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ダンジョンさんがやって来た

本日2本目の投稿です

後日ダンジョンさんに伺う話も掲載するのでしょう

きっとするのでしょう

「若旦那様~、お客様ですぅ~」

 メイド長が俺に来客を告げる。はて、今日は特に来客の予定は無かったはずなのだが。

「どんな奴が来たのだ?」

 応接の間に移動しながら聞けばダンジョンマスターなる者が来客したのだそうだ。


 ダンジョンとはまぁ。剣と魔法と冒険のファンタジーの世界にあるアレだ。魔物と迷宮の階層が有って……多分細かい説明なんか不必要だろう。しかし客人がそれのマスターだという事は魔族の来客だという事になる。


「初めまして領主さん」

 応接の間に通されたマスターとやらは頭に角が生えた大変美しく、しかもスタイルの良い女性であった。

「初めましてダンジョンマスターさん。お名前を」

「名前無いんです。今は第15382ダンジョンのマスターという事になりますかね?」

 訊いていいですか?と尋ねる前に丁寧な名乗りを頂いてしまった。何も魔族だからと言って人間に危害を加えるタイプの人物ではなさそうだ。まあ、魔族が何かどこかで悪さしたという話も聞いたことが無い。何故ならなかなか会えないのだから。


「ではダンジョンさんとお呼びしよう。今日はどうされたのですか?」

「はい。実はワタクシ先日領内で生を受けましてね」

 その見た目で生まれたばかりとは驚かされるな。

「ほう」

「はい。ダンジョンコアも遠くまでは動かせないですし、この地で暮らすことになるのですがね」

「物騒だな。スタンピードの話も聞いたことが有るぞ」

「ああ。それはマスターが後継者を決めずに亡くなった後、管理できなくなった事による現象ですね」

「なるほどここに管理者が居るのだから大切に扱わないとな」


「そんなのは構わないんです。で、ダンジョンを管理、育成するにはダンジョンポイントを貯めなくてはいけないんですよ。それには人を呼び込み、色々して貰わなくてはならないのです」

「それで魔物やトラップ、宝物を用意する訳か」

「はいそうなんです。で、ポイントを貯める手段の中にですね」

「嫌だよ冒険者とか領内で死んだとか!どんな魔窟なんだよ」

 俺は全力で嫌がった。冒険者が帰って来ないなんて噂が立ったら領地のイメージダウンになってしまうではないか。

「私も死んでもらっては困ります!確かにポイントはたくさん入りますがそんなの一時的なものです!そんな事よりリピートして貰いたいと考えているのです」

「はぁ」

「言ってしまえば顧客満足のダンジョン運営が必要だと思うんです。長時間滞在してくれたら少しづつマナが手に入り、それがダンジョンポイントになりますから」

「なるほど。居るだけでも嬉しいわけか」

「そうです。長期滞在してくれる方が多ければ多いほどポイントが貯まるんです。そのポイントを皆さんの満足へと還元していくのです」

「はぁ」

 なんか変な経営コンサルタントの話みたいになってきたぞ

「私は冒険者以外の方々にも広く愛されるダンジョンを目指したいと考えておりまして」

 「はぁ?」

 もう訳が分からない。何を言ってるんだこいつ?

「そこでこんな企画を領主さんとタイアップしたいんですよ」と言って企画書をバサバサと用意しだした。


 世界初の総合アミューズメント型ダンジョンリョーチ伯爵領内にてグランドオープンとか書いたチラシを持ち出した

 『第1階層遊園地とアスレチックの広場』と書かれ魔力で動くコーヒーカップやジェットコースターにゴーストライブマンションと、その隣に文字通りのアスレチック施設をイラスト入りで紹介している。

 

「わー。私ここ行きたーい」

 妹のイーナがいつの間にかのぞき込んで期待に胸を膨らませている。

「いや確かに楽しそうですな」

 執事のセバスチャンもにこやかにしている。

 

「これダンジョンなのか?どう見ても遊び場じゃないか」

「勿論遊び場です。目指すはアミューズメント施設ですから」

 まだダンジョンポイントが足らないため第2階層に来客者に振舞う食料を生産する農村と牧場しか用意できてはいないが、将来的に温泉宿、宿舎、酒場、歓楽街なども用意したいという。

 

「しかしダンジョンなだけあって危険はない物なのか?」

 元からダンジョンと言うものはとかく恐ろしいからこそ冒険者しか立ち寄らない訳なのだからそう聞いてみた。

 

「やはりそう来ますか。いえ、仰る通りです領主さん。私共のパークが安全で快適である事は実績を重ねて証明する以外には有りません。領主さんが太鼓判を押してくれるパーク創りに邁進いたします。本当は視察を兼ねてご招待したかったのですが、今日の所は引き下がりましょう」

「行くよ!」

 イーナがダンジョンさんの小指に小指を絡めて約束した。

「きっと行くよ!お姉さんもいっぱい遊ぼうよ」

「まあお嬢さん、嬉しいわ。いつでも来てくださいね。歓迎しますから」


 自分も含めて変な人が多い領地だとは自分でも思ってはいたが、そこに変なダンジョンマスターがやって来て、そして変なダンジョンを作りやがった。まあ、類は友を呼ぶものだよな。

マスター「カスタマーサティスファクションなんですよ」

マシナ「はぁ」

マスター「コンプライアンス的に領主さんの許認可が必要なんです」

マシナ「そ……そうだな」


領主さんタジタジですね


読んでくれてありがとうございます

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