人手がいんのなら呼んでくれ。俺は『なんでも屋っぽいの』をやってるからな」


「……なんで『っぽいの』をつけるのさ」


「いいだろ別に。あ、そういやまかないは? これ以上は腹減って死にそう」


「そこにおいてあるよ。ニンジンとミートボールのスープさ」


「おっほ!!」


「ひとり1杯。あんまりミートボールとるんじゃないよ。まかない食べたいのはアンタだけじゃないんだからね」


「あいよっと!」


 ゲオルはスープを皿に入れ、そそっと控室まで持って帰る。


「ここまで持って帰るのメンドクセェな……」


 そう言いつつもまかないに舌鼓を打つゲオルに、黒服のひとりがやって来て。


「お疲れさまっすゲオルさん。いやぁ、すごかったっすね外での喧嘩! なんか、アチョーアチョーって感じで!」


「あぁ、ありゃちょっとかじっただけだ。本格なのには敵わねぇよ」


「へぇ~、俺もそういうのできたらなぁ」


 他愛のない話をしつつ食べ終え、帰宅の準備にかかる。


「さ、明日も頑張るか……お?」


 店の外へ出ると、ティアリカが待っていた。


「アナタのことでしょうから、きっとまかないを食べながらおしゃべりしていたのでしょう?」


「……待ってたのか?」


「えぇ、明日は非番ですので、多少遅くてもかまいません」


「そうか。俺は当分休みがなさそうだ」


「それはよかったですね。身を粉にして働いてください」


「はぁ、労りの言葉くらいくれよ」


「あれだけ体力がありあまっていたら大丈夫でしょう。……その、そのですね」


「ん?」


「もしもよろしければ……、少し歩きませんか?」


「……オッケー」


 静かな時間帯、互いに歩調を会わすようにふたり並んで街を歩く。

 

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