23話
いつの間にか叫んでいた自分に驚く。幽霊がのりうつって勝手に口を使われたのかと思った。
「悪魔になったからか?いや、違う…」
悪魔カエルとなってしまった自分の両手を見ながら思う。
「本心だ。誰にも支配されたくない、誰のいう事も聞きたくない、これは俺の本心だ。そうだ間違いない!俺にはそれだけの力もある!」
決意を込め空を見上げた。
「あの一番デカい星に誓う!俺が世界の頂に立つ!魔王としてこの世界に君臨し!世界の全てを手に入れる!」
大きく両手を広げ笑った。
「ハハッ、ハハッ、ハハッ!基本戦闘力3億越え!誰も俺様に勝てるもんか!」
不思議なほどの高揚感が言わせた。
<新たな特殊スキルを3つ取得しました>
「これか!これのせいだったのか!神の力の結晶、特殊スキルが一気に3つか!ハハッ!ハハッ、ハハッ!」
自分という存在の格がひとつ上がった感覚の正体。人格が豹変するほどの異常な高揚感。それは一騎当千と言われるほどに強力な力を一気に取り込んだことに対する本能の歓喜。
ドゥフ!!
左手の裏拳で石柱を殴りつける。ほどんど力を込めていないにも関わらず簡単に砕けた。
「ハハッ!」
圧倒的な力を実感する。この力があれば並の人間など太刀打ちできないであろう。たとえ軍隊であろうとも、世界中の人間が敵になろうとも、壊滅させる自信があった。
「この世界じゃあ複数の特殊スキルを持っている奴は物語の中にしか存在しないと思われているようじゃないか!それが合わせて4つだ!4つ!」
笑いが止まらない。細胞の歓喜。
戦闘を本能にまで植え付けられた悪魔という存在であるが故の歓喜。
「悪魔であるこの俺様に神の力の結晶が4つだと?なんとも皮肉なことだ。しかも俺様の特殊スキルならこの先、いくつでも入ってくる!」
夜のゴーストタウンに悪魔の声がこだまする。
「ようやく叶う!誰にも媚びず、頭を下げず、あるがまま、思うがままに突き進む!あの漫画の登場人物のように、だ!」
誰にも負けない自信。
「金!女!地位!名声!すべては我が物!誰にも渡さん!私が!この私が世界の絶対的旗手となるのだ!!ハッハッ!ハハッ!!この満天の星!この星すら我がもの!神、いや、神以上の存在となるのだ!!」
地面に倒れこみ視界の全てに星を映した。
いや、映そうとした。
ゴチン!
「痛ぁああ!」
頭に強い衝撃と音が走り、頭を抱える。あれほど美しかった星は涙で滲みボンヤリとしか見えないし、あれほど幸福だった気分もどんどん下がっていく。
「何だぁ…痛っ、せっかくひとが気持ちよく…」
少女。
少女が寝ていた。
口元にはヨダレ。
頭頂部にはふたつのケモノ耳。
「こ、これは…」
獣人の少女。
「む、うう、ん、にゃむにゃむ」
すうっと流れたのは星ではなくヨダレだった。




