プロローグ
私が通っている高校で目立ちに目立っている男子生徒がいる。
彼の名前は〝羽沢 美杜 ハザワミト〟
羽のように軽い男、なんて言われている。
軽い、とはもちろん体重的なことではなくて、
恋愛観においてのことで女関係がとてつもなくだらしないらしい。
来る者拒まず去るもの追わずの姿勢でどんな女の子でも女ならとりあえず食うみたいな感じで彼氏持ちの子にも手を出すから、彼女を奪われた男子は数知れず
そのせいで学校中の男子から嫌われ妬まれている。
そんな酷い噂しかない彼だが未だにたかる女子は山程いる。その理由の一つとしてあげられるのは羽沢君の圧倒的ビジュアルの良さだろう。
この学校は10クラスもあり同じ学年でも階が違うので直接彼を見たことがないのだが、噂によると1度見たら忘れられない、この世のものとは思えないほど美しい美少年らしい。
カッコイイとかイケメンとかそんな軽い言葉では表していけない。彼は神だ!と友達の瑠璃子が彼の美しさについて熱弁していたのを思い出す。
まだ彼を見たことがないと言ったが、彼はとにかく目立つし人が周りに集まるので近くにいればすぐに分かる。ただ、人だかりで見えないのと神々しいさで眩しすぎるため直視できないので実質彼の姿をちゃんと目に入れたことはないのだ。
そんなまるで異世界の住民のような彼とただの高校2年生の女の私の間に接点などこれっぽっちもないし、
これからの人生で彼のようなキラキラな人間と関わることもないだろうと思っていた。
しかし、昨日偶然。
周りに女の子を引き連れていない、theプライベートな羽沢君とバッタリ会ってしまったのだ。