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爆縮と体温の機知(1)

明日のイミテーション

寒空の下は

星が瞬き易い

赤色がチカチカしながら

僕の眼球の中へ

潜り込み映る

脳内まで届けば

吐いて捨てるほど

要らないデータが

リピート映像として

浮かんだ

あの星のせいだ

沸いてきた理由を

風で鎮める

容易い感覚を

破り捨てるのだ

纏わり付かれては

困り果ててしまう物だから



川沿いの道は

風をよく運んで

鼻の中

行ったり来たりする水を

ハンカチーフで拭った

月明かりが綺麗だ

雅な言葉を放つほど

腰が温かい訳では無い

冷たさを温める為に

冷たい中を歩く物で

誰一人として違わず

時間も関係ないのだ

茶色に濁った背の高い草は

シャラシャラの音を立て

風に撫でられている

場所が止まったまま

時間を費やして

成長しているのだ

自らの根を

頼りにしながら



自販機の明かりは

聡明な賢者を装って

「誰でも好きな物を」

と提供してくるが

売り切れのランプの面倒は

舞台上の黒子と同じで

同じ人間の手で

行われている

赤文字の上を見ながら

もう少し先にある

自販機へ歩いた

塀で囲まれた道は

住宅街の内と外を作る

どちらが内側で

どちらが外側だろうか

面積の広い方を

選ぶだろうが

面積の小さい方には

大切な物がある

人によって

そうなってしまうのだ

どちらが内側で

どちらが外側だろうか



次の自販機には

赤文字は無く

いつも通りの飲み物を

手にすることが出来た

大分 遠くまで歩いたが

好きな物が欲しいとは

するべきことをしたから

手に入る物だ

宝くじであろうと

試験結果であろうと

今 手を温めている

ボトル缶コーヒーであろうと

全てに

似たような同じ時間がある

長短はあろうと

鋏で切り取れる項目だ

進んでいるかと

周りの景色を気にしたいなら

車に乗っているのか

電車に乗っているのか

問うてしまいそうになる

時間を経たから

景色が違うということを

忘れているのだ

速さに侵食された人間の魔

まさに薬である



寒空の下は

猫が固まり易い

ちょっとした宴会のようで

小脇に見たのだが

邪魔をしないように努めた

コンビニが近づいてくると

三分の一ほどを

一気に飲んで

ゴミ箱へ捨てた

自動ドアが反応して

店内に音だけが鳴る

店員と目が合ったから

パンとコーヒーを買った

別に要らないのだが

要らないだけで歩き出せば

変な名前を貰ってしまう

気にする必要は無いが

気にする必要が無いと

思った時には

既に気にしている物だ

明日の朝食にでもしよう

袋のザザ音を

指で引っ掛け

店を後にした

星の瞬きは変わらずに

そこにも有った







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