戦場を裸で駆けた漢《おとこ》達。全裸で
始まりましたよ架空戦記
みんなこういうの好きだろ?
楽しんでいこうぜ!全裸で
これは時をさかのぼる事1200年あまり。大陸を制覇したテッケトー帝国に所属していた、歴史の教科書に出てくる事のない帝国の勲功、セキララ騎兵隊の物語である。セキララ騎兵隊は最大でもたった108人。それが大陸制覇の原動力となったのである。全裸で。
いや、裸一貫とか裸同然とかそんなレベルの話ではない。セキララ騎兵隊はそれこそパンツ一枚も履く事無く戦場を駆け抜け、そして帝国の戦功第一位を得たのである。全裸で。
この騎兵隊の隊長、ショーボイ・モンデスには特殊な2つの戦闘スキルを持っていたのが原因だった。その一つが『キン〇マテイム』と言い、キン〇マを見た者を魅了し、自分の思いのままに扱う事が出来るスキルだった。
そしてそれを自分の仲間に付与することが出来る『付与』スキルだったのだ。
そんな凄まじいスキルが何故108人にしか増えなかったかには理由が有る。
そのスキルで歩兵のまま接近しても矢を射掛けられてスキルが発動する前に全滅してしまう。騎馬で高速で接近し、スキルを相手に発動しなければならない。ようするに遠くの敵にキン〇マを見せなければならない。高速で走る馬の背に立ち上がる技量が求められたのだ。もちろん全裸で。
赤裸でいても寒さにも精神的にもへこたれない。それでいて騎乗が一定以上に上手な者でなければ務まらないのでなり手が居なかったのだ。
当初は街で露出をしたがるおかしな犯罪者が騎兵隊に送り込まれ、多くのそういった者達が犠牲になったが、これは逆に街の治安と健全性が向上したとあさっての方向に喜ばれた。全裸のままで。
この『キン〇マテイム』をかけられた敵国の将軍の言葉が残っているので紹介しよう。記録したのはその軍で唯一テイム耐性スキルを持っていた書記官である。
「ああキン〇マが躍る!ああああキン〇マが躍動している!くっ!呑み込まれていく。あのキン〇マの前に私は……わたしは……ワタシハァァァァァァァ!キン〇マに栄光あれ~~~~‼‼‼‼‼‼」
一事が万事そのような調子である。大陸最後に残った南の大国、モーヴ王国の攻略に関しても、皇帝が幾万の兵士が必要かと聞かれた将軍が当時帝国が持つ全ての兵を要求したのに対し、ショーボイは答えた。
「セキララ騎兵隊と3000の輜重隊で可能です」
と答えたのだ。全裸で。
その回答を前に皇帝は総ての皇族を動員し壮行会をして送り出した。ショーボイは男泣きに泣いて必勝を陛下の前に誓い出立した。もちろん全裸で。
大陸制覇最後の戦いはセキララ騎兵隊にとっても過酷な戦いであった。耐テイムスキルやアンチスキルの魔道具、更には南方特有の疫病により108人居たセキララ騎兵隊で帰ってきたのはわずか23人だった。
カイチーン、カイホーンの兄弟伍長は無残に討死した。全裸で。
シーシンとその取り巻きは6人仲良く折り重なって矢ぶすまになった。全裸で。
リーシュンと泳ぎが上手い生き残った隊員は仮病を偽り海の向こうの裸族を従えその王となったのはまた別の物語にした方が良いだろう。全裸で。
リンチューンは帰還の途上緊張の糸が途切れたのか疫病に倒れて死んだ。全裸で。
片腕を失ったドルイド僧のブーションは死んだ同じドルイド僧のローチシンの墓守として離脱した。全裸で。
皇帝の御前にて戦勝と大陸制覇の報告をしたショーボイに皇帝陛下は親しく声をかけた。
「ショーボイと騎兵隊の諸君。朕は貴公らに如何なる褒美を取らせるが適切であろうか見当も付かぬ。もし皇位を所望するなら申し出よ。其方を次期皇帝にしようではないか」
「陛下、それは余りにも恐れ多い事!われらの望みはたささやかです」
「何たる忠義。遠慮は要らぬ。申してみよ」
頭を下げたままのショーボイは恥ずかしそうにこう答えた
「と……とりあえず服をください」
と、答えたのであった。全裸で。
こんなばばっちいのを読んでくれてありがとうございます