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4話

 



 Death Game(デスゲーム)


「俺氏、困惑・・・」



 悪魔ガエルは歩く。


 状況がだんだんと分かってきた。


「おかしくないですかね?」


 顎をさする。


「気がついたらいきなり異世界に連れてこられました。そして悪魔ガエルに生まれ変わりました。さらにはデスゲームに強制参加です」


 不条理、あまりにも不条理だった。


「ひとつだけでもきついのに、3つ重なりますかね?」



 シャッ、シュバッ!


 地面からミミズ。



 踏み出した右足の踵が、地面につくかつかないかのタイミング。飛び出してきたそれは普通のミミズとは大きく異なる。口には肉食動物を思わせる鋭い歯。胴体の終端にはカミソリのような刃物。


 バン!


 体を捻じるようにして反動をつけたカミソリがアキレス腱にぶち当たった。が、悪魔ガエルの足の薄皮一枚さえも切り裂くこともできなかった。タイヤを木の棒で叩いた時のような音を立てた。



「俺氏、無傷!」


 反動で飛んでいくミミズを見ながら、両手を腰に当て胸を張るポーズ。


「避ける必要、皆無!」


 強気な発言とは裏腹に、力が入った右足にはガチガチになっていた。



「人間だったらこうなってたわけですね・・・」



 眼下にはまたしても死体。足首が斬られ、大量の血と共に横たわるいくつもの死体がある。


「こわっ、ミミズに殺されるなんて最悪じゃないですか」



 シャッ、シュバッ!シャッ、シュバッ!シャッ、シュバッ!歩くたびに地面から何匹もの殺人ミミズが飛び出し、足を刈り取るべく剃刀を振るっている。


「基本戦闘力6,752の俺氏には効かないでゲスよ。347のミミズ君!」


 鑑定で分かった相手の力量。


「わからんやつらですなあ、効かん、効かん、効かんでゲスよ!」


 だからあえて受ける。鑑定の精度、鑑定の数値が本当に信用できるものなのかを確かめた。


「全く痛み、ナッシング」


 基本戦闘力。それは文字通り生物の戦闘に関する能力を数値化したもの。つまりは体力、魔力、素早さ、などの数値を合計した数値。


「どうやら信用してもよさそうです」


 パンッ!


 飛び出してきたミミズの一匹を蹴り、破裂させた。


「ぶわっ、体液が!気持ち悪っ、無視したほうがいいですね、これは」


 顔を顰め、歩く。


「人間の平均基本戦闘力が100程度、これならなんとか生き残れるかもしれません」



 自分のステータスの高さを喜ぶ反面思う事。


「性格最悪ですねコイツ」


 デスゲームで無差別に人を殺す。


「おそらくは特殊スキル、ですね」


 死体たちの知識の中にはこれと同じ能力に関しての記憶を持っているものはひとりとしていない。


「特殊スキル、それは神々の力の欠片・・・」



 この世界に同じ特殊スキルを持つ者はふたりといないといわれる。


「それにしては邪悪すぎるじゃないですかこの能力。本当に神様、関係あるんですかねぇ」


 通常のスキルを大幅に上回る影響力、そして独自性。それが特殊スキルの特性。



「罠、罠、罠。ほんと極悪非道ですね・・・」


 ミミズだけではない。地雷、飛び出す針山、溶かす池。歩いているだけで次々と陰湿な罠が降りかかってくる。


「モンスターも多いですしね・・」


 ガイコツやゾンビなどアンデット系のモンスターが多い。見ているだけで気分が悪くなりそうだった。


「グロいやつばっかりですねえ」


 自分が悪魔ガエルである事などすっかり忘れてしまっているようだ。


「まあ、そのお陰で様々なスキルをゲットしましたけど」



 飲み込み、消化することでスキルを得る。それは人間だけに該当するものではない。モンスターが持っているスキルもだ。


「死体偽装・・・役に立ちますかね、このスキル」


 ガイコツが持っていたスキル。


「熊にあったら試してみますかね」


 ばこっ。


「さあ、次は何が入っていますかね」


 しゃがみ込み、宝箱を開ける。


「クッキーですか袋に入っていないやつは食べにくいですよ。なんで直接宝箱の中に入れますかね」


 ポイ。


 遠くに投げ捨てた。



「さて、もうそろそろのはずです・・」



 目指している場所。


 死体の記憶を総合しその場所を目指す。



「その前に・・・」




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